冷戦期~現代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 04:15 UTC 版)
前述のとおり、一般的な迫撃砲の外観や基本構造は第二次世界大戦時からほとんど変化していないが、近年ではアルミニウム合金の多用など素材の改良によって軽量化が進んでおり、各国の軍隊では従来装備していたものより一回り大きな口径の迫撃砲に更新する例が多い。105-122mmクラスの榴弾砲を120mm重迫撃砲へ換装する例も増えており、迫撃砲は今後も砲撃用プラットフォームとして更に多用される傾向にある。 砲弾の進化では、例えばロケット・アシスト弾(RAP)の採用で射程は更に延伸しており25,000mもの射程をもつ迫撃砲も存在する。120mm迫撃砲 RTのRAP弾は射程約13,000mであり、105mmまたは122mm榴弾砲の射程(通常弾)15,000mに迫りつつある。また、赤外線やレーザーによる対戦車誘導弾の開発など、命中精度を著しく向上させた砲弾も出現しており、これらの先進的な砲弾は高価だが弾薬消費量は激減する。 自走迫撃砲にも様々なものが登場しているが、大半は車体容積の大きな装甲兵員輸送車などに既存の迫撃砲の砲身を設置するターンテーブルと砲弾格納架を搭載したもので、砲身を取り外して車外で運用することも想定し、支持架や底盤を別途用意していることも多い。 ただし、自走迫撃砲として専用に開発された車輌も存在し、ロシアの2S4チュリパン 240mm自走迫撃砲は自動装填機構を有した後装式の自走迫撃砲であり、2S9ノーナ-S 120mm自走砲のように砲塔を備え、直接照準による平射も可能な自走迫撃砲も登場した。もちろん自動装填装置を有し高い速射能力をもつ。また、特殊な例だが、イスラエルの戦車は対歩兵用として砲塔外部に60mm迫撃砲を装備していることが多く、特に国産戦車メルカバのMk.2以降は後装式のソルタム60mm迫撃砲を砲塔に内蔵して車内からの操作が可能となっている。 自走式ではない迫撃砲でも1970年代に自動装填タイプのものが登場し、例えば2B9 82mm自動迫撃砲は4発の砲弾を連射でき、榴弾砲のような外観をもつ。また、フランスのトムソン・ブラント社は、ガン・モーターと呼ばれる迫撃砲と旧来の歩兵砲を組み合わせたような射撃システムを開発し、60mmおよび81mmのものが歩兵戦闘車などを改修して装備されている。いずれも直接照準による平射が可能で、対歩兵戦で大きな威力を発揮する。 なお、安価で操作が容易な上、軽量なわりに大きな破壊力をもつ迫撃砲(特に60-82mmの中口径迫撃砲)は、正規軍以外にもゲリラや反政府武装組織に使用されることも多く、他の小火器と併せ、地域紛争を激化させることが懸念されている。 2S4チュリパン 240mm自走迫撃砲"現代でも実戦配備されている最大口径の迫撃砲である 120mm自走迫撃砲"Nona-S"戦車のような外観だが、平射可能な自走迫撃砲である 96式自走120mm迫撃砲陸上自衛隊が保有する自走迫撃砲。搭載砲は120mm迫撃砲RTである
※この「冷戦期~現代」の解説は、「迫撃砲」の解説の一部です。
「冷戦期~現代」を含む「迫撃砲」の記事については、「迫撃砲」の概要を参照ください。
冷戦期-現代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 10:13 UTC 版)
第二次世界大戦後しばらくは、大戦時と同様の対戦車自走砲も作られた。やがて、対戦車ミサイルの発達により、ミサイルに代替されて行った。 また、技術進歩により、対戦車ミサイルの小型化・軽量化が進むと、戦車駆逐任務専用の対戦車ミサイル車両を作らなくても、汎用戦闘車両に追加装備的に対戦車ミサイルを装備できるようになった。このため冷戦後期頃からは、歩兵戦闘車などに対戦車ミサイルを装備して対戦車攻撃力を持たせたり、携行型対戦車ミサイルを歩兵部隊に大量配備することで、専用の対戦車車両自体を不要にする例も増えている。 近年では、装輪式車両の発達により、戦車に匹敵する主砲を装備した装輪装甲車(装輪戦車)が登場するようになった。これらも戦車を撃破可能な攻撃力を有するので、戦車駆逐任務にも対応可能であり、かつての対戦車自走砲的な役割を担っている。 アメリカ合衆国 M50オントス 発射速度を高めるため、106mm無反動砲を6門装備した対戦車自走砲。ベトナム戦争で対歩兵戦闘などで活躍した。 M56スコーピオン 空挺可能な対戦車自走砲として開発された。軽量化のため、90mm砲は車体上に剥き出しで装備されている。 M825 M151トラックに106mm無反動砲またはBGM-71 TOW対戦車ミサイルを装備した戦車駆逐車。 M901 ITV M113装甲兵員輸送車の車台にTOW対戦車ミサイルを装備した対戦車ミサイル車両。ITVは「Improved TOW Vehicle(改良型TOW車両)」の略称である。 LOSAT戦車駆逐車 M2ブラッドレー歩兵戦闘車やハンヴィーの車台などに、LOSAT対戦車ミサイルを装備した対戦車ミサイル車両。1990年代から開発が行われていたが、後に計画中止。 LAV-AT LAV-25装甲車にTOW対戦車ミサイルを装備した対戦車ミサイル車両。 M1128 ストライカーMGS ストライカー装甲車に105mm砲を装備した機動砲。 M1134 ストライカーATGM ストライカー装甲車にTOW対戦車ミサイルを装備した対戦車ミサイル車両。 ソビエト連邦 2P27 装輪装甲車BRDM-1に3M6シュメーリ対戦車ミサイルを装備した対戦車ミサイル車両。 2P32 BRDM-1に9M17ファラーンガ対戦車ミサイルを装備。 9P122 BRDM-1またはBRDM-2に、9M14マリュートカ対戦車ミサイルを装備。 9P124 BRDM-2に9M11ファラーンガ対戦車ミサイルを装備。 9P137 BRDM-2に9M17ファラーンガ対戦車ミサイルを装備。 9P148 BRDM-2に9M111ファーゴット対戦車ミサイルを装備。 IT-1 T-62の車台に3M7ドラコーン対戦車ミサイル15発を装備したミサイル戦車。密閉式旋回砲塔とT-62譲りの厚い装甲により、防御力が高かった。 オブイェークト287 オブイェークト430中戦車の車台に、9M15タイフーン対戦車ミサイル15発を装備。試作のみ。 オブイェークト775 ルービン対戦車ミサイルとバール地対地ミサイルを発射可能なガンランチャーを装備する。対NBC防護機構や電子制御式火器管制装置などを装備する先進的な設計であったが、試作のみで終わった。 イギリス FV4101 チャリオティア クロムウェル巡航戦車の車台に20ポンド砲を装備した対戦車自走砲。 FV102 ストライカー スコーピオン軽戦車の車台にスウィングファイア対戦車ミサイルを装備した対戦車ミサイル車両。 FV438 スウィングファイア トロウジャン装甲兵員輸送車の車台にスウィングファイア対戦車ミサイル14発を装備した対戦車ミサイル車両。 フランス AMX-10RC 105mm砲を装備した装輪装甲車。 AMX-13 T75 AMX-13軽戦車にSS.11対戦車ミサイルを装備した対戦車車両。 VBCI 対戦車ミサイル車両型 VBCI装甲車にERYX対戦車ミサイルを装備。 ドイツ KJPZ4-5 90mm砲を装備した対戦車自走砲。低姿勢の固定式戦闘室に主砲を装備という、第二次大戦型駆逐戦車の特徴を受け継ぐ車両である。KJPZは「Kanonenjagdpanzer(カノーネンヤークトパンツァー、砲駆逐戦車)」の略称である。KJPZ4-5の車台は、後のRJPZ-2とヤグアルに流用された。 RJPZ-2 SS.11対戦車ミサイル14発を装備した対戦車ミサイル車両。RJPZは「Raketenjagdpanzer(ラケーテンヤークトパンツァー、ロケット駆逐戦車)」の略称である。 ヤグアル1/ヤグアル2 RJPZ-2の発展型。HOT対戦車ミサイル20発を装備したのがヤグアル1、TOW対戦車ミサイル14発を装備したのがヤグアル2である。 日本 60式自走無反動砲 106mm無反動砲2門を装備した対戦車自走砲。 96式多目的誘導弾システム 96式多目的誘導弾を運用可能な対戦車・対舟艇ミサイル車両。 中距離多目的誘導弾 分隊による徒手搬送であった87式対戦車誘導弾システムの後継。普通化中隊における対戦車小隊で運用される。 イスラエル ペレフ マガフ5(M48A5)の車体に新設計の砲塔を搭載し、砲塔内に12基のスパイク-NLOSミサイルランチャーを搭載した自走対戦車ミサイル。 イタリア チェンタウロ 対戦車戦闘などを想定して105mm砲を装備した、重火力装輪装甲車。 南アフリカ共和国 ルーイカット 南アフリカ共和国で開発された105mm砲を搭載した装輪戦闘車で、火力支援や対戦車戦闘を想定している。整地速度は他国の105mm砲を搭載した装輪戦闘車と比べ群を抜く120km/hを出す事が出来る。
※この「冷戦期-現代」の解説は、「対戦車車両」の解説の一部です。
「冷戦期-現代」を含む「対戦車車両」の記事については、「対戦車車両」の概要を参照ください。
- 冷戦期~現代のページへのリンク