第一シリーズ旧版
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シリーズの初期は順序と発行年がそろっていないものがあるが、これは長い年月をかけてシリーズがそろえられたためである(事情の一部については後述)。 ぼくは王さま(作品集初版1961年→シリーズ化1974年) 前述の『ぞうのたまごのたまごやき』が発表された後、これを読んだ今江祥智が理論社初代社長の小宮山量平に掛け合い、刊行が実現する。続編を何本か収録し、第一シリーズ旧版で最初の作品集として出版された。挿絵は初代画家の山中春雄が43歳で他界(殺人被害)してしまったため、シンプルな直線が目立つ和田誠が担当、寺村の知人の教師の教え子にあたる(和田は他にも寺村の初期作品『ノコ星ノコくん』を担当)。さらに初版ではこのシリーズは寺村以外もすべて、表紙のみ長新太だった。小宮山は自社書籍の出版記念パーティーには出席しないポリシーだったが、当時としては極めて奇抜な内容の作品だったため、業界の批判に対してのフォローをする目的でパーティーに出席したが、幸運にも杞憂に終わった。この時藤田圭雄は「この作品は不思議だ。読むと面白いが、閉じると忘れてしまう。しかしまた開くと、面白さが沸いてくる」と語っている。以降のシリーズに対し当巻だけは和田の挿絵が続いたが、旧版の末期増版から和歌山に交代している。ぞうのたまごのたまごやき - 『母の友』に掲載しゃぼんだまのくびかざり - 『日本児童文学』に掲載ウソとホントの宝石ばこ - 『日本児童文学』に掲載サーカスにはいった王さま 王さまばんざい(小学生文庫版1961年→シリーズ化1975年) 基本設定はほぼ固まっている。和歌山の挿絵はこの時が初めてで、デッサンが異なる、王さまの髪の毛などベタ(黒い部分)が塗られていないといった違いがある。この小学生文庫版は旧版と比べ約二倍の厚さがあり、後に旧版として作り直す際に『王さまばんざい』と『王さまロボット』に分割された。フォア文庫版の表題作は当初、人気エピソードである『おしゃべりなたまごやき』を使ったが、表題作からシリーズ全体の一貫性が判りにくいため、1998年版からは『王さまばんざい おしゃべりなたまごやき』に改められた。台湾でも台湾英文雑誌社から1995年に発売されている。おしゃべりなたまごやき 福音館書店版が初出。最も人気の高いエピソードの一つで、シングルカットやアニメ化の対象にもなっている。またラストシーンの小道具が目玉焼きであるため、「おしゃべりなめだまやき」という題名で出た本も存在する。木の上にベッドクジラのズボンきんのたまごが6つあるなんでもほしいほしがりやパクパクとバタバタ - アンソロジー「新編童話教室」(1967年、実業之日本社)では「ぱくぱくとばたばたのはなし」の題で収録。ニセモノばんざいわすれたわすれんぼ - アンソロジー「よみうりどうわ」(1967年、盛光社)では「王さまのわすれんぼ」の題で収録。いいことないしょでひとつぶころりチョコレート王さまどうぶつえん 王さまロボット(シリーズ化1975年) 当巻のエピソード収録の事情(順番)については、そうさくS・F童話『ハアト星の花』と小学生文庫版を参照。なんでもロボットヤンコ星の雪ガルメ星のどくモルト星の石ハアト星の花とうめい人間の10時 王さまびっくり(1974年) 当巻からはエピソードの大半が書き下ろしとなっている。王さまびっくり - 後述する「王さまのカラー童話」の「びっくり しゃっくり」が初出。カレンダーは日よう日 - 「王さまのカラー童話」が初出。たまごがいっぱいたんじょう日のプレゼントわるい子になりたいまほうのレンズ見てはいけないたまごやき 王さま名たんてい(1977年) 王さまめいたんていさんすうのじかんですひみつのフライパンこいのぼりの空めだまやきの化石 王さまたんけんたい(1978年) ねずみが大さわぎこいのぼりのそらむくむくもこぞうとけいがぐるぐる王さまでかけましょう『おうさまでかけましょう』(フレーベル館、1979年)が初出。また1986年から1999年まで、光村図書の小学2年生用教科書『こくご上』に収録された。王さまたんけんたい 王さまレストラン(1981年) 王さまレストランくじらのオムレツ卵を中心とした寺村のエッセイ、『 王さまの料理読本』(みずうみ書房、1979年)が初出。空をとんだトースト王さまのくいしんぼうトランプは王さまぬき 王さまパトロール(1984年) 王さまパトロールなみだのピッチョン王さましょうぼうたいゆめの中でゆめ王さまタクシー まほうつかいのチョモチョモ(実業之日本社1969年→理論社1985年) 基本設定とイントロは同じだが、いつもの性格でも魂だけ幽体離脱してしまった王さまと、博士の強引な治療で抜け殻から暴君になった王さま二人に分離してしまう。びわの実会時代の仲間である松谷みよ子が、本作を再録したポプラ社「寺村輝夫童話全集」IIIの解説文で語る所によると「解説文を書く前に、本作の初出作品である『びわの実ノート』連載分とを読み比べてみたが、全体的に大規模な加筆が行われている」とのこと。作品集でなくシリーズ初の長編で(冒頭にも「ながいながい、王さまの話です」とある)、完全に番外編である。後に理論社へ譲渡、正規の第一シリーズに組み込まれたが、ページ数やサブタイトルなどが他のシリーズと合わないのはこのためである。和歌山の挿絵描き直しも旧版では外側のみで、本文中は実業之日本社版のまま、小学生文庫版と旧版の中間的・過渡的な作風で描かれている。講談社青い鳥文庫版・角川書店版・フォア文庫版では、理論社の新版より一足先に『魔法使いのチョモチョモ』の表記で出ている。 王さまかいぞくせん(1985年) 一冊で全1エピソード。 以後のシリーズは全て、本文中にカラーページを入れるなど、旧版よりカラフルになっている。
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