蒸気式ラジエーター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 14:38 UTC 版)
水蒸気を循環させて、室内に設置されたラジエーターで水蒸気の熱を利用して暖房する方式で、蒸気暖房やスチーム暖房と呼ばれる。蒸気は圧力でパイプ内を流れるため、温水式のようにポンプを必要とせず、高層の建物で利用するのが容易である。一方で、温水より高温の蒸気を利用することから外気との温度差が大きく、熱散逸が起こりやすい。 日本ではスチーム暖房として、古くは日光金谷ホテルで1914年(大正3年)に一部の客室に採用され、1923年(大正12年)には全館採用された。同じく1914年に鉄道院直営であった奈良ホテルでも全館暖房用として約1年をかけて順次導入されている。その後次第に学校、病院、役所、刑務所など多くの人が集まる施設に広く採用され、昭和年代後期頃まで使われた。同潤会アパートの中の「江戸川アパートメント」などにも設置されていた。北海道では現在でも使用されている。 蒸気式ラジエーターは、凝縮水が適切に排水されなければ水撃作用あるいはスチームハンマーと呼ばれる騒音を発しやすい。パイプやラジエーターのどこかをハンマーで叩いたような金属音で、音の大小や発生周期は設備の状態に依存する。パイプやラジエーターが設置当初の位置から傾いたり、昼夜の寒暖などより凝縮水がパイプやラジエーターの中で滞留すると発生する。滞留した水に蒸気が触れると、蒸気が急速に冷却されて凝縮する。これによって管内の圧力が急低下して高速で水が流動し、その勢いでパイプやラジエーターに衝撃を与えている音である。
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