沖縄戦についてのアメリカ軍による評価とは? わかりやすく解説

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沖縄戦についてのアメリカ軍による評価

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 17:43 UTC 版)

沖縄戦」の記事における「沖縄戦についてのアメリカ軍による評価」の解説

圧倒的な戦力差があったにもかかわらず洞窟陣地利用した粘り強い防御戦闘と反斜面陣地などの巧み陣地形成苦戦強いられたアメリカ軍は、この日本軍防御戦闘を「歩兵戦闘の極み」と評した。「沖縄作戦主な戦訓」と題されアメリカ軍秘密報告書においては「この戦いアメリカ軍にとって史上最大激戦のひとつになった」とも評された。 アメリカ陸軍省戦史編集公式報告書OKINAWA: THE LAST BATTLE」での総括は「沖縄支払った代償高価なものであったアメリカ軍死傷者最終的な対価は、日本軍対するどの方面作戦経験したものよりも高かった」「勝利の高い代償は、予想上の強力な戦力持って巧みに先導され日本陸軍戦ったこと、厳重かつ巧妙に要塞化された難し地形越えたこと、故国を何千km離れて戦った事実よるものだった」「作戦予想していたより遙かに長引いた」など、苦し戦いであった事を指摘した上で「だが、アメリカ軍は、希望するどんな土地最後に日本軍から奪うことができること沖縄示した」と激戦勝ち抜いた自信示している。 またアメリカ海兵隊の公式活動報告書でも「(日本兵は)よく訓練され統制もとれた陸軍兵士で、特に士気の高さと、身体能力の高さは特筆すべきである」とか「日本軍兵士は常に頑強機知にとんだ戦法戦い絶対に降伏しなかった」等、その能力高く評価している。シュガーローフの戦い名誉勲章受賞し、のちに在沖アメリカ軍司令官となったジェイムズ・L・デイ英語版少将は、自分経験から「日本軍将兵素晴らし男たちであった航空部隊による直接支援なければ海軍部隊による支援もなく、事実上何の支援受けられない状態で戦うには、非常に柔軟かつ巧妙な戦闘指導要求される」と日本軍将兵および前線指揮官優秀さ評価している。 前線アメリカ軍兵士も、当初人種差別憎しみから「日本兵は、がに股飛び跳ねながらのように金切り声上げたり豚のように鳴いたりする奴ら思っていた」という偏見を持つ兵士多かったが、シュガーローフなどの激戦経て日本兵極めて統率のとれた集団だ」とか「日本兵実際に見ると落ち着き払っており、アメリカ軍海兵隊員と同じ顔つきだった」という印象変わっていき、更に日本兵への畏敬の念が行過ぎて日本兵大したとがない、なんて抜かす奴がいたら俺が撃ち殺してやる」と新兵怒鳴り散らす小隊長もいたという。 アメリカ海軍特別攻撃隊沖縄戦終始苦しめられアメリカ海軍史上最悪損害を被ることになったが、太平洋方面連合軍最高司令官ニミッツは「沖縄作戦攻撃側にとってもまことに高価なのだった。約13,000名のアメリカ兵戦死したが、その内3,400名が海兵隊で4,000名が海軍だった。艦隊における死傷者大部分日本機、主として特攻機により生じたのである」と回顧している。また、沖縄守備隊が非常に頑強で、この後計画されている日本本土侵攻作戦ダウンフォール作戦」の展望について、アーネスト・キング海軍作戦部長下記様に報告している。 日本軍準備され防御陣地布陣し補給受けられる所では、我がアメリカ軍の最優秀部隊が、従来になかった強力な航空支援艦砲射撃砲兵支援のもとに攻撃しても、遅々たる前進しできないような強力な戦闘力発揮する事が沖縄実戦証明された。日本軍まとまった人数降伏したことはなく、わが軍膨大な死傷者を出すことなく日本軍部隊撃破する事は不可能である。南九州関東平野の様な攻撃目標となっていることが明らかな地域が、沖縄様に堅固に防御されていないだろうと期待することは非現実的と言うべきであろう戦後日本進駐して徹底的な調査おこなった米国戦略爆撃調査団も、特に沖縄戦での特攻作戦に対して下記の様な評価行っている。 十分な訓練受けていないパイロット旧式機を操縦しても、集団特攻攻撃水上艦艇にとって非常に危険であることが沖縄戦証明された。終戦時でさえ、日本本土接近する侵攻部隊対し日本空軍特攻攻撃によって重大な損害与え能力有していた事は明白である。 歴史家ジョージ・ファイファーは、アメリカ側沖縄戦書籍としては、最も詳細なものの一つとなる著書 "Tennozan: The Battle of Okinawa and the Atomic Bomb" の中で「前年の夏にノルマンディ防御した一部ドイツ軍部隊は、極めて多い死傷者にも関わらず持ち堪え逆襲ら行って、連合軍指揮官に強い感銘与えた。しかし、ドイツ軍の兵器多く日本軍のものと違って対抗する連合軍兵器より優れていた。暗い見通し関わらず優れた戦術忍耐戦ったドイツ機甲師団も、沖縄日本軍示した離れ業には匹敵できなかった(中略このような状況くじけることなく多く死傷者が出るという悲劇にも耐える事ができたのが日本陸軍だけであったろう(中略驚くべきことは、組織軍紀低下せず、これほど長く保持されていたことである」とノルマンディー上陸作戦ドイツ軍沖縄戦日本陸軍対比し日本陸軍夥しい損失にも関わらず最後まで組織的な戦闘継続したことに驚嘆している。 沖縄戦が終わると、イギリスの首相ウィンストン・チャーチルアメリカの大統領ハリー・S・トルーマン向けて「この戦いは、軍事史の中で最も苛烈名高いものであります。我々は貴方の全ての部隊とその指揮官敬意表します」と慰労称賛言葉送っている。 従軍記者としてピューリッツァー賞受賞し沖縄戦取材した経験を持つアメリカの軍事評論家ハンソン・ボールドウィン(英語版)は沖縄戦振り返って下記のように総括している。 その規模その広がり、その苛烈さにおいて バトル・オブ・ブリテンすら影の薄いものとした。飛行機飛行機水上部隊航空部隊の間で、これほど凄惨な、独特の死闘が行われた事は、後にも先にもない。これほど短期間の内に(アメリカ海軍がかくも多く艦艇失ったことはなかったし、これほど狭い地域でかくも短期間内に、これほどアメリカ軍将兵の血が流された事もない。おそらく3ヶ月の間に敵(日本軍)がこれほど大きな損害被った事もかつてなかったであろう。(中略陸戦としては、もっと大き会戦もあったし、もっと長期に渡る航空戦もあったが、沖縄作戦最大規模統合作戦であり、海上海中陸上において仮借のない戦闘継続されのである沖縄戦人間忍耐力勇気叙事詩であった日本軍攻撃創意満ち決死的であった。これに対しアメリカ軍防衛成功し沖縄攻略成功したのは卓越した補給作戦計画およびその断固たる実施よるものである。 なお、ボールドウィンは、戦後沖縄戦陸軍司令官牛島満大将について「太平洋戦争通じて日本には二人名将がいる。陸の牛島、海の田中海軍中将田中頼三提督)」と評している。

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