ひょうじゅん‐あつりょく〔ヘウジユン‐〕【標準圧力】
読み方:ひょうじゅんあつりょく
⇒標準状態
標準圧力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/06 17:12 UTC 版)
指定される圧力は、標準圧力(英: standard pressure)と呼ばれる。しばしば標準圧力であることを示すために記号 ° を付けて p° と書かれる。どのような圧力を p° に指定してもよいので、どのような圧力を p° に指定したのかは明示されなければならない。 標準圧力の設定として主なものが二種類ある。一つは、歴史的に用いられてきた、標準大気圧(英: standard atmosphere) p ∘ ≡ 1 atm = 101 325 Pa {\displaystyle p^{\circ }\equiv 1\ {\text{atm}}=101\ 325\ {\text{Pa}}} であり、もう一つは1982年にIUPACが推奨した p ∘ ≡ 1 bar = 100 000 Pa {\displaystyle p^{\circ }\equiv 1\ {\text{bar}}=100\ 000\ {\text{Pa}}} である。105パスカル(1バール、1 bar)は、標準状態圧力(英: standard-state pressure, SSP)と呼ばれる。ただし、1982年以前は標準大気圧 101.325 kPa がSSPであった。SSPとは、後述する「物質の標準状態」を規定する際に用いられる圧力であって、他の標準圧力の使用を妨げるものではない。例えばデータベースに収録されている物質の沸点は大抵の場合、標準大気圧下の沸点(normal boiling point)である。 1960年の国際単位系(SI)の採択を経て、IUPACでも1969年にGreen bookを出版してSIへの転換とした。その後1970年代のGreen book改訂の際に標準気圧が非SIになるとして、SSPの慣習的な1気圧(1 atm)から105パスカル(1バール、1 bar)への変更が主張され、IUPACの推奨はこの主張に沿って行われた。20年以上(2004年当時)を経過してもIUPACの推奨はしばしば無視されており、化学熱力学のデータベースに二種類の設定があることで混乱が見られる。種々の物理定数の推奨値を発表しているCODATAはIUPACの推奨に沿って後者をSSPとしているが、標準圧力の設定に依存する理想気体のモル体積やサッカー・テトロード定数などは、100 kPa および 101.325 kPa の両方の標準圧力に基づく値で発表している。 IUPACによるSSPの変更の推奨は単位の変更に伴うものとして行われたが、標準状態とは(仮想的な)測定条件であり、基準とする量の選び方であって、単位の選び方ではない。物理学の理論は単位の選び方には依らないが、例えば標準生成エンタルピーは標準状態の設定に依存してその量が変化する(単位の変更による数値の変化ではない)。そもそも、105パスカル、あるいはバールは、SIに沿った一貫性のある単位ではないことに注意。
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