純物質の蒸気とは? わかりやすく解説

純物質の蒸気

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/14 02:11 UTC 版)

標準モルエントロピー」の記事における「純物質の蒸気」の解説

標準圧力温度 T において液体である物質場合は、温度 T の蒸気標準モルエントロピー S°m(gas; T) を上述方法求めることはできない。この場合は、温度 T で液相平衡にある蒸気のモルエントロピー Sm(gas; T, Pvap) から S°m(gas; T) を求める。ただし Pvap は温度 T における平衡蒸気圧である。蒸気のモルエントロピー Sm(gas; T, Pvap) は蒸気平衡にある液体のモルエントロピー Sm(liq; T, Pvap) に、温度 T、圧力 Pvapにおける蒸発エントロピ変化加算する求められるS m ( gas ; T , P vap ) = S m ( liquid ; T , P vap ) + Δ vap H m ( T , P vap ) T {\displaystyle S_{\text{m}}({\text{gas}};T,P_{\text{vap}})=S_{\text{m}}({\text{liquid}};T,P_{\text{vap}})+{\frac {\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}(T,P_{\text{vap}})}{T}}} 蒸気平衡にある液体のモルエントロピー Sm(liquid; T, Pvap) は、液体標準モルエントロピー S°m(liquid; T) と S m ( liquid ; T , P vap ) = S m ∘ ( liquid ; T ) + ∫ P vap P ∘ V m ( liquid ; T , P ) α ( liquid ; T , P ) d P {\displaystyle S_{\text{m}}({\text{liquid}};T,P_{\text{vap}})=S_{\text{m}}^{\circ }({\text{liquid}};T)+\int _{P_{\text{vap}}}^{P^{\circ }}V_{\text{m}}({\text{liquid}};T,P)\alpha ({\text{liquid}};T,P)dP} の関係にある。ただし α(liquid; T, P) は温度 T、圧力 P における液体熱膨張率である。蒸気標準モルエントロピー S°m(gas; T) と平衡蒸気圧蒸気のモルエントロピー Sm(gas; T, Pvap) の関係は、標準圧力気体のモルエントロピー Sm(gas; T, P°) から気体標準モルエントロピー S°m(gas; T) を求めた時と同じよう考えると S m ∘ ( gas ; T ) = S m ( gas ; T , P vap ) + ∫ 0 P vap { ( ∂ V m ∂ T ) P − R P } d P + R ln ⁡ P vap P ∘ {\displaystyle S_{\text{m}}^{\circ }({\text{gas}};T)=S_{\text{m}}({\text{gas}};T,P_{\text{vap}})+\int _{0}^{P_{\text{vap}}}\left\{\left({\frac {\partial V_{\text{m}}}{\partial T}}\right)_{P}-{\frac {R}{P}}\right\}dP+R\ln {\frac {P_{\text{vap}}}{P^{\circ }}}} となる。これらの3式をまとめると蒸気標準モルエントロピー S°m(gas; T) は S m ∘ ( gas ; T ) ≃ S m ∘ ( liquid ; T ) + Δ vap H m ( T , P vap ) T + V m ( liquid ; T , P ∘ ) α ( liquid ; T , P ∘ ) ( P ∘ − P vap ) + P vap d B V d T + R ln ⁡ P vap P ∘ {\displaystyle S_{\text{m}}^{\circ }({\text{gas}};T)\simeq S_{\text{m}}^{\circ }({\text{liquid}};T)+{\frac {\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}(T,P_{\text{vap}})}{T}}+V_{\text{m}}({\text{liquid}};T,P^{\circ })\alpha ({\text{liquid}};T,P^{\circ })\left(P^{\circ }-P_{\text{vap}}\right)+P_{\text{vap}}{\frac {dB_{V}}{dT}}+R\ln {\frac {P_{\text{vap}}}{P^{\circ }}}} となる。ただし、液体モル体積熱膨張率圧力依存性無視した。また気体の不完全性補正は、先と同様にビリアル展開第二項で打ち切っている。液体モル体積熱膨張率それぞれ Vm(liquid) 〜 100 cm3mol−1, α(liquid) 〜 103 K−1 とすれば V m ( liquid ; T , P ∘ ) α ( liquid ; T , P ∘ ) ( P ∘ − P vap ) ∼ 104 m 3 m o l − 1 ⋅ 103 K − 1 ⋅ 10 5 P a = 0.01 J K − 1 m o l − 1 {\displaystyle V_{\text{m}}({\text{liquid}};T,P^{\circ })\alpha ({\text{liquid}};T,P^{\circ })\left(P^{\circ }-P_{\text{vap}}\right)\sim 10^{-4}\,{\rm {{m^{3}mol^{-1}}\cdot 10^{-3}\,{\rm {{K^{-1}}\cdot 10^{5}\,{\rm {{Pa}=0.01\,{\rm {J\,K^{-1}mol^{-1}}}}}}}}}} であり、また Pvap 〜 P°/10 であれば気体の不完全性補正は 0.01 J K−1mol−1 以下となり、これら二つの項の標準モルエントロピーへの寄与小さい。よってこれら二つの項を無視する近似で、蒸気標準モルエントロピー S°m(gas; T) は S m ∘ ( gas ; T ) ≃ S m ∘ ( liquid ; T ) + Δ vap H m ( T , P vap ) T + R ln ⁡ P vap P ∘ {\displaystyle S_{\text{m}}^{\circ }({\text{gas}};T)\simeq S_{\text{m}}^{\circ }({\text{liquid}};T)+{\frac {\Delta _{\text{vap}}H_{\text{m}}(T,P_{\text{vap}})}{T}}+R\ln {\frac {P_{\text{vap}}}{P^{\circ }}}} と算出される例えば、298.15 K の水蒸気であれば S m ∘ ( gas ) J K − 1 m o l − 1 = 69.91 + 44016 298.15 + 8.3145 ⋅ ln ⁡ 31.70 h P a 1000 h P a = 188.84 {\displaystyle {\frac {S_{\text{m}}^{\circ }({\text{gas}})}{\rm {J\,K^{-1}mol^{-1}}}}=69.91+{\frac {44016}{298.15}}+8.3145\cdot \ln {\frac {31.70\,{\rm {hPa}}}{1000\,{\rm {hPa}}}}=188.84} となる。 以上のことから純物質の蒸気の標準モルエントロピー S°m(T) は、温度 T における液体または固体標準モルエントロピー S°m(liquid; T) または S°m(solid; T) と、その温度における蒸発熱または昇華熱と、平衡蒸気圧からよい精度算出できること分かるよりよい精度標準モルエントロピー算出するには、液体密度熱膨張率、および蒸気不完全性補正必要になる

※この「純物質の蒸気」の解説は、「標準モルエントロピー」の解説の一部です。
「純物質の蒸気」を含む「標準モルエントロピー」の記事については、「標準モルエントロピー」の概要を参照ください。

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