ミラージュ50
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 18:36 UTC 版)
「ミラージュ5 (航空機)」の記事における「ミラージュ50」の解説
エンジンをミラージュF1と同じアター09K-50に換装したモデルがミラージュ50である。基本的には既存のミラージュIII/5を改修して作られたが、新造機も少数が製造された。 最初にアター09K-50を搭載して飛行したのはスイス空軍の要求で開発されたミランで、1970年に初飛行した。これは、ミラージュIII EまたはRの機体をベースに折り畳み式のカナード翼を機首に取り付け離着陸性能の向上を図った機体で、開発は翌年に中止されたものの、この機体をベースにミラージュ50の試作機が作られ1975年に初飛行した。その後、レーダーを搭載した試作機も1979年に初飛行している。なお、南アフリカ共和国向けのミラージュIII R2Z/D2Zもアター09K-50を搭載しており、実質的にミラージュ50と同仕様であった。 エンジンの換装によって離陸性能と加速性能が向上したほか、ペイロードが増加し、戦闘時の運動能力も改善された。また、ミラージュIII/5と全く同じ電子機器や兵装を搭載することもでき、ミラージュIII/5からミラージュ50仕様へ改修するためのパッケージキットも開発されたが、採用したのは南米のチリとベネズエラのみだった。 チリは1980年に旧フランス空軍のミラージュ5Fを改修したミラージュ50FCと、アゲブレーダーを搭載した新造機ミラージュ50C/DCを取得した。その後これらの機体はカナード翼や空中給油プローブ、HUDの追加などを行ったミラージュ50CN/DNパンテーラ仕様に近代化改修された。 ベネズエラは1990年に新造機ミラージュ50EV/DVを取得すると同時に、以前から保有していたミラージュIII/5も全て同仕様に改修した。これらの機体はシラノIV-M3レーダーを搭載し、最初からカナード翼や空中給油プローブを装備しているのが特徴で、エグゾセ対艦ミサイルの運用能力を持つ。 現在では両空軍からも退役しているが、ベネズエラ空軍機はエクアドルに譲渡されている。
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