冷戦期以降
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 14:19 UTC 版)
大戦での経験を踏まえて、アメリカ海兵隊では空地連携が更に推し進められることになり、1947年に制定された国家安全保障法では、海兵隊部隊の編制内に航空部隊が含まれることが明記された。そして1952年、アメリカ合衆国議会は、海兵隊の航空部隊・地上部隊の統合の推進を打ち出した。 これと並行して、アメリカ海兵隊では、ヘリコプターを水陸両用作戦で活用するための研究に着手していた。これはヘリボーンの戦術的な利点と同時に、部隊の集結・散開を迅速に行えるために戦術核兵器の標的になりにくいこと、また放射性物質を含んだ津波の影響も避けやすいことにも着目したものであった。1947年12月には実験飛行隊 (HMX-1) が編成され、1948年5月の上陸演習では護衛空母を母艦としたヘリボーンを実施して、その有用性を立証した。 また空地連携を効率的に行うための編制についても研究が進められた。1954年には海兵隊総司令官が「海兵空地任務部隊(MAGTF)コンセプト」を打ち出し、実験・演習を経て、1963年にはその編制が正式に定められた。これは均衡が取れた陸・空の戦力および兵站支援能力を備えた部隊を、自己完結型の「パッケージ」として組織しているという特徴があり、以後のアメリカ海兵隊の水陸両用作戦の基本単位となった。 一方で、現代では対艦弾道ミサイル・巡航ミサイルの発達により、それを保有する大国相手には水陸両用作戦の実行自体が困難になるという意見もある。米中間における軍事的衝突の潜在的可能性やマルチハザード化に伴って海軍と海兵隊の連携強化が進められていることもあり、2017年には、水陸両用作戦よりも広範な概念として「係争環境における沿海域作戦」(LOCE)コンセプトが打ち出されたが、これは海と陸を含む沿海域を「一体の、統合された戦場空間」として位置付けるとともに、制海と戦力投射の相互関係をも取り込んだものとなっている。
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