日本暗殺秘録
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『日本暗殺秘録』(にっぽんあんさつひろく[4]、Memoir of Japanese Assassinations or Assassination Right Or Wrong[1])は、1969年の日本映画。主演:千葉真一[2]、監督:中島貞夫、脚本:笠原和夫・中島貞夫、製作:東映、カラー・シネマスコープ、142分。昭和44年度芸術祭参加作品[5]。同年の京都市民映画祭では千葉真一が主演男優賞を、笠原和夫が脚本賞を受賞した。
注釈
- ^ 1901年(明治34年)に星亨は、伊庭想太郎に東京市庁参事会室内で刺殺された。詳細は星亨#生涯と伊庭想太郎#生涯を参照。
- ^ 1921年(大正10年)に安田善次郎は、朝日平吾に自宅応接間で刺殺された。詳細は安田善次郎#生涯と朝日平吾#経歴を参照。
- ^ 詳細は大杉栄#社会主義者として、大杉栄遺骨奪取事件、和田久太郎、甘粕事件#事件の余波、福田雅太郎#経歴を参照。
- ^ 中島貞夫は日本の風俗をゲリラ的に撮影した『セックスドキュメントシリーズ[10]』を5〜6人の映画スタッフのみで製作し、ヒットさせたので、大川博から報奨金を貰っていた[11][12]。俳優に高いギャランティーを支払う必要のない同シリーズを大川は、収益率が良いと高評価している[11][12]。テロのドキュメンタリーは、中島が岡田茂 (東映) へ「撮りたい」と言った話と[12][13]、岡田が「次はテロや」と中島に企画を練らせたという話の[11]、二つ説がある。
- ^ 笠原和夫は「渡邊達人さんがわりと反体制や反乱とか好きで、二・二六事件や満州事変をコツコツ自分で調べていた。会社としてアクションものの一環として軽く考えていたのだろう[15]」と証言している。
- ^ 取材で水戸市に逗留していた中島貞夫は本社へ呼び戻され、大川博に「テロリストのドキュメントを製作する」と報告[17]。「映画はおもしろくなるかね?[21]」と続けて聞かれ、内容をまだ固めきっていなかったが、中島は「社長、これはおもろいでっせ。いけますよ[21]」と大見得を切り、水戸へ引き返す[17][21]。2日後に帰社すると[21]、本作はオールスターで映画化することが決定していた[21][24]。
- ^ 菱沼五郎は自由民主党の茨城県会議員になっていたので、中島貞夫は「菱沼は完全な民主主義者になってるから、過去に対しては非常に微妙なニュアンスで、水戸のロケーション撮影にも反対された」と述べている[28]。笠原和夫は小沼正へ「菱沼さんにも会いに行きます」と伝えると、小沼から「自分に会ったことがわかったら、あいつは絶対おまえに会わない」と言われていた[29]。
- ^ 「人を殺した人間は目が違う。ギラっとしてい底光りし、心の奥底はいまだ活火山みたいで、マグマが燃え滾ってるような感じ。あの歳(50代半ばの小沼)になってもね[40]」と、笠原和夫は小沼正の印象を語っている。
- ^ 笠原和夫は小沼正ら青年の心情を千葉真一へ託す思いがあり[50]、中島貞夫から出演を口説かれていた千葉に[51]、中島の家へ寝泊まりするぐらいの姿勢を見せるべきと口を挟んだ[52][53]。笠原に発破をかけられた千葉からも[52][53]、「お願いします」と言われた中島は断れず[51]、二軒長屋の居間を使わせたので生活は大変だったが[51][53]、「役者との触れ合いだから、本作では良かった[51][53]」と中島は語っている。寝泊まりしていた千葉は自分の撮影がある前夜は、必ず中島と打ち合わせしていた[54]。
- ^ 小沼正(千葉真一)とたか子(藤純子)の別れを、小沼は「あれに近いことはあったけど、実際はあんな格好よくないよ」と語っている[28]。
出典
- ^ a b c d e 日本暗殺秘録 - 日本映画製作者連盟
- ^ a b c d e 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、205 - 206頁。
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)260頁
- ^ 本作のポスター、新聞広告に付されたルビより。
- ^ 「天皇制批判と鶴田浩二とのイザコザ」、213頁。
- ^ a b “日本暗殺秘録”. 東映チャンネル. 2022年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月16日閲覧。
- ^ a b c 「千葉真一がテロリストを熱演」、151頁。
- ^ 「テロリストの苛烈な生涯を演じた大作」、33頁。
- ^ “中日春秋”. 中日新聞. オピニオン. 中日新聞社 (2021年8月21日). 2021年8月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月28日閲覧。
- ^ 「セックスドキュメント」、271 - 272頁。
- ^ a b c 「エロからテロへ」、272 - 273頁。
- ^ a b c 『私と東映』x 中島貞夫監督(第3回)大作・問題作・意欲作 at Archive.is (archived 2014年9月9日)
- ^ 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、199頁。
- ^ a b c 「撮影の中止要請があった!?」、153頁。
- ^ a b 「テロのない戦後はアホらしい」、224頁。
- ^ 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、200頁。
- ^ a b c d e 「エロからテロへ」、273頁。
- ^ 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、199 - 200頁。
- ^ a b 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、202頁。
- ^ 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、200 - 201頁。
- ^ a b c d e f g h i 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、201頁。
- ^ 「テロのない戦後はアホらしい」、226頁。
- ^ 「文太の殺陣に観客が〈おお!〉」、300頁。
- ^ 「エロからテロへ」、273 - 274頁。
- ^ a b c d e f g h i j 「エロからテロへ」、274頁。
- ^ a b 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、201 - 202頁。
- ^ 「文太の殺陣に観客が〈おお!〉」、300 - 301頁。
- ^ a b c d 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、206頁。
- ^ 「テロのない戦後はアホらしい」、235 - 236頁。
- ^ a b c 「エロからテロへ」、275頁。
- ^ a b c 「テロのない戦後はアホらしい」、225 - 226頁。
- ^ 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、200頁。
- ^ a b 「テロのない戦後はアホらしい」、224 - 225頁。
- ^ 「文太の殺陣に観客が〈おお!〉」、301頁。
- ^ a b 「18 居候が演技開化の機会に - 千葉真一」、117頁。
- ^ 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、205頁。
- ^ 「テロリストの苛烈な生涯を演じた大作」、32頁。
- ^ 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、204 - 205頁。
- ^ 「血盟団事件と絶対的貧困」、235頁。
- ^ 「取材をしなければ想像なんて生まれない」、222頁。
- ^ 「テロリストの苛烈な生涯を演じた大作」、35頁。
- ^ 「文太の殺陣に観客が〈おお!〉」、306頁。
- ^ 「46 聞きもらし語り残し対談 中島映画で輝いた各社スターたち」、207頁。
- ^ a b 内野小百美「【富司純子 あるがまゝに】(6) 9年間で映画出演91本 1日3度の新幹線移動も」38行目、『スポーツ報知』報知新聞社、2016年10月12日。2017年1月12日閲覧。オリジナルの2016年10月12日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 「24 東映の看板を背負って - 藤純子」、137頁。
- ^ 「エロからテロへ」、275 - 276頁。
- ^ 「文太の殺陣に観客が〈おお!〉」、302頁。
- ^ a b 「約20分のフィルムをカット」、298 - 299頁。
- ^ 佐高信『抵抗人名録 - 私が選んだ77人』金曜日、2008年7月、98頁。ISBN 4906605435。
- ^ 「血盟団事件と絶対的貧困」、236頁。
- ^ a b c d 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」、205頁。
- ^ a b 「文太の殺陣に観客が〈おお!〉」、302 - 303頁。
- ^ a b c d 「18 居候が演技開化の機会に - 千葉真一」、117 - 118頁。
- ^ 「テロリストの苛烈な生涯を演じた大作」、34 - 35頁。
- ^ 「テロリストの苛烈な生涯を演じた大作」、34頁。
- ^ a b 「テロリストの苛烈な生涯を演じた大作」、35頁。
- ^ 「血盟団事件と絶対的貧困」、236 - 237頁。
- ^ 「血盟団事件と絶対的貧困」、237頁。
- ^ 「18 居候が演技開化の機会に - 千葉真一」、119頁。
- ^ a b 「テロをドキュメントで、しかもオールスターで」204頁。
- ^ 「エロからテロへ」、276頁。
- ^ a b c 「天皇制批判と鶴田浩二とのイザコザ」、208 - 209頁。
- ^ a b 「テロリストの陶酔 答えのない映像」、251頁。
- ^ 伊藤彰彦「解題『映画三国志 映画に夢をかける男たち』」『笠原和夫傑作選 第一巻 博奕打ち 総長賭博 初期~任侠映画篇』(初版第一刷)国書刊行会、2018年10月25日、477頁。ISBN 978-4-336-06309-0。
- ^ 「テロリストの苛烈な生涯を演じた大作」、29頁。
- ^ 「火災ビンからテロの時代へ」、308 - 310頁。
- ^ 「天皇制批判と鶴田浩二とのイザコザ」、214頁。
- ^ 「取材をしなければ想像なんて生まれない」、223頁。
- ^ 『鮮烈! アナーキー日本映画史 1959 - 1979』洋泉社、2012年4月28日、112頁。ISBN 4862489184。
- ^ ハワード渚「その描写は是か!? 非か!? 孝明天皇暗殺を描いた『徳川一族の崩壊』と昭和天皇への愛憎渦巻く二・二六事件映画」『衝撃の世界映画事件史』洋泉社〈別冊映画秘宝〉、2012年3月30日、171 - 178頁。ISBN 4862488382。
- ^ 「東映オールスター勢揃い」、150頁。
- ^ a b 「撮影の中止要請があった!?」、152頁。
- ^ 「テロのない戦後はアホらしい」、226 - 228頁。
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