飽和水蒸気圧とは? わかりやすく解説

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ほうわすいじょうき‐あつ〔ハウワスイジヨウキ‐〕【飽和水蒸気圧】

読み方:ほうわすいじょうきあつ

空気中の水蒸気飽和したときの水蒸気圧温度上がる大きくなる


飽和水蒸気量

(飽和水蒸気圧 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/15 16:22 UTC 版)

飽和水蒸気量(ほうわすいじょうきりょう) a(T) [g/m3] は、1 m3 の空間に存在できる水蒸気質量g で表したものである。飽和水蒸気密度ともいう。これは温度 T [℃] が小さいと小さくなる。

近似計算

水蒸気を理想気体と見なすと、飽和水蒸気量 a(T) は以下の式で示される:

飽和水蒸気圧曲線。沸点で1気圧になる。

空気中の飽和水蒸気圧 e(T) は気温で決まり、この値を超える分圧を有する水蒸気は安定して存在できず、結露する。

飽和水蒸気圧に湿度 RH [%] を掛けることにより、水蒸気分圧を求めることができる。

解説

湿り空気の水蒸気分圧が飽和水蒸気圧を上回っても、水蒸気が凝縮しないことがあり、これを過飽和状態と呼ぶ。過飽和状態の水蒸気は不安定であり、微小な粒子などを核として急速に凝縮するか、低温の場合は凝華昇華の逆)して氷晶となる。自然界では、この現象によりが発生する[1][2]人工降雨では、ヨウ化銀などの微粒子を過飽和状態の空気中に散布して水蒸気の凝縮を促す。

には0以下でも凍結しない過冷却状態があるので、氷点下における水の飽和水蒸気圧も存在する。自然界、特に大気上空の空気は、雲を構成する微小な水滴が過冷却状態にある。そして、この状態において微量の氷晶が形成されると、氷の飽和水蒸気圧が水の飽和水蒸気圧よりも少し低い影響で、氷の周りにある微小水滴が蒸発して氷の表面に凝華していく。これを昇華成長[注釈 1]といい、は形成初期に主にこのプロセスで成長する[1][2]

また、放射線により気体分子が電離して発生するイオンを核として、過飽和状態の水蒸気が凝縮することを応用したものが霧箱である。

一覧表

以下の表における相対湿度100%のときの絶対湿度が飽和水蒸気量である。

地球の大気海面高度における絶対湿度 g/m3 (oz/cu. yd)[3][4]
温度 相対湿度
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
50 °C
(122 °F)
0
(0)
8.3
(0.22)
16.6
(0.45)
24.9
(0.67)
33.2
(0.90)
41.5
(1.12)
49.8
(1.34)
58.1
(1.57)
66.4
(1.79)
74.7
(2.01)
83.0
(2.24)
45 °C
(113 °F)
0
(0)
6.5
(0.18)
13.1
(0.35)
19.6
(0.53)
26.2
(0.71)
32.7
(0.88)
39.3
(1.06)
45.8
(1.24)
52.4
(1.41)
58.9
(1.59)
65.4
(1.76)
40 °C
(104 °F)
0
(0)
5.1
(0.14)
10.2
(0.28)
15.3
(0.41)
20.5
(0.55)
25.6
(0.69)
30.7
(0.83)
35.8
(0.97)
40.9
(1.10)
46.0
(1.24)
51.1
(1.38)
35 °C
(95 °F)
0
(0)
4.0
(0.11)
7.9
(0.21)
11.9
(0.32)
15.8
(0.43)
19.8
(0.53)
23.8
(0.64)
27.7
(0.75)
31.7
(0.85)
35.6
(0.96)
39.6
(1.07)
30 °C
(86 °F)
0
(0)
3.0
(0.081)
6.1
(0.16)
9.1
(0.25)
12.1
(0.33)
15.2
(0.41)
18.2
(0.49)
21.3
(0.57)
24.3
(0.66)
27.3
(0.74)
30.4
(0.82)
25 °C
(77 °F)
0
(0)
2.3
(0.062)
4.6
(0.12)
6.9
(0.19)
9.2
(0.25)
11.5
(0.31)
13.8
(0.37)
16.1
(0.43)
18.4
(0.50)
20.7
(0.56)
23.0
(0.62)
20 °C
(68 °F)
0
(0)
1.7
(0.046)
3.5
(0.094)
5.2
(0.14)
6.9
(0.19)
8.7
(0.23)
10.4
(0.28)
12.1
(0.33)
13.8
(0.37)
15.6
(0.42)
17.3
(0.47)
15 °C
(59 °F)
0
(0)
1.3
(0.035)
2.6
(0.070)
3.9
(0.11)
5.1
(0.14)
6.4
(0.17)
7.7
(0.21)
9.0
(0.24)
10.3
(0.28)
11.5
(0.31)
12.8
(0.35)
10 °C
(50 °F)
0
(0)
0.9
(0.024)
1.9
(0.051)
2.8
(0.076)
3.8
(0.10)
4.7
(0.13)
5.6
(0.15)
6.6
(0.18)
7.5
(0.20)
8.5
(0.23)
9.4
(0.25)
5 °C
(41 °F)
0
(0)
0.7
(0.019)
1.4
(0.038)
2.0
(0.054)
2.7
(0.073)
3.4
(0.092)
4.1
(0.11)
4.8
(0.13)
5.4
(0.15)
6.1
(0.16)
6.8
(0.18)
0 °C
(32 °F)
0
(0)
0.5
(0.013)
1.0
(0.027)
1.5
(0.040)
1.9
(0.051)
2.4
(0.065)
2.9
(0.078)
3.4
(0.092)
3.9
(0.11)
4.4
(0.12)
4.8
(0.13)
−5 °C
(23 °F)
0
(0)
0.3
(0.0081)
0.7
(0.019)
1.0
(0.027)
1.4
(0.038)
1.7
(0.046)
2.1
(0.057)
2.4
(0.065)
2.7
(0.073)
3.1
(0.084)
3.4
(0.092)
−10 °C
(14 °F)
0
(0)
0.2
(0.0054)
0.5
(0.013)
0.7
(0.019)
0.9
(0.024)
1.2
(0.032)
1.4
(0.038)
1.6
(0.043)
1.9
(0.051)
2.1
(0.057)
2.3
(0.062)
−15 °C
(5 °F)
0
(0)
0.2
(0.0054)
0.3
(0.0081)
0.5
(0.013)
0.6
(0.016)
0.8
(0.022)
1.0
(0.027)
1.1
(0.030)
1.3
(0.035)
1.5
(0.040)
1.6
(0.043)
−20 °C
(−4 °F)
0
(0)
0.1
(0.0027)
0.2
(0.0054)
0.3
(0.0081)
0.4
(0.011)
0.4
(0.011)
0.5
(0.013)
0.6
(0.016)
0.7
(0.019)
0.8
(0.022)
0.9
(0.024)
−25 °C
(−13 °F)
0
(0)
0.1
(0.0027)
0.1
(0.0027)
0.2
(0.0054)
0.2
(0.0054)
0.3
(0.0081)
0.3
(0.0081)
0.4
(0.011)
0.4
(0.011)
0.5
(0.013)
0.6
(0.016)

脚注

注釈

  1. ^ この部分は「凝華」の語が広まる以前の雲物理学の解説であり、現表記どおりとした。現在推奨される化学用語に置換すると凝華成長。

出典

  1. ^ a b 荒木健太郎『雲の中では何が起こっているのか』(初版)ベレ出版、2014年、45-51,138-142頁。ISBN 978-4-86064-397-3 
  2. ^ a b 小倉義光『一般気象学』(2版)東京大学出版会、1999年、78-88,92-98頁。 ISBN 978-4-13-062706-1 
  3. ^ Climate/humidity table”. Transport Informations Service. German Insurance Association. 2021年6月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月17日閲覧。
  4. ^ Absolute Humidity Table”. mercury.pr.erau.edu. 2021年6月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月17日閲覧。

参考文献

  • Wagner, Wolfgang; Pruss, A. (1993). “International Equations for the Saturation Properties of Ordinary Water Substance. Revised According to the International Temperature Scale of 1990. Addendum to J. Phys. Chem. Ref. Data 16 , 893 (1987)”. Journal of Physical and Chemical Reference Data 22 (3): 783–787. doi:10.1063/1.555926. ISSN 0047-2689. }
  • Wagner, W.; Pruß, A. (2002). “The IAPWS Formulation 1995 for the Thermodynamic Properties of Ordinary Water Substance for General and Scientific Use”. Journal of Physical and Chemical Reference Data 31 (2): 387–535. doi:10.1063/1.1461829. ISSN 0047-2689. 

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