銀卵騎士団
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/08/19 13:30 UTC 版)
クリストフォロ 主人公。偽名である「クリス」を名乗っている。額と両手に「獣の烙印」を持って生まれ、不幸を呼ぶとして村の長老に殺されかけるが、母親の手によって蔵の中に隠されて育てられる。七歳のときに村が山賊の襲撃を受けて全滅し、天涯孤独の身となる。以来、傭兵として戦地を渡り歩き、どんな絶望的な任務であっても遂行して自分ひとり生還する《星喰らいの獣》と忌み嫌われる。その額と両手に刻まれたしるしは「冥王オルクスの刻印」であり、刻印を持つ者を殺すたびにその力を食らっていく。初めは周囲の者の命運を喰らうという能力しかなかったが、コルネリウスを倒した後は、死霊を冥府から呼び出して操るなど彼に近い能力を得た。主に聖王国軍側に雇われて戦っていたが、ミネルヴァに敗れて奴隷となり、ザカリア公国の銀卵騎士団に連行されて団長の近衛となる。剣術は自己流だが、幾多の戦場を渡り歩いてきた為に相当な実力者となっており、獣の力を解放した時は凄まじい戦闘力を発揮する。 三大公家の一つであるエピメクス家の血を引き、またミネルヴァの見た「胎果の託宣」によれば彼女の娘の父、すなわちミネルヴァの夫になることが確定している。次第にミネルヴァとの仲は深まっているが、同時に冥王オルクスと運命の神テュケーの持つ運命にも巻き込まれていく。聖王国側のクリスの出自を知る者たちからは、クリストフォロス・エピメクスと呼ばれている。 サンカリヨンを奪還してすぐに、冥王オルクスの真名を聞いて力を制御するためにミネルヴァと別れて単身で聖都に向かう。道中でカーラと遭遇した後、聖都王城でガレリウスと遭遇し地底湖に案内させる。しかし、地底湖で獣の真名がクリストフォロであること、オルクスの刻印が最初から開いておりミネルヴァを我が物にしたいというのが獣の欲望であることに気付き絶望する。そして気を失っている間にガレリウスの間諜である《蛸》によって銀陰宮に運ばれ、ガレリウスからイアコスの刻印の力でクリストフォロという名前にまつわる全ての記憶を奪われることを提案され、ミネルヴァを生き残らせる為にそれを承諾し、記憶の全てを奪われて生ける屍同然の状態になる。そのまま銀陰宮に放置されるが、ガレリウスにモルフェウスの真名の記憶を奪われて能力の使えなくなったティベリウスが銀陰宮にやって来て、ティベリウスの名を聞いた後に襲われる。 ミネルヴァ・サン・ディキマ・イ・フォルトゥナ ヒロイン。銀卵騎士団の近衛で、鎧を一切身につけないかわりに甲冑よりも重い大剣を操り、単身で多くの部隊を壊滅させ、《戦場に塩を撒く死神》、もしくは《塩撒き》と怖れられている少女剣士。その正体は、聖王国から逃げ出した託宣女王であり、その身には運命の神テュケーが宿り、自分に降りかかる危機を見通す予知能力を持つ。戦闘ではその予知能力を最大限に活用しており、鎧を身につけないのは敵の攻撃をすべて見切ってかわせるためである。 王国に残してきた妹シルヴィアが身代わりとして女王の座について苦しんでいることを悔やんでおり、シルヴィアのために聖王国を滅ぼそうと、捨て鉢の戦いに走ることが多い。自分の運命に絶望しているためシルヴィアの苦しみがなくなれば自分はどうなってもいいと考えていたが、その運命そのものを喰らってしまうクリスとの邂逅によって、少しずつ生き方を変えていくことになる。クリスに好意を抱いているが、恋愛経験に疎い為に自分の想いを素直に伝えられない。が、クリスとの絆は深いものになってきている。戦いの中で女王としての責任感に目覚めていき、周囲の人々の想いを共に背負っていこうとする。 フランチェスカ・ダ・ザカリア 銀卵騎士団の団長。ザカリア公国の公女。才色兼備の令嬢で、15歳までに百を超える求婚を断ったなどの武勇伝で知られる。自分にふさわしい男は自分よりも強く美しくなければならず、戦場にしかいないと断じて騎士団に出入りするようになり、やがて指揮官としての才覚を発揮して団長に任命される。美しい者であれば男女を問わずそばに置きたがるため、騎士団に連れてこられたばかりのクリスを自らの近衛に配属する。 数多の作戦を成功させてきた軍略家であり、聖王国からは《ザカリアの女狐》と呼ばれている。普段はミネルヴァの相談役になるなど面倒見の良い性格だが、一度戦場に出れば勝利の為には手段を選ばない冷酷な指揮官となる。当初は聖王国の圧制からの解放を謳っていたが、やがて三大公家と神官団に成り代わって聖王国の実権を握る野望を抱く。 プリンキノポリで行われるコンクラーヴェに出席し、そこで政教分離を図ろうとするも冥界の門が開かれた事と、その後に起きた事件で戦いの女神ベローナの刻印を得たために失敗。以後はベローナの真名である「サン・ディキマ・エ・ベローナ」の称号が付くようになる。 ジルベルト 銀卵騎士団の近衛隊長。フランチェスカに仕える寡黙で忠実な騎士。ミネルヴァと同じ師から剣の手ほどきを受けており、ミネルヴァと互角の実力を持つ。常に主フランチェスカを第一に考える堅物で、クリスのことも最初は元敵兵だから殺すようにと主張するが、やがて自分の太刀を貸し与えるほどに認めるようになる。寡黙な性格とは裏腹に心配性でもあり、無茶をするミネルヴァやクリスの止め役になる事もある。聖王国の憲兵騎士団「黒薔薇騎士団」に所属しており、その地位を利用して聖都に侵入した。その後、王宮の謁見の間の地下にある謎の地底湖の存在を確かめた際に、その場にいたメルクリウスが投げた短剣によって負傷しながらもフランチェスカの元に帰還して、クリスに謎の地底湖の情報を伝えた。 パオラ 銀卵騎士団の衛生兵かつ近衛の一人。まだ幼さの残る少女で、フランチェスカの乳兄弟であり、もともとは影武者として騎士団に入れられた。現在は軍医ニコロの補佐として、騎士団の女たちの医療を請け負う他、ときにはフランチェスカの代理として軍団の指揮を執ることもある。何も無い所で転ぶなどのドジっ娘。次第に激しさを増していく戦いの中で精神を消耗していくが、衛生兵としての責任感と行方をくらましたニコロの教えを守る為に無理やり笑顔を作るようになる。フランチェスカがコンクラーヴェに出席した際、白紙の作戦書をフランチェスカの策と偽りながら連合軍の指揮を執る。カーラの作戦書を見たときに戦を放り出そうとするもザッパニア騎士団長に叱責された事で何とか自分を取り戻し、最終的にサンカリヨンを奪還した。 ニコロ 銀卵騎士団の軍医。片眼鏡をかけた優男で、ことあるごとにフランチェスカやミネルヴァを、というより女子の診療をしたがる軽薄な好色漢。無精ひげが生えている。しかしその外面に反して、ナイフ投げの腕はかなりのもので、フランチェスカと共にしんがりを務めたり、少数精鋭の救出部隊にも参加したりする。パルカイ神群とは相容れぬアンゴーラ人であり、本当の意味での異教徒。本名はニコライ。アンゴーラだけの技術と知識を持っている。実はアンゴーラのスパイで、アンゴーラの侵攻に併せるように騎士団から姿を消し、現在はかつて小姓として仕えていた主人である女帝アナスタシアと行動を共にしている。
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