東京第六検察審査会の議決後の動き
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「河井夫妻選挙違反事件」の記事における「東京第六検察審査会の議決後の動き」の解説
2022年2月15日、広島県議会の2月定例会が開会し、中本隆志議長は開会あいさつで、県議10人を含む35人が起訴相当とされた検審の議決に触れ、「県議会として重く受け止める。改めて議員一人一人が襟を正し、より一層高い倫理観を持ち、県議会全体で県民の信頼回復に取り組みたい」と述べた。辞職しなかった奥原信也県議は取材で進退について「検察が近いうちに判断するので、それに従いたい」「私は逃げも隠れもせん。検察の判断が出たら、また話す」と述べた。また、同じく辞職しなかった渡辺典子県議は開会前の取材に「(河井夫妻側から)頂いた10万円は法にのっとって正しく処理している、という認識。これまでと主張は変えていない」と述べた。起訴相当とされた後も、検察に改めて同様の説明をした。「進退は私のタイミングで判断するが(主張が)認められない場合は考えないといけない」と答えた。 2022年2月26日、再捜査を行っている東京地方検察庁特別捜査部は地方議員ら35人のうち30人余りを起訴する方針であることが報じられた。買収を認めた議員らの多数については「略式起訴」とする方針で、買収を否認している数人は正式な裁判で罪を問うことを検討している。「不起訴不当」とされた46人は、再び不起訴となる見通し。その場合、検察審査会の2回目の審査は行われず、捜査は終わることになる。 2022年3月2日、東京第六検察審査会が「起訴相当」と議決した広島市議のうち藤田博之、伊藤昭善、谷口修、三宅正明、木山徳和の5人が記者会見し、5人連名の共通コメントを発表した(5市議のコメント全文)。 2022年3月4日午後、市民団体「河井疑惑をただす会」は、河井夫妻の大規模買収事件を巡り、3月2日に記者会見を開いた広島市議会議員が「買収の認識はなかった」などと表明したことについて、「議会を軽視する大きな問題だ」と広島市中区の街頭で批判した。また、東京第六検察審査会から起訴相当と議決された地方議員など35人について、即刻、起訴するように求めた。 2022年3月3日付で、東京地方検察庁は、東京第六検察審査会から「起訴相当」と議決された35人のうちの34人について、事件を広島地方検察庁に移送した。東京地方検察庁特捜部は3月4日付で告発人に通知した。起訴相当の35人は大半が容疑を認める一方で最初の捜査では容疑を認めながら否認に転じた地方議員もいる、34人のうち再度聴取し、現金受領の違法性を認めた人は公職選挙法違反の罪で略式起訴する方針で、否認するなどした場合は広島地方裁判所に起訴する方針、広島地方検察庁は近く処分を明らかにするとみられる、と報じられた。また、「起訴相当」と議決された残りの1人と「不起訴不当」と議決された46人については、東京地方検察庁が再び不起訴とする方針。議員らを告発した「地方議会をただす会」藤岡圭二会長は「国民の皆がこれじゃいけないと思っている。正しい裁判をして正しく裁いてもらいたい」とコメントした。 2022年3月9日、東京第六検察審査会から「起訴相当」と議決された広島市議会議員の藤田博之、伊藤昭善三、宅正明議員の3人が弁護士とともに記者会見を開き、「略式起訴には応じず裁判で戦う」として無罪を主張することを明らかにした。9日、弁護士と検察を訪れたところ「弁護士同伴では略式起訴の手続きなどの説明はできない」と言われたことから藤田と伊藤は退席した。三宅は、検察から略式起訴の手続きの説明を受けたうえで略式起訴には応じず裁判を受けると伝えた。3人はいずれも「検察が不起訴から起訴へ方針を変えた経緯について明確な説明がなかった」として「裁判で経緯を明らかにしたい」と述べた。また、河井克行元法務大臣から現金を受け取ったときには「選挙買収の認識はなかった」として、裁判では無罪を主張する。3人は裁判で判決が確定するまで現職を続ける意向を表明した。 2022年3月10日、市民団体 河井疑惑をただす会は、広島市議会の前で買収問題を追及する抗議活動を行い、広島市議会佐々木壽吉議長宛てに被買収議員全員の辞職議会改革を求める要望書を提出した。 2022年3月14日、広島地方検察庁は、東京第六検察審査会から「起訴すべき」と議決された広島の地元議員らのうち、体調不良の1人を除く34人について、公職選挙法違反の罪で起訴した。このうち25人は書面だけの審査で罰金刑などを求める略式起訴で、買収の趣旨を否定するなどした9人は正式に起訴され公開の法廷で裁判が開かれる。東京地方検察庁の森本宏次席検事は、臨時の記者会見を開き、議員ら34人を一転して起訴した理由を「検察審査会の議決は、国民の中から選ばれた人たちによる判断なので、それらをふまえて処分を再検討すべきと考えた。また、検察審査会の議決自体が理解できる内容だった」と説明した。当初、現金を受け取ったとされる議員ら全員を不起訴にしたことについて、検察と議員らとの間で、事実上の「司法取引」が行われたのではないか、という質問に対しては、「事実上の『司法取引』は行っていない。そうした指摘が必ず出ると思っていたので、捜査は慎重にやってきたつもりだ。少なくとも議員らの取り調べでは、録音録画も行っている」と述べた。議員らを告発した「地方議会をただす会」藤岡圭二会長は、起訴について「よく決断した」と評価した上で、「200万円以上の買収金を受けた議員が略式手続きで終わっていいものか。議員辞職すればそれでよいというものでもない」とコメントした。 2022年3月15日朝、市民団体 河井疑惑をただす会は広島県議会棟の前に立ち、街頭活動を行い金権政治の一掃を求めた。また、「起訴相当」の35人のうち検察が体調不良のため不起訴処分とした広島市議1人や「不起訴不当」と議決されたのち不起訴となった46人について、再捜査を求める抗議文を東京地方検察庁特別捜査部と東京第六検察審査会に提出すると取材にコメントした。 同日、広島地方検察庁から在宅起訴された広島県議会議員の佐藤一直と渡辺典子は記者会見を開き、裁判では無罪を主張し争うと表明した(コメント全文)。 同日、広島市議会の5つの会派が在宅起訴された市議6人に対し「いったんは退くことが議員の責任の取り方ではないか」として、市議会に辞職勧告決議案を提出した。 2022年3月16日、自民党広島県支部連合会は東京で会議を開き、起訴された議員への対応を協議した。寺田稔会長は「党籍は残したいという意向の方もいるかもしれないが、これちょっとやはり意向を確認して、県連として考えないといけない」とコメントした。 2022年3月17日、広島市議会で辞職勧告決議案は賛成多数で可決された。石橋竜史市議はその場で「あらためて私は絶対に買収には手を染めていないとの激しい感情を覚えた次第です。あらゆる事象を公にしていきながら今回の大規模にわたる一件を必ずや未来の政治に社会に生かしたい。まずは引き続きご負託を頂戴した任期を謹んで全身全霊を注ぎ全うしたい」と辞職せず任期全うすると表明した。藤田博之議員は「議会の信頼を回復するため一旦解散し、住民の意思が反映する選挙を行うべき」として市議会の解散を求める決議案を提出したが、採決で賛成したのは藤田議員と伊藤昭善議員の2人のみで議案は否決された。 同日夕方、広島市議会から辞職勧告決議を受けた広島市議会議員5人(伊藤昭善、木山徳和、谷口修、藤田博之、三宅正明)が弁護士とともに会見を開き「不当な決議だ」と訴え、議員辞職はせず、職務を全うしながら裁判で争うと表明した(共通コメント)。 2022年3月18日、会期を15日から3日間延長して開かれた広島県議会本会議では、検察から在宅起訴処分を受け無罪を主張している佐藤一直県議と渡辺典子県議の2人に対する辞職勧告決議案を2つの会派(第2会派「民主県政会」と第3会派「公明党」)が提出し、決議案の採決が行われ、賛成多数で可決された。閉会後、取材にそれぞれ応じた佐藤一直と渡辺典子は、県議を続けながら裁判を戦う意向をあらためて表明した。 2022年3月23日付で、下原康充(元広島県議会議員)に罰金25万円、追徴金50万円の略式命令が出た。略式命令が出された日付を報じられた中では初めての略式命令である。 2022年3月24日付で可部簡易裁判所(広島市)は、海徳裕志(元広島市議会議員)について、罰金25万円、追徴金50万円の略式命令を出した。略式起訴された地元議員ら25人のうち初の発表となった。 2022年3月28日、東京地方検察庁特別捜査部が現金を受け取った地方議員らへの捜査で河井克行元法相から話を聴いていたこと、広島地方裁判所での広島県議らの裁判にも証人として出廷する方向で調整していることが報じられた。 2022年3月29日、略式起訴された一部の元議員は、5年間の公民権停止が受け入れられないとして、略式命令を拒否し裁判で争うことを検討している、と報じられた。 2022年3月30日、自民党広島県連は自民党紀委員会(党紀委員長 松岡宏道 広島県議会議員)を開き、在宅起訴されている自民党所属の広島市議会議員である、藤田博之議員、木山徳和議員、谷口修議員、三宅正明議員、伊藤昭善議員の5人への対応を協議した。5人に対して辞職を促す文書を出し、本人の意向を確認することを決めた。5人が辞職も離党もしない場合、自民党広島県連は本人の意向を確認したうえで、除名か離党勧告処分を検討するとみられる。また、党紀委員会では離党勧告や除名などの処分を行う前に、5人の意向を確認した上で4月8日に改めて会合を開いて対応を協議する。党紀委員長の松岡宏道広島県議会議員は記者団に対し、「参議院選挙を控える中、党としてはいつまでも引っ張ることで、選挙に影響してはならない。大型連休前までに一定の結論を出していく」と述べた。 2022年3月30日に略式命令(広島簡易裁判所 2022年3月25日付 罰金25万円、追徴金50万円)を受け取った八軒幹夫(元広島市議会議員)は即日納付し、取材に「罰金額や公民権停止期間に異論はない。自分の取るべき責任が具体的に出て、精神的に楽になった」とコメントした。 2022年3月31日、自民党所属の広島市議会議員 谷口修が自民党広島県支部連合会に離党届を提出し受理された。議員辞職はしていない。 2022年4月1日、広島地方裁判所は、砂原克規(元広島県議会議員)と藤田俊雄(元廿日市市議会議員)に略式命令を出したと発表し、略式起訴25人全員の略式命令の発表が行われた。 2022年4月5日、自民党広島県支部連合会は広島市議伊藤昭善の離党届を受理した。在宅起訴の自民党広島市議の離党は2人目となった。 2022年4月6日、自民党広島県支部連合会は広島市議木山徳和の離党届を受理した。在宅起訴された自民党広島市議の離党は3人目となった。 2022年4月7日、自民党広島県支部連合会は広島市議の藤田博之と三宅正明の離党届を受理した。自民党広島県支部連合会が離党を促す文書を送った自民党所属広島市議5人全員が離党した。 同日、平本英司(元広島県議会議員)が、略式命令の内容の一部を不服として尾道簡易裁判所に正式な裁判を申し立てたと報じられた。事実関係は争わないものの、公民権停止期間の短縮を求めたいとしており、正式な裁判を申し立てたことが明らかになるのは初めて。
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