【ミラージュ3】(みらーじゅすりー)
Dassult Mirage Ⅲ.
ダッソー社が開発したフランス空軍の戦闘機。
ヨーロッパ諸国が開発した機体として、初のマッハ2級戦闘機である。
1952年から開発が開始され、1956年に初飛行した。
無尾翼デルタ翼形式を採用し、補助動力としてロケットブースターを機体下部に装備できる事が特徴である。
主な戦歴では、第三次中東戦争でイスラエル空軍が使用したほか、印パ戦争、フォークランド紛争、南アフリカの対外戦争(アンゴラ侵攻、独立前のナミビアにおける対ゲリラ戦)等に投入されている。
派生機も多く、攻撃機型のミラージュ4、ミラージュF1につながるSTOL試験機ミラージュ3F2等の他、ネシェル・クフィル・チーター・パンテーラ等、他国で生産された派生機・コピー機も存在する。
スペックデータ
乗員 | 1名 |
全長 | 15.03m |
全高 | 4.50m |
全幅 | 8.22m |
主翼面積 | 35.0㎡ |
空虚重量 | 7,050kg |
離陸重量 (通常/最大) | 9,600kg/13,700kg |
最大兵装搭載量 | 4,000kg |
エンジン | SNECMA アター09C-Ⅲターボジェット(推力41.97kN/60.8kN(A/B使用時))×1基 補助動力としてSEPR844ロケットブースター×1基を装着可能(14.71kN(SEPR844使用時)) |
最高速度 | マッハ2.15 |
最大速度 (水平/巡航) | 1,268kt/516kt |
海面上昇率 | 5,000m/min+ |
実用上昇限度 | 11,000m |
荷重制限 | +4.83G |
航続距離 | 2152nm(フェリー) |
戦闘行動半径 | 647nm(Hi-Hi-Hi) |
兵装 | 固定武装:DEFA552 30mmリヴォルヴァーカノン×2基 空対空ミサイル:マトラR.511、マトラR.533、マトラマジック 対レーダーミサイル:マトラAS37 爆弾類/その他:通常爆弾、AN52核爆弾、ロケット弾ポッド、増槽 |
バリエーション
ここではミラージュⅢのバリエーションのみを表記する。ミラージュ4、ミラージュ5のバリエーションは該当項目を参照。
- ミラージュ3:
試作原型機。
- ミラージュ3A:
初期生産型。エンジンはアター09Bを装備。
- ミラージュ3B:
レーダーを省いた複座練習機型。
- ミラージュ3C:
戦闘機型の本格生産型。
- ミラージュ3CJ:
C型の性能向上型。
- ミラージュ3D:
E型の複座練習機型。
- ミラージュ3E:
戦闘攻撃機型。エンジンはアター09Cに換装している。
- ミラージュ3R:
偵察機型。機首に光学カメラを装備。
- ミラージュ3RD:
R型の全天候型。
- ミラージュ3R2Z/D2Z:
南アフリカ空軍向け偵察/複座練習機型。
エンジンはアター09K-50に換装している。
- ミラージュ3O:
エンジンをアター09Bからエイヴォン67に変更した、オーストラリア向け商戦型。
エンジンは、パフォーマンス不足で不採用。A型ベース。
- ミラージュ3O(A):
オーストラリア向け戦闘攻撃機型。E型ベース。
- ミラージュ3O(D):
オーストラリア向け複座練習機型。D型ベース。
- ミラージュ3O(F):
オーストラリア向け要撃機型。E型ベース。後にO(A)へ改修。
- ミラージュ3O ROSEⅠ:
パキスタンがオーストラリア空軍から取得したO(F)型を近代化改修した型。
ROSEは『Retrofit Of Strike Element』の略。
- ミラージュ3S:
C型のスイス向け性能向上型。
アメリカ製レーダーを搭載し、機体構造やブレーキを強化している。
- ミラージュ3T:
アメリカ製エンジン試験機。
- バルザックV:
VTOL試験機。
エンジンはリフト用にロールス・ロイス RB.108を8基、推進用としてブリストル・シドレー オーフュース1基を装備している。
- ミラージュ3V:
バルザックVを大型化し、ミラージュⅢTのエンジンを搭載したVTOL試験機。
エンジンはリフト用にロールス・ロイス RB.162を8基、推進用としてスネクマTF106を1基装備している。
- ミラージュ3NG:
ミラージュ50の成果を反映し、フライバイワイヤーやカナード翼を装備した新世代型。
ミラージュ2000の廉価版として提案されたが、不採用。
- ミラージュ3EX:
ミラージュ3NGの輸出型。
改造キットとして採用され、ブラジルとベネズエラが改修に使用した。
- ミラージュ3BZ:
南アフリカ向け複座練習機型。D型ベース。
- ミラージュ3CZ:
南アフリカ向け輸出型。
- ミラージュ3EZ:
南アフリカ向け多用途戦闘機型。
- ミラージュ3F2:
デルタ翼から、後退翼に変更した複座STOL試験機。
ミラージュF1の原型となった。
- ミラージュ3F3:
単座STOL試験機。可変翼機ミラージュGへの計画変更により、キャンセル。
- ミラージュ3K:
イギリス向け輸出型。計画のみ。
- ミラージュ3M:
海軍型。計画のみ。
- ミラージュ3W:
アメリカ向け軽戦闘機型。計画のみ。
- ミラージュ4:
ミラージュ3を大型化した、核兵器用爆撃機型。詳しくは項を参照。
- クフィル:
イスラエルによる、ミラージュⅢの性能向上型。詳しくは項を参照。
- チーター:
クフィルの技術で性能向上を行った、南アフリカのミラージュⅢ。詳しくは項を参照。
ミラージュIII (戦闘機)
(ミラージュ3 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/15 14:59 UTC 版)
オーストラリア空軍のミラージュIII O(F)
- 1 ミラージュIII (戦闘機)とは
- 2 ミラージュIII (戦闘機)の概要
- 3 概要
- 4 派生型
- 5 要目 (ミラージュIIIC)
- 6 採用国
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