過熱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 14:15 UTC 版)
このように当初の支払額を軽減した返済方式は、当初期間経過後、支払額が急増するというリスクがある。 以下は参考のため日本における住宅購入に、サブプライムローンを適用したと仮定して説明する。3千万円の住宅の購入に当たり、頭金なしで全額を年利6%で借り入れたとすると、通常の30年ローンでは月々の返済は17万9900円ほどになる。例えば、月収40万円の家庭では到底この金額を毎月支払えないので、ローンの審査を通すために無理やり最初の3年間は月々の支払いを10万円に抑えると、大雑把に言って差額の7万9900円はローン残高に組み込まれる(支払い1回目)。支払い2回目は、元々の元金の3千万円に加えて初回支払い時に未払いの7万9900円が加わり、通常のローンなら支払うべき元利合計は18万500円余りであるが、10万円しか払わないので、差額の8万500円がまたローン残高に加わる。3回目の支払い時には8万1200円ほどが加わる。こうして利息分にも満たない月々の支払いを続けるとローン残高は減少するどころか複利的に増加し、3年後の通常の支払い開始時には残高はローン開始時より300万円以上増加しており、毎月支払わねばならないローン返済金額は「突然」(本来のローン金額3、300万円の27年元利均等払い月次返済額である)20万円以上に跳ね上がる。 所得の確実な増加が見込めるならば、住宅価格の上昇を前提とせずにこのようなローンを組むのも合理的と言えるが、所得が伸びない低所得階層には全く不向きである。ところが住宅ブームを背景とし、また、高利回りの債券の開発の要請や、証券化する債権の需要から顧客の開拓が進められ、米国へ移住して間もないクレジットヒストリーの無い外国人や、クレジットヒストリーの瑕疵(かし)からプライムローンの対象にならない顧客にも積極的に貸し付けるようになり、さらには住宅価格の上昇を前提として低所得階層にまで半ば強引な貸付が行われ、サブプライムローンが拡大していった。低所得者層に充分な説明が行われないまま契約を行ったり、複雑な説明をして契約を行った例がある。中には当然プライムローンの対象となる優良な顧客に対してサブプライムローンを貸し付け、より高い利息の収益を図った例もある。 一方で、利息が低い期間の間に住宅価格が充分に上昇すれば、支払った利息を超える差額を手にして転売することが出来る。或いは支払いを着実に行ってクレジットヒストリーを蓄積することで、より利率の低いプライムローンへの借り換えも考えられる。 しかし、サブプライムローンの行き過ぎは1990年代後半頃から問題視されるようになり、同時に住宅バブルが指摘されるようになる。このような行き過ぎの中で、低所得階層に過重な手数料を求めたり、あるいは低所得階層の顧客が結局返済できずに物件を差し押さえられ住宅を失ったりといった問題が生み出された。この問題は略奪的貸付(predatory lending)として知られる。かつてアメリカでは、貧しい黒人居住地域を金融機関が融資上差別したことが、レッドライニングと呼ばれる社会問題を生み出したが、住宅ブームの中で、むしろ貸し過ぎが問題にされるようになった。なお、この略奪的貸付については、低所得階層が貸し込み先になっているという点で、日本における消費者金融の多重債務問題や、バブル経済崩壊後に目先の収益獲得に追われた金融機関による、中小・零細企業からの貸し剥がしと性格が似ているという指摘がある。 もともとアメリカの住宅ローンでは、融資する側では金融機関による融資とローン債権の流動化がローンの拡大を支えていた。しかし、ローン債権の流動化が信用力の劣るサブプライムローンにまで及んでしまった事により、さらにサブプライムローンの拡大を下支えする結果となってしまった。
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過熱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 08:48 UTC 版)
「Xbox 360の技術的問題」の記事における「過熱」の解説
Xbox 360は、不十分な冷却を原因として、使用中に非常な高温となる。この高熱によって、CPU・GPUとマザーボードを接合するボール・グリッド・アレー式 ハンダ接合部が弛緩・融解するために故障すると言われている。(ハンダが融解する熱量が発生する以前に熱による基板の変形が起こりパターンが剝離して接触不良となると思われる) 環境問題への配慮から近年使われるようになった無鉛ハンダが使用されている場合、その種類によっては鉛入りハンダより剛性が劣ることがあり、問題の悪化を招く。 ドイツのゲーム雑誌c'tの記事「3台に1台は故障する(Jede dritte stirbt den Hitzetod)」によると、Xbox 360に使用されている無鉛ハンダの種類に問題があり、長時間高熱にさらされると脆くなり、金属疲労や亀裂が生じる性質があるとされている。また当該記事では、マイクロソフトが10億ドルの修理費を内部的に引当計上し、修理・交換に対応しているとした。また、2007年5月7日Bloomberg紙の報導によると、Xbox 360の世界最大の小売店である3社 (EB Games、Gamestop、Best Buy)に取材したところ、顧客から返品される率は30% - 33%だった。 Xbox 360のヒートシンク・排気口・ファンでは、使用中に常に作り出される熱を排出しきれないため、クラッシュ・フリーズ・故障の原因になるとされている。マイクロソフトは65nm CPUを搭載したFalcon型マザーボードを既に市場投入しており、2008年後半には、65nm GPUも搭載した新型マザーボード、通称「Jasper」を投入すると見られる。 2007年10月号Official Xbox Magazineによると、Xbox 360 ElitesとPremiumsの新規出荷分については大型化したヒートシンクが取り付けられているとされるが、効果については現時点で不明である。 サードパーティからは外付けクーラーも発売されているが、「クーラーが溶けて固着する」「内部のプロセッサを損傷する」「保証が無効になる」といった問題点が指摘されている。
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過熱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 03:27 UTC 版)
沸点は、しばしば「液体が沸騰しはじめるときの温度」と説明される。しかし、一定の外圧のもとで液体を加熱していくとき、沸点を超えても沸騰が始まらずにそのまま液体の温度が上昇し続けることがある。この現象を過熱 (superheating) という。過熱された液体を過熱液体という。過熱液体の見た目は沸点以下の通常の液体と同じで見分けがつかないが、過熱液体をさらに加熱し続けると液体が突然吹き上がる。この現象を突沸(とっぷつ、bumping)という。突沸の後は、沸点まで液体の温度が下がる。過熱液体の突沸は、加熱を止めた後でも起こりうる。たとえば、過熱液体に振動を与えたり、温度計を差し込んだり、沸騰石やその他の異物を投入したりすると突沸を起こしやすい。この場合でも、突沸直後の液体の温度は沸点まで下がる。突沸により液体の温度が下がるのは、気化熱のためである。 過熱が起こるのは、液体の表面張力のためである。一般に液体中の気泡内部の圧力は、気泡を包む液体の表面張力のため、外圧よりも高くなる。この圧力差は表面張力に比例し、気泡の半径に反比例する。それゆえ沸点では (飽和蒸気圧) = (外圧) < (気泡内部の圧力) となるので、もし気泡内部に蒸気しか含まれないとしたら、蒸気の圧力だけでは気泡を支えることができないため、小さな気泡はつぶれてしまう。液体中で蒸気の気泡を発生させるには、気泡内部に蒸気以外の気体が多少なりとも含まれているか、あるいは気泡を包む周りの液体が多少なりとも過熱されていなければならない。 過熱を防ぎ、沸点で液体を沸騰させるためには、あらかじめ液体に沸騰石を入れておいてから加熱するとよい。あるいは、撹拌子(かくはんし)などで液体を撹拌しながら加熱してもよい。沸騰石や撹拌子の役割は、気泡の核を作ることである。ひとたび気泡の核が生成すると、気泡内の蒸気の分圧が飽和蒸気圧になるまで液体が気泡内に気化し、目に見える大きさにまで気泡が成長する。液体が外部から得た熱のすべてが気泡の成長に必要な気化熱として使われるなら、液体の温度は上がることも下がることもない。すなわち、液体から気泡が絶え間なく湧き上がるように発生している間は、その液体の温度は沸点にほぼ等しい。
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