飽和蒸気圧とは? わかりやすく解説

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ほうわ‐じょうきあつ〔ハウワ‐〕【飽和蒸気圧】

読み方:ほうわじょうきあつ

飽和蒸気圧力一般に温度の上につれて高くなる最大蒸気圧


蒸気圧

(飽和蒸気圧 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/30 09:49 UTC 版)

蒸気圧(じょうきあつ、英語: vapor pressure)あるいは平衡蒸気圧(へいこうじょうきあつ、英語: equilibrium vapor pressure)とは、液相あるいは固相にある物質と相平衡になるような物質の気相圧力のことである。蒸気圧は物質に特有の物性値であり、温度に依存して決まる。

物質の沸点とは、その物質が液相にあるときの蒸気圧が外圧に等しくなる温度である。また、物質の昇華点とは、その物質が固相にあるときの蒸気圧が外圧に等しくなる温度である。さらに物質が液相と固相の平衡状態にあるときの蒸気圧が外圧に等しくなる温度は三重点と呼ばれる。

液体の物質の周囲でのその物質の蒸気分圧が液相の蒸気圧に等しいとき、その液体は蒸気と気液平衡の状態にある。 気液平衡から温度を上げると蒸気圧が上がり、蒸気の分圧より大きくなる。蒸気を理想気体とみなせば、分圧は蒸気量に比例する。液体が蒸発することで蒸気量が増えて分圧も上がり、新たな温度での蒸気圧と等しくなることで再び気液平衡となる。逆に温度を下げると蒸気圧が下がる。このときは蒸気が液体に凝縮することで分圧が下がり、新たな温度で気液平衡となる。気相と固相の相平衡でも同様に、温度の変化に対して物質が昇華して分圧が蒸気圧と等しくなるように蒸気量が変化して平衡が保たれる。

純物質の蒸気圧はクラウジウス・クラペイロンの式によって近似される。溶液であれば蒸気圧降下が起こり、これはラウールの法則で近似される。

理想的な水の蒸気圧

の蒸気圧を縦軸、温度を横軸に取ったグラフ。水は標準大気圧(760torr)の下でおよそ100度で沸騰する。この時の蒸気圧は1気圧に等しい。

他の液体と同様に蒸気圧が周囲の大気圧まで達すると水は沸騰する。高度が高い場所では大気圧が低くなるため、水は低い温度で沸騰する。大気圧 P と水の沸点 θbp の関係は

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飽和蒸気圧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 22:32 UTC 版)

クラウジウス・クラペイロンの式」の記事における「飽和蒸気圧」の解説

クラウジウス・クラペイロンの式 d p vap d T = Δ vap H T Δ vap V {\displaystyle {\frac {dp_{\text{vap}}}{dT}}={\frac {\Delta _{\text{vap}}H}{T\Delta _{\text{vap}}V}}} を用いると飽和蒸気圧 pvap の近似式を導くことができる。 近似 1: 臨界温度よりも十分に低い温度であれば、ΔvapV を蒸気体積 Vg近似できる例え101 kPa, 373 K の水蒸気気液平衡では、Vg/ΔV = 1.0006 である。 d p vap d T ≃ Δ vap H T V g {\displaystyle {\frac {dp_{\text{vap}}}{dT}}\simeq {\frac {\Delta _{\text{vap}}H}{TV_{\text{g}}}}} 近似 2: 飽和蒸気圧が十分に低ければVg理想気体体積 Videalg = nRT/pvap で近似できる例え101 kPa, 373 K の水蒸気では、 Vg/Videalg = 0.985 である。 d p vap d T ≃ p vap Δ vap H n R T 2 = p vap Δ vap H m R T 2 {\displaystyle {\frac {dp_{\text{vap}}}{dT}}\simeq p_{\text{vap}}{\frac {\Delta _{\text{vap}}H}{nRT^{2}}}=p_{\text{vap}}{\frac {\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}}{RT^{2}}}} ここで、n は蒸気物質量、R は気体定数、ΔvapHm = ΔvapH/n はモル蒸発エンタルピーである。この式を変形すると、蒸気圧対数温度逆数に対してプロットしたときの傾きが、近似 1, 2 の下で d ln ⁡ p vap d ( 1 / T ) = − Δ vap H m ( p vap , T ) R {\displaystyle {\frac {d\ln p_{\text{vap}}}{d(1/T)}}=-{\frac {\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}(p_{\text{vap}},T)}{R}}} となることが分かる。ここで、モル蒸発エンタルピー温度と圧力関数であることをあらわに書いた。飽和蒸気圧 pvap におけるモル蒸発エンタルピー ΔvapHm(pvap, T) は、標準圧力 p0 におけるモル蒸発エンタルピー ΔvapHm(p0, T) と Δ vap H m ( p vap , T ) = Δ vap H m ( p 0 , T ) + ∫ p 0 p vap ( ∂ Δ vap H m ∂ p ) T d p {\displaystyle \Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}(p_{\text{vap}},T)=\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}(p_{\text{0}},T)+\int _{p_{\text{0}}}^{p_{\text{vap}}}\left({\frac {\partial \Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}}{\partial p}}\right)_{T}dp} の関係にある。標準圧力 p0 における沸点T0 とするなら、右辺第1項は、トルートンの規則を使うと Δ vap H m ( p 0 , T ) ∼ Δ vap H m ( p 0 , T 0 ) ∼ 10 R T 0 {\displaystyle \Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}(p_{\text{0}},T)\sim \Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}(p_{\text{0}},T_{\text{0}})\sim 10RT_{\text{0}}} 程度大きさである。それに対して右辺の第2項は、熱力学的状態方程式ジュールの法則を使うと | ∫ p 0 p vap ( ∂ Δ H m ∂ p ) T d p | ∼ V l,m p 0 ≪ V g,m p 0 ∼ R T 0 {\displaystyle \left|\int _{p_{\text{0}}}^{p_{\text{vap}}}\left({\frac {\partial \Delta H_{\text{m}}}{\partial p}}\right)_{T}dp\right|\sim V_{\text{l,m}}p_{\text{0}}\ll V_{\text{g,m}}p_{\text{0}}\sim RT_{\text{0}}} となる(Vl, m, Vg, mはそれぞれ液体蒸気モル体積)。よって近似 1, 2 の下ではモル蒸発エンタルピー圧力依存性無視できる。 Δ H m ( p vap , T ) = Δ H m ( p 0 , T ) {\displaystyle \Delta H_{\text{m}}(p_{\text{vap}},T)=\Delta H_{\text{m}}(p_{\text{0}},T)} このとき、蒸気圧対数温度依存性は次式で与えられるln ⁡ p vap p 0 = ∫ 1 / T 1 / T 0 Δ H m ( p 0 , T ′ ) R d ( 1 T ′ ) {\displaystyle \ln {\frac {p_{\text{vap}}}{p_{\text{0}}}}=\int _{1/T}^{1/T_{\text{0}}}{\frac {\Delta H_{\text{m}}(p_{\text{0}},T')}{R}}d\left({\frac {1}{T'}}\right)} 近似 3: モル蒸発エンタルピー温度にも依らないと近似するなら、蒸気圧対数温度依存性は次式で与えられるln ⁡ p vap p 0 = Δ vap H m R ( 1 T 0 − 1 T ) {\displaystyle \ln {\frac {p_{\text{vap}}}{p_{\text{0}}}}={\frac {\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}}{R}}\left({\frac {1}{T_{\text{0}}}}-{\frac {1}{T}}\right)} log 10 ⁡ p vap p 0 = Δ vap H m 2.303 R ( 1 T 0 − 1 T ) {\displaystyle \log _{10}{\frac {p_{\text{vap}}}{p_{\text{0}}}}={\frac {\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}}{2.303\,R}}\left({\frac {1}{T_{\text{0}}}}-{\frac {1}{T}}\right)} このとき、蒸気圧対数温度逆数に対してプロットすると、傾き一定値になるので、プロット直線載る蒸気圧温度依存性は次式で与えられる。 p vap = p 0 exp ⁡ [ Δ vap H m R ( 1 T 0 − 1 T ) ] {\displaystyle p_{\text{vap}}=p_{\text{0}}\exp \left[{\frac {\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}}{R}}\left({\frac {1}{T_{\text{0}}}}-{\frac {1}{T}}\right)\right]} この式を使うと、沸点あるいは 298 K でのモル蒸発エンタルピーの値と大気圧下での沸点から、温度 T における飽和蒸気圧 pvap を予測できるまた、この式を T について解くと、モル蒸発エンタルピーの値と大気圧下での沸点から、減圧下または加圧下における沸点見積もる式が得られる基準とする沸点との温度差 T − T0大きくなるほど、モル蒸発エンタルピー温度依存性無視できなくなるので、飽和蒸気圧の予測精度落ちてくる。 ΔvapHm(p0, T) の温度依存性キルヒホッフの法則に従うので、液体蒸気定圧モル熱容量の差が大きいほど近似悪くなる

※この「飽和蒸気圧」の解説は、「クラウジウス・クラペイロンの式」の解説の一部です。
「飽和蒸気圧」を含む「クラウジウス・クラペイロンの式」の記事については、「クラウジウス・クラペイロンの式」の概要を参照ください。

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