冷戦期の発展とアメリカ軍での導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 02:56 UTC 版)
「作戦術」の記事における「冷戦期の発展とアメリカ軍での導入」の解説
冷戦期のソ連地上軍でも、依然として戦車部隊が主打撃戦力の骨幹を担っていた。縦深戦略理論はその戦術の基本とされており、核兵器などと連携する非通常戦においても、その攻撃性を減ずることはなかった。1970年代後半より総合的・実戦的な諸兵科連合演習が繰り返されたのち、1980年代には作戦機動グループ(OMG)の編成も実現し、作戦術による連続作戦能力に支えられた強大な機甲突破力と立体包囲による縦深攻撃のドクトリンが構築されていた。 またこれと対峙していたアメリカ陸軍でも、ベトナム戦争において戦術的成功を戦略的勝利に繋げられなかったことへの反省や、機動戦への回帰を踏まえて、作戦術の概念が注目されるようになった。訓練教義コマンド司令官 スターリー大将は、1982年に基準教範 (FM100-5) を改訂してエアランド・バトル(ALB)のドクトリンを盛り込むのとあわせて、ソ連と同様の作戦術の概念を導入した。その後、1986年の再改訂でALBドクトリンを拡充・明確化した際に、軍集団や軍は「軍事戦略」、軍団・師団以下は「戦術」として、これらを節調・融合するために軍・軍団のレベルで実施するものを「作戦術」として階層化した。 1980年代末から1990年代初頭にかけて、冷戦の終結とソビエト連邦の崩壊に伴って戦略環境は激変し、アメリカ陸軍は、マルチハザード化およびグローバル化に伴う任務の多様化への対応を迫られた。これに応じて、早速1993年には基準教範の再改訂がおこなわれており、ALBをも包含するコンセプトとして全次元作戦(FDO)が提示されたが、これとあわせて同版では作戦指導書としての色合いが強まった。その後、1990年代の戦争・紛争の戦訓を踏まえて2001年・2008年と改訂が重ねられ、FDOは全スペクトラム作戦(FSO)へと発展したが、この際、作戦術については特定の階悌、構造と連携しないことが述べられた。そして2011年版では統合陸上作戦(ULO)という新しいコンセプトが提示されるとともに、戦術書としての記載を他の文書に移したこともあって作戦書としてのエッセンスが凝縮されたものとなり、作戦術が改めて強調された。
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