蒸気圧曲線と沸点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 03:27 UTC 版)
温度一定の条件下で、液体とその蒸気が気液平衡にあるときの蒸気の分圧を、その温度における飽和蒸気圧という。飽和蒸気圧を温度の関数として表した曲線を蒸気圧曲線という。蒸気圧曲線のグラフから、ある外圧の下での沸点を読み取ることができる。例えば、外圧が 70 kPa (700 hPa) のときの水の沸点が知りたいなら、グラフの圧力 70 kPa に水平線を引き、この直線が水の蒸気圧曲線にぶつかるところで垂線を引くと温度が 90 ℃ と読み取れる。よって、外圧が 70 kPa のときの水の沸点は 90 ℃ である。 純物質の液体であれば温度が高くなると飽和蒸気圧も高くなるので、温度を横軸としたときの蒸気圧曲線は右上がりの曲線となる。そのため、外圧が高くなると沸点は上がり、低くなると沸点は下がる。例えば、調理用の圧力鍋を使うと外圧を 2 気圧程度にできる。このとき、鍋に入れた水の沸点は 120 ℃ 程度まで上昇する。また、高地などの気圧が低いところでは、水が 100 ℃ より低い温度で沸騰することが知られている。標高が 1000 m 高くなるにつれて気圧は約 100 hPa 下降するので、標高 3000 m の山の上での沸点は 90 ℃ となることが水の蒸気圧曲線から分かる。 温度が高くなるほど飽和蒸気圧が高くなるといっても、温度上昇とともに蒸気圧曲線が際限なく伸びていくわけではない。純物質の蒸気圧曲線には終わりの点がある。この点を臨界点という。つまり飽和蒸気圧には上限がある。この上限の圧力を臨界圧力といい、飽和蒸気圧が臨界圧力に達したときの温度を臨界温度という。臨界圧力より高い外圧に対しては、沸点は存在しない。よって臨界圧力より高い圧力の下では、液体は決して沸騰しない。臨界圧力より高い圧力の下で液体を加熱し続けると、相転移することなく、超臨界流体と呼ばれる状態になる。
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