第5段
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 13:57 UTC 版)
京、一条の橋の段 3年の月日が経ち、晴明は8歳となっていた。小野好古の元を尋ねようと、保名、葛の葉、晴明は京に上る。一行が一条の橋にさしかかったところで、左近太郎と出会う。好古は、左近太郎の労により保名の帰参を認め、利発なことで評判の晴明を明朝参内させるつもりだと言う。その前に一度晴明を好古に会わせるために、左近太郎が保名一行が泊まる宿に迎えにいくところだった。左近太郎は保名一行を小野好古の屋敷へと誘う。保名はその厚意には感謝するが、勝手に好古の元を飛び出た不義理ゆえ、会うのは晴明と葛の葉だけにしたいと言い、二人を送り出す。 一人になった保名は、長櫃を運んでいる石川悪右衛門一味と偶然行き会う。物陰から伺う保名は、この長櫃の中に悪右衛門が六の君を呪詛するための藁人形を運んでいるのを知る。悪右衛門の家来に見つけられそうになった保名は飛び出して一味と戦うが、不覚をとって討ち取られてしまう。保名の遺体は藁人形とともに長櫃へ入れられ、川に流される。 大内の段 内裏では、桜木親王が座る傍らに、左大将橘元方、参議小野好古の両名が控える。そこに葛の葉と晴明が連れてこられる。小野好古は「この者は自分の家臣安倍保名の息子の晴明。8歳と幼いが、陰陽道に通じているので、芦屋道満ともども帝都にあれば長久の基となるでしょう」と奏上する。これを聞いた橘元方は「この者の父保名は未熟者で、先般都を逐電し、落ちぶれ果てた男。その子が才能豊かなわけがない。都には、天下に並ぶ者なしと評判の芦屋道満一人いれば十分」と、晴明を貶める。これに憤った葛の葉が「幼くても才能ある人間はいる。小さな子に対してその態度は…」と食ってかかる。これに怒った橘元方が「卑しい女め」と葛の葉を引っ立てようとしたところ、桜木親王が制止する。桜木親王は晴明と道満の術比べを提案し、近在の百姓が見つけたという長櫃の中身を当てることを命じる。橘元方はこの長櫃が六の君呪詛のための藁人形入れたものと気づいて、なんとか中身当てをやめさせようとするが、桜木親王はこれを聞かない。 中身当てが始まった。道満が晴明から占うよう勧めるが晴明は固辞して、道満が先に占うこととなる。道満の見立てでは、中には人の形をしたものが二体あるが、一方は形だけ模した人形。他方は斬られて死んだ30歳ほどの男だと言う。晴明がこっそり占ったところ、道満の見立て通りで、心の中で悔しがる。晴明はしばらく思案した末、刀傷の男は魂魄がまだ抜け切ってないので落命とは言えないと答える。道満と葛の葉は心配して晴明に再考を促す。詰め所に控えていた石川悪右衛門がここぞとばかりに占いの場に現れ、「蓋を開けて、死体が出れば許さない」と晴明にすごんでみせる。晴明はこうした脅しに臆することなく、「母様ご安心を。刀傷をたちどころに直してみせます。ご覧あれ」と秘文を唱える。 晴明蘇生の祈(節事) (晴明は一心不乱に祈祷する) 祈祷の効果か、長櫃の上に無数の鳥が集まってくる。鳥たちはしばらく旋回を繰り返した後、悦びの声を上げて飛び去る。晴明は「蘇生の徴。蓋を開けて」と促す。恥をかかせてやると、悪右衛門が蓋を開けようとすると、中から保名が悪右衛門を掴んで足元に踏みつけ、悪右衛門と橘元方による六の君呪殺の悪企みを明らかにする。一部始終を聞いた左近太郎が橘元方を投げ飛ばしたところ、道満が割って入って、「これでも御息所の父なので、命ばかりはお助けください」と嘆願する。これを聞いた桜木親王は「左大将は流刑、悪右衛門は保名父子に任せる」と裁定し、保名は悪右衛門を斬る。桜木親王は晴明に官位を与え、道満ともども末の世まで語り継がれる存在となった。
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第5段
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「じだいが…」は最初のメロディーとは形が変わるが、8小節ほどは元のメロディーと似ていて、少しずつ展開していく。「みえている…」以下はマルカートで、そして自分の中で何かが高まっていくような、ドキドキするような感じを表現する。
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