革命的ナショナリズムとは? わかりやすく解説

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革命的ナショナリズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 12:23 UTC 版)

保守革命」の記事における「革命的ナショナリズム」の解説

青年保守派系の第二中核としていわゆる『革命的ナショナリズム(Revolutionärer Nationalismus)』があった。いうまでもなくエルンスト・ユンガーがその最も代表的な人物である。青年保守派違いこのナショナリズム戦争体験直接出発点とし、この体験イデオロギー国民のための政治綱領にまで高め多くロマン主義と魂によって貫かれ戦闘的でより強烈冷酷なのだったユンガーは「新ナショナリズム普遍的ならぬ特殊なもの、即ち『魂の力』を欲すると言う戦争の中でナショナリストへと自己変革をとげた者は、啓蒙理性否定し新ナショナリズム普遍的なもの全て軽蔑しまさにこれであってそれ以外ではあり得ないという独自性追及する根元的なもの、母なる大地との新たな関係、これがナショナリズム本質である。この母なる大地表層物量戦の烈火によって焼き清められ、血の奔流によって受胎したナショナリズム本質とは、民族神秘な言葉隷従し、それを二十世紀言葉翻訳することである — Der Kampf um das Reich ナショナリズムとは、国民中心的価値感じかつ認識し利用しうる全ての力、全ての手段をもってこの国民のために挺身する一つ絶対的意志である。この新しナショナリズムの旗は、黒=赤=金でも黒=白=赤でもない。それは我々の心臓に基づきそこから建設さるべき新しいもっと偉大な帝国の旗である 黒=白=赤のナショナリズムヴィルヘルム主義として、したがって反動として断罪するにせよ、あるいはそれを安物愛国心として無造作に斥けるにせよ、とにかくそれを嘲笑することは革命的ナショナリスト日常的行為であった新ナショナリズム他ならぬヴィルヘルム主義崩壊の中から生まれたのであるナショナリズム最早玉座によって束縛されることも妨げられるともないその結果、我々のナショナリズムはかつてなかったほど奔放で、好戦的でかつ強暴となる。ナショナリズムたんなる思想産物ではなく行動であり運動であり意志である。それは最高級権威ある法則である。それこそ新国家構造基礎である。全ての闘争はこの新国家実現目指す場合にのみ意味を有するナショナリズム革命の原動力は血の中にある。国民は血の共同体であるが、それは人種的にではなく生命主義的に理解される。生は精神的道徳的内容によらず、力の充実によって評価される 革命的ナショナリストの諸宣言には陶酔状態の中で書かれたかのような印象をうける。他のいかなるナショナリストよりも強烈で、野性的で、好戦的である。革命的ナショナリストは、危機克服のための政治綱領持たず、むしろその密教性格満足し激烈な宣言市民ショック与えることを得意としていた。彼らは鉄兜団のような他のナショナリズム団体憐憫の目で見下げており闘争戦争を讃え、全てのブルジョア的、市民的なものを否定し自ら陰謀をもって任じ唾棄すべき民主主義恫喝していた。革命的ナショナリスト中には一種異様なロマン主義ともいえる雰囲気があり自らの過激な言動歴史的運命的必然性有するものと主張された。英雄的な戦闘行為物量戦の思い出浸りつつ、同時にドイツ魂の根源呼び起こし、マイスター・エッケハルト、ヤーコプ・ベーメゲーテらの中に慰め励まし見いだす称していた。 革命的ナショナリスト全ての既成のものへの闘争宣言すること以外には何も国民提供しなかった。その国家像は軍隊組織国家組織単純に移しかえたものであった市民的自由のかわりに強い拘束持ち込まれ市民という類型に対して前線兵士労働者類型対置された。それは英雄的形態人間像であり人間性理性的思考などの女々しい体質克服した自認する人々類型であった一人一人人間は、類型あるいは形態犠牲となり個人民族の血の共同体中に溶解し民族命令するときにはすすんで自己の命を犠牲にしなければならなかった。こうした革命的ナショナリスト思想ニーチェシュペングラー思想を、主として軽蔑から導きだされた政治的行動主義的イデオロギーとして焼き直されていた。市民的なものとその国家像に対するこの軽蔑一種美的なまでにかたまり嫌悪すべきヴィルヘルム主義精神継承したにすぎない国家秩序克服祝福すべきものと見なされるこうした陰険な没落喜悦」が革命的ナショナリズムの精神貫いている。 1926年から1932年までのユンガーは、民族的社会主義的傾向青年団体や組織接近して精力的な著作活動展開していた。これには、短期間であるが、ユンガーの弟フリードリッヒ・ゲオルク・ユンガー(ドイツ語版)も明らかに彼の影響受けて加わっている。 ユンガーは「新ナショナリズム精神的指導者」と目されており、彼ほど的確に理想主義燃えた志願兵戦争体験表現した者はいなかった。彼によれば、「戦争地獄図」の中で兵士たちはその愛国的ロマン精神を死の戦慄洗練された美意識にまで昇華したのである。こうして商人世界軽蔑し平然と踏み躙ることのできる壮大な独断的ヒロイズムが、以後何年にも渡って培養されていった長年の後、我々の目は、戦争地獄絵の中ではじめ本質的なものを見ることができるようになった今こそ我々はこの本質的なものに迫ろうとしているのだ。前方ほのかに見え目標の光が我々の道を照らし火炎放射器邪魔者一掃してくれた。そうでなければ、我々は何処にも立つことができないであろう。我々は市民の敵であり、しかも純粋で真実紛うこと無き非情なる敵であるから市民滅亡ほど愉快なことはない。我々は断じて市民ではない。戦争内乱の子である。市民世界全て、即ち、虚ろに動く回り舞台一掃される時こそ、我々の中に今なお、自然、本質純粋な野性、血と種による真の生産能力として眠っているものが開花するであろうその時はじめて新しい形可能性生じるのだ ユンガーはじめとするナショナリストたちは、共和国混沌のなかから新しい、より良いものを形成してこうとい気持ち、即ち、共和国自体新し土台与えようという気持ち毛頭なかった。彼らは共和国デモクラシーのなかに「我々の祖父たちの風化した理想」の実現し認めなかった。1918年革命は全く革命などではなく崩壊に過ぎなかったのであり、ユンガー革命がやり直さなければならぬとする点で、青年たちと一致できると信じていた。

※この「革命的ナショナリズム」の解説は、「保守革命」の解説の一部です。
「革命的ナショナリズム」を含む「保守革命」の記事については、「保守革命」の概要を参照ください。

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