純物質の一次相転移とは? わかりやすく解説

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純物質の一次相転移

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 01:47 UTC 版)

等温過程」の記事における「純物質の一次相転移」の解説

温度 Tex環境下で純物質液体状態から気体状態に移行させる等温準静過程について考える。ピストン付き容器純物質液体満たした後、等温静的ピストン引いて容積 V を大きくしていくと、容器内の圧力 P は急激に減少していく。しかし、温度 Tex臨界温度カタルーニャ語: temperatura crítica)より低いときには、ある体積 VA超えるピストン引いて圧力 P が変化しなくなる。このとき容器内では気相液相共存し、二相が相平衡の状態にある。容積 V をさらに大きくしていくと、圧力 P は一定のままで、相平衡保ったまま液相体積減少し気相体積増加する容器容積別のある体積 VB達すると液相消失しその後圧力 P が再び滑らかに減少していく。気相液相共存して相平衡の状態にあるときの圧力、すなわち (∂P/∂V)T = 0 となる圧力をその温度におけるその物質の蒸気圧という。蒸気圧 Pvap(T) は物質の種類温度で決まる圧力で、物質体積には依存しない臨界温度より低く三重点固相液相気相三相平衡にある温度)より高い温度では、Pvap(T) は温度 T の滑らかな関数である。 この節では、温度 Tex圧力 Pvap(Tex) の環境下で、純物質体積 VA液体状態から体積 VB気体状態に移行させる等温過程について述べる。 温度 T および体積 V の関数として表されヘルムホルツエネルギー F(T,V) は、気相液相共存している領域でも体積 V に関して偏微分可能なので、ヘルムホルツエネルギー変化 ΔF は Δ F = − ∫ V A V B P ( T ex , V ) d V = − P vap ( T ex ) Δ V {\displaystyle \Delta F=-\int _{V_{\text{A}}}^{V_{\text{B}}}P(T_{\text{ex}},V)dV=-P_{\text{vap}}(T_{\text{ex}})\Delta V} となる。ここで、気相液相共存している領域では P(Tex, V) = Pvap(Tex) であって体積 V に依存しないことを用いたギブズエネルギー変化 ΔG は、G = F + PV の関係を使ってヘルムホルツエネルギー変化 ΔF から求めることができる。 Δ G = Δ F + Δ ( P V ) = Δ F + P vap Δ V = 0 {\displaystyle \Delta G=\Delta F+\Delta (PV)=\Delta F+P_{\text{vap}}\Delta V=0} 蒸気圧 Pvap(Tex) の下で純物質液体気体相転移するとき、その物質のギブスエネルギー変化しないエントロピー変化 ΔS は Δ S = ∫ V A V B ( ∂ P ∂ T ) V d V = ∫ V A V B d P vap d T d V = d P vap d T Δ V {\displaystyle \Delta S=\int _{V_{\text{A}}}^{V_{\text{B}}}\left({\frac {\partial P}{\partial T}}\right)_{V}dV=\int _{V_{\text{A}}}^{V_{\text{B}}}{\frac {dP_{\text{vap}}}{dT}}dV={\frac {dP_{\text{vap}}}{dT}}\Delta V} となる。ここで、気相液相共存している領域では (∂P/∂T)V = dPvap/dT であって体積 V に依存しないことを用いたエンタルピー変化 ΔH は、G = H - TS の関係を使って求める。 Δ H = Δ G + Δ ( T S ) = T ex d P vap d T Δ V {\displaystyle \Delta H=\Delta G+\Delta (TS)=T_{\text{ex}}{\frac {dP_{\text{vap}}}{dT}}\Delta V} この関係式d P vap ( T ) d T = Δ H ( T , P vap ( T ) ) T Δ V ( T , P vap ( T ) ) {\displaystyle {\frac {dP_{\text{vap}}(T)}{dT}}={\frac {\Delta H(T,P_{\text{vap}}(T))}{T\Delta V(T,P_{\text{vap}}(T))}}} と書き直した式は、クラウジウス・クラペイロンの式呼ばれる内部エネルギー変化 ΔU は、F = U - TSH = U + PV の関係を使って求める。 Δ U = ( T ex d P vap d T − P vap ( T ex ) ) Δ V {\displaystyle \Delta U=\left(T_{\text{ex}}{\frac {dP_{\text{vap}}}{dT}}-P_{\text{vap}}(T_{\text{ex}})\right)\Delta V} 以上より温度 Tex 圧力 Pvap(Tex) の下で液体気体相転移するときの F, G, S, H, U の変化量は、気体液体体積の差 ΔV(Tex) と Tex における蒸気圧曲線傾き dPvap/dT から求められることが分かる

※この「純物質の一次相転移」の解説は、「等温過程」の解説の一部です。
「純物質の一次相転移」を含む「等温過程」の記事については、「等温過程」の概要を参照ください。

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