坂とは? わかりやすく解説

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★1a.二人人物が坂で出会う

安寿塚の伝説 安寿姫逗子王丸が、母を捜して佐渡へ渡る。安寿姫下男1人連れて先行し鹿野浦にいた母に逢うが、母は盲目のため、安寿姫殺してしまう(*→〔盲目〕5)。下男は母を背負い相川町達者まで来て厨子王丸の一行出会う。母と厨子王丸が出会ったその場所を、「行きあい坂」と呼ぶ。母は坂のほとりの清水で眼を洗い開眼する(新潟県佐渡郡相川町)。

『雁』森鴎外お玉高利貸し末造の妾となって無縁坂中ほどにある小家に住まわせられる無縁坂医学生岡田散歩道であり、そこで2人出会い互いに心引かれるが、結局何事もないままに別れる

水坂峠伝説 近江国若狭国の境は、水坂峠から若狭側に降りた所にある。昔、近江朽木殿様若狭小浜殿様が、互いに馬に乗って城を出発し出会う所を境界にしようと相談した。ところが朽木殿様早く出発して水坂峠越えてしまい、出会った所が今の県境となった滋賀県高島郡今津町)。

*→〔道〕3の『古事記』中巻

★1b.坂で怪事遇う

耳袋巻之7「古狸したがへ英勇の事」 上総国勝浦山道観音坂という所があり、昔大きながあって、その前を通る人を坊主にしてしまうという怪事があった→〔死体変相〕4b。

『むじな』小泉八雲『怪談』東京赤坂紀伊国坂を、夜、商人が登って行く。若い女泣いているので、商人は「何か困り事があるのか?」と問う。女は商人見て自分の顔を手でつるりとなでる。すると、目も鼻も口もないのっぺらぼうの顔があらわれる。商人悲鳴をあげて坂を駆け上がり蕎麦屋屋台逃げこむ。ところが蕎麦屋の顔もまた、のっぺらぼうだった〔*化け物2度遭う点で、→〔道連れ1a『捜神記』17-7に同じ〕。

妖怪談義』柳田国男)「妖怪名彙(ヤカンザカ)」 東京近郊に、「薬罐坂」という気味の悪い所があった。「夜分1人で通ると、薬罐転がり出す」などと言われた(豊多摩郡誌)〔*「夜間」と「薬罐」の語呂合わせであろうか?〕。

*夜の坂道で、自転車引っぱられる→〔自転車〕5の『現代民話考』(松谷みよ子)3「偽汽車ほか」第3章の1。

★2a.坂でころぶと、死を招く。

三年坂伝説 祇園から清水寺登る三年坂転んだ人は、3年の内に死ぬと言う。ある時老僧転んだが、「明日の命も知れぬ思っていたのに、まだ3年近く生きられるか」と、かえって喜んだ京都市東山区)。

さんねん峠』朝鮮昔話) 「さんねん峠で転んだならば、3年きりしか生きられぬ」との言い伝えがあった。老人さんねん峠で転び悲観して寝込んでしまう。見舞いに来た人が、「1度転んで3年の命なら、2度転べば6年3度転べば9年生きられると言う老人喜んで峠へ出かけ、わざと何度も転ぶ。こうして老人は、しあわせに長生きした

大菩薩峠中里介山第14巻お銀様の巻」 黄昏時大菩薩峠の手前の袖切坂を、「女軽業親方お角」と「宇治山田の米友」が登って行く。半分ほど登った所で、お角下駄鼻緒切れて転んでしまう。お角口惜しがり、「いつかお前の手かかって、わたしは殺されるんだろう。袖切坂で転んだ所を見た人と見られた人が男と女であるばあいには、どちらか一方がもう一方の命を取るのだから」と言う〔*しかし小説最後まで、この予言実現されない〕。

★2b.坂を登るだけでも、死の危険がある。

坂道の家松本清張寺島太郎は、坂の上高台に建つ家に、杉田りえ子を囲っていた。りえ子が若い情夫共謀して、吉太郎から金を騙し取っていることを知り怒った太郎は「りえ子を殺そう」と決意する坂下商店への買い物頻繁にりえ子に命じ心臓があまり丈夫でない彼女が急な坂を登って帰って来ると、すぐに酒を飲ませ風呂入れ情交迫った。吉太郎は、りえ子が心臓麻痺で死ぬことを期待していた〔*しかし、りえ子の方が先に太郎殺した〕→〔氷〕2。

*妻をチフス感染させて死なせる→〔死因〕4の『途上』(谷崎潤一郎)。

★3a.冥界への出入口には、坂道がある。

『古事記』上巻 黄泉国から逃げ帰るイザナキは、黄泉比良坂よもつひらさか)の坂本に到って、その坂本にある桃子もものみ3つ取り追って来る8雷神・千5百の黄泉軍投げつけて退散させた。そして、千引の石(ちびきのいは)を置いて坂をふさいだ〔*『日本書紀』巻1神代上・第5段一書第6は「一説には、泉津平坂(よもつひらさか)は特定の場所ではなく死に臨んで息が絶える時のことだと言う」と記す〕。

『日本霊異記』下-22田舎蝦夷(をさだのとねりえびす)が死んだ時、冥府からの使い4人が、彼を広い野へ連れて行った。けわしい坂があり、そこを登る大きな建物があった。さらに路があり、その先深い河で、(はし)がかかっていた。向こうには、3つの分かれ道があった→〔冥界の道〕3・〔秤(はかり)〕3。

『日本霊異記』下-23 大伴連忍勝(おほとものむらじおしかつ)が死んだ時、冥府からの使い5人が彼につきそい、道を急がせた。けわしい坂があり、そこを登る3つの大きな道があった(*→〔冥界の道〕3)。彼は冥府の王に裁かれ煮えたぎる釜に入れられた後に(*→〔地獄〕2)、許されて、来た道を戻り、坂を降ったと思うと生き返っていた。

冥界登り坂下り坂→〔冥界の道〕2の『耳袋』(根岸鎮衛)巻之9「蘇生奇談の事」。

『変身物語』オヴィディウス巻10 オルフェウスは、妻エウリュディケ冥府から連れ帰る時、「アウェルヌス湖の谷あいを出るまでは後ろ見てはならぬと禁ぜられる。包まれた、けわしい暗い坂道2人はたどるが、もうすぐ地表というところで、オルフェウス振り返ってエウリュディケ見てしまう。

タルタロス地獄)の坂で巨岩を運ぶ→〔繰り返し〕1の『ギリシア神話』(アポロドロス第1巻第9章

★3b.胸坂(むなさか)。

『古事記』上巻 高天原高木神が、葦原中国天若日子めがけて、矢を投げ下ろした。矢は、天若日子高胸坂たかむなさか)に命中し天若日子死んだ〔*高胸坂の「坂」は、黄泉比良坂よもつひらさか)と同類のものであろう天若日子は「胸」に致命傷を受け、「坂」の向こう冥界行ったので、「胸坂」という表現になったのである〕。

★4a.海にも坂がある(「さかいめ」・「境界の意味であるという)。

『古事記』上巻 海神の娘トヨタマビメホヲリ(=ヒコホホデミ)と結婚し、渚に上がってウガヤフキアヘズを産んだ。彼女は、海の道通って常に陸地へ通うつもりであった。しかしホヲリ正体知られたために(*→〔のぞき見1b)、海坂うなさか)をふさいで海の世界帰ってしまった。

『万葉集』巻9 1744歌 墨吉(すみのえ)に住んでいた浦島は、海に出て釣り7日間も家に帰らなかった。浦島は、海界うなさか)を越えて舟を漕いで行き、やがて海神わたつみ)の神の娘子(をとめ)に出会った2人結婚して一緒に常世行った

★4b.この宇宙隣り宇宙との境目

人間万歳武者小路実篤宇宙神様のもとへ、隣り宇宙神様からの使者やって来る神様は「よくあの境(さかい)を通りこして来たな」と、感心する使者は、「私の方の神が御挨拶上がりたい、と申しております」と告げ、こちらの宇宙神様歓迎の意を表す→〔多元宇宙〕6。

★5.坂道で敵を防ぐ。

おかゆ坂の伝説 昔、鹿児島軍勢沖縄侵攻した時、沖縄人々は、熱いおかゆを坂に流した。「熱いおかゆの上歩けないから、敵は寄って来ないだろう」と考えたのである。しかしやがておかゆは冷えそれまで食糧不足弱っていた敵軍は、おかゆを食べて元気を回復し攻め込んで来た(沖縄県島尻郡南風原町神里)。

攻め上って来る敵軍に、熱湯浴びせる→〔熱湯〕1cの『太平記』巻3「赤坂の城軍の事」。

*坂の命名→〔地名〕4の『硝子戸の中』(夏目漱石23





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