南アフリカ空軍とは? わかりやすく解説

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南アフリカ空軍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/21 13:21 UTC 版)

南アフリカ空軍
South African Air Force
南アフリカ空軍のエンブレム
創設 1920年
国籍 南アフリカ共和国
軍種 空軍
上級部隊 南アフリカ国防軍
主な戦歴 第二次世界大戦ベルリン大空輸朝鮮戦争南アフリカ国境戦争
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南アフリカ空軍(英語: South African Air Force、略称SAAF)は、南アフリカ共和国空軍組織[1]

概要

1920年に創設され、第二次世界大戦ベルリン大空輸朝鮮戦争南アフリカ国境戦争に参加した[1]。朝鮮戦争では埼玉県のジョンソン基地(現:入間基地)にF-51D戦闘機を展開させている[1]

かつては6発の戦術核兵器(18キロトン規模)を装備していたが、1991年に核弾頭を解体して核拡散防止条約(NPT)に加盟、1993年に完全廃棄を公式に発表した[1][2]

2023年時点で9,800名の現役兵と850名の予備役兵を有し、106機の固定翼機と84機の回転翼機を装備している[3]。司令部はプレトリアに所在する[3]。航空部隊は、1個戦闘/対地攻撃飛行隊(JAS 39装備)、1個練習/対地攻撃飛行隊(ホーク装備)、4個輸送飛行隊、1個攻撃ヘリ隊、4個輸送ヘリ隊で構成されている[3]

軍事費の不足により、2023年10月時点で保有機の約85%は非稼働状態にあるとされる[4][5]。また、2024年2月には空軍司令部ビルの空調設備が予算不足と整備不良、老朽化により故障し、内部の環境が悪化してビルが一時閉鎖される事態となっている[6]

保有装備

現役

機種名 画像 生産国 種別 バージョン 導入年 運用数 備考
戦闘機
JAS 39 グリペン[3] スウェーデン マルチロール機 C/D[1][3][7] 2006年[7] 26[4] 1998年11月にアトラス チーターの後継として選定された[7]。調達数は26機[8]

主にマカド基地の第2飛行隊に配備されている[7]。2023年10月時点で稼働機は2機に減少しており、24機は飛行停止状態にある[4]

輸送機
C-130 ハーキュリーズ[3] アメリカ 中型輸送機 B/BZ[3] 6[3] C-130B×2機[3]、C-130BZ×4機[3]

第28飛行隊に配備されている[9]。2023年時点で稼働機は1機[9]

ビーチ200 キングエア[3] アメリカ 軽輸送機 C[3] 3[3]
ビーチ300 キングエア[3] アメリカ 軽輸送機 1[3]
C-47[3] アメリカ 軽輸送機 TP[3] 1943年[10] 3[3] イスタープラート基地の第35飛行隊に配備され、海洋哨戒機として運用されていた[11]

部品不足から近年は飛行しておらず、2024年5月には退役予定が発表されたが、正確な予定日は不明[11]

CASA C-212 アヴィオカー[3] スペイン 軽輸送機 200/300[3] 3[3] C-212-200×2機[3]。C-212-300×1機[3]

1994年に南アフリカに再統合されたバントゥースタンボプタツワナ空軍英語版トランスカイ国防軍英語版ヴェンダ国防軍英語版より計4機を移管。[12]

セスナ550 サイテーションII[3] アメリカ 軽輸送機 2[3]
ピラタス PC-12英語版[3] アメリカ 軽輸送機 1[3][13] ウォータークルーフ基地の第41飛行隊に配備[13]
セスナ208 キャラバン[3] アメリカ 軽輸送機 208[3] 9[3] 保管中[3]
ボーイング737[3] アメリカ 人員輸送機 BBJ[3] 1[3]
ファルコン50[3] フランス 人員輸送機 2[3] 第21飛行隊に配備[14]
ファルコン900[3] フランス 人員輸送機 1[3] 第21飛行隊に配備[15]
練習機
BAE ホーク[3] イギリス 練習機 Mk. 120[3][1] 24[3][4] 武装も可能[1]

1990年代後半の「戦略防衛調達パッケージ」により24機を導入[8]。2023年10月時点で稼働機は3機に減少しており、21機は飛行停止状態にある[4]

ピラタス PC-7[3] スイス 練習機 Mk. II アストラ[3][16] 35[3] 2023年時点で稼働機は2機[9]
回転翼機
AH-2 ローイファルク[3] 南アフリカ 攻撃ヘリコプター 11[3] ブルームスプロイト基地の第16飛行隊に配備されている[17]。2023年時点で稼働機は2機[9]
スーパーリンクス[3] イギリス 汎用ヘリコプター Mk. 300[3] 4[3] イスタープラート基地の第22飛行隊に配備されている[18]。海洋哨戒ヘリとして運用[9]。2023年時点で稼働機は1機[9]
アトラス オリックス[3] 南アフリカ 輸送ヘリコプター 36[3] 2023年時点で稼働機は6機[9]
AW109[3] イタリア 輸送ヘリコプター LUH[19] 25[3] 30機を発注、うち25機は南アフリカで組立[19]
BK117[3] 日本/ドイツ 輸送ヘリコプター 8[3] 1990年代後半の「戦略防衛調達パッケージ」により30機を導入[8]
兵装
IRIS-T[3] ドイツ 空対空ミサイル
A-ダーター[20] 南アフリカ 空対空ミサイル 2024年10月に訓練弾を納入[20]。2025年から実弾を納入予定[20]
GBU-12 ペイブウェイII[3] アメリカ レーザー誘導爆弾
小火器
軽機関銃[21] 軽機関銃 基地防衛用[21]
ベクター R5[21] 南アフリカ 自動小銃 基地防衛用[21]
12ゲージ散弾銃[21] 散弾銃 基地防衛用[21]
9mm拳銃[21] 拳銃 基地防衛用[21]

退役

退役した装備としては、以下のようなものがある。

事件・事故等

脚注

出典

  1. ^ a b c d e f g h 柿谷 哲也『万物図鑑シリーズ 全164か国 これが世界の空軍力だ!』笠倉出版社、2014年6月23日。ISBN 978-4-7730-8717-8 
  2. ^ 広島世界平和ミッション 南アフリカ編―核廃絶への歩み”. 中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター (2004年5月10日). 2024年12月21日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. pp. 476-478. ISBN 978-1-032-50895-5 
  4. ^ a b c d e 「戦わずして空軍が瀕死の状態!」南アフリカ政府が驚愕の稼働率を発表 どうしてこうなった!?”. 乗りものニュース (2023年10月28日). 2024年12月20日閲覧。
  5. ^ Gareth Jennings (2023年10月23日). “South African Air Force largely grounded, government reports”. janes.com. 2024年12月20日閲覧。
  6. ^ Guy Martin (2024年2月28日). “Another government security cluster building shut over unsafe conditions”. defenceweb.co.za. 2024年12月21日閲覧。
  7. ^ a b c d 『世界の名機シリーズ JAS39 グリペン〈増補版〉』イカロス出版、2017年10月30日、52頁。 ISBN 9784802204118 
  8. ^ a b c Budget cuts, not mismanagement, at the heart of SANDF maintenance issues”. defenceweb.co.za (2024年10月8日). 2024年12月21日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g Gloomy picture of SANDF prime mission equipment readiness”. defenceweb.co.za (2023年5月25日). 2024年12月21日閲覧。
  10. ^ Kim Helfrich (2023年6月28日). “C-47 racks up 80 years in the SAAF”. defenceweb.co.za. 2024年12月21日閲覧。
  11. ^ a b C47-TP grounding leaves SAAF with no maritime eyes in the sky”. defenceweb.co.za (2024年9月9日). 2024年12月21日閲覧。
  12. ^ Guy Martin (2023年12月22日). “SAAF C212 damaged in crash-landing at Lohatlha”. defenceweb.co.za. 2024年12月21日閲覧。
  13. ^ a b SA Air Force transports first bulk batch of vaccines to the Western Cape”. defenceweb.co.za (2021年2月18日). 2024年12月21日閲覧。
  14. ^ Use of SAAF aircraft for party political purposes slammed”. defenceweb.co.za (2024年1月24日). 2024年12月21日閲覧。
  15. ^ Discrepancies in Ministerial reports on Harare flight”. defenceweb.co.za (2020年10月2日). 2024年12月21日閲覧。
  16. ^ 『週刊ワールド・ウェポン No.62』デアゴスティーニ、2003年12月2日、28頁。 
  17. ^ Kim Helfrich (2024年12月10日). “A year’s worth of work ahead to make three Rooivalks airworthy after DRC return”. defenceweb.co.za. 2024年12月21日閲覧。
  18. ^ a b c d e f g Dean Wingrin (2022年8月8日). “22 Squadron celebrates 80th anniversary”. defenceweb.co.za. 2024年12月21日閲覧。
  19. ^ a b 『週刊ワールド・ウェポン No.119』デアゴスティーニ、2005年1月18日、26頁。 
  20. ^ a b c Christopher Szabo (2024年10月4日). “A-Darter practice missiles to be delivered this month”. defenceweb.co.za. 2024年12月21日閲覧。
  21. ^ a b c d e f g h SAAF’s 508 Squadron sharpens musketry skills”. defenceweb.co.za (2023年11月9日). 2024年12月21日閲覧。
  22. ^ SAAF Museum re-establishes ties with McGregor Museum”. defenceweb.co.za (2021年3月21日). 2024年12月21日閲覧。
  23. ^ 『週刊ワールド・ウェポン No.27』デアゴスティーニ、2003年4月1日、20頁。 
  24. ^ Spitfire 5518 restoration progressing despite COVID hiccups”. defenceweb.co.za (2021年5月13日). 2024年12月21日閲覧。
  25. ^ Air Force Association SAAF 100 book project progressing”. defenceweb.co.za (2021年5月4日). 2024年12月21日閲覧。
  26. ^ a b c d e f 『世界の傑作機 NO.70 ダッソー・ミラージュIII』文林堂、1998年5月5日、16,46頁。 
  27. ^ a b 『週刊ワールド・ウェポン No.99』デアゴスティーニ、2004年8月24日。 
  28. ^ a b c 『週刊ワールド・ウェポン No.118』デアゴスティーニ、2005年1月11日、17頁。 
  29. ^ a b c 『世界の名機シリーズSE ミラージュF1』イカロス出版、2024年9月30日、66-67頁。 
  30. ^ a b 『週刊ワールド・ウェポン No.56』デアゴスティーニ、2003年10月21日、12頁。 
  31. ^ a b 『週刊ワールド・ウェポン No.102』デアゴスティーニ、2004年9月14日、29-30頁。 
  32. ^ New home at SAAF Museum for Dawid Stuurman gate guards”. defenceweb.co.za (2022年5月13日). 2024年12月21日閲覧。
  33. ^ a b c d e f g h i j k l m n 国際戦略研究所 編、防衛庁防衛局調査第二課 訳『ミリタリー・バランス 1981-1982』朝雲新聞社、1981年11月25日、171-172頁。 ISBN 4-7509-3003-2 
  34. ^ a b 『週刊ワールド・ウェポン No.111』デアゴスティーニ、2004年11月16日、21頁。 
  35. ^ SAAF Boeing 707 spares up for sale”. defenceweb.co.za (2023年4月21日). 2024年12月21日閲覧。
  36. ^ 『週刊ワールド・ウェポン No.95』デアゴスティーニ、2004年7月27日、25頁。 

関連項目


南アフリカ空軍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 08:02 UTC 版)

アブロ シャクルトン」の記事における「南アフリカ空軍」の解説

1953年に4機の英空軍MR.2評価した後で、南アフリカ空軍は洋上哨戒任務用にショート サンダーランド代替として8機のシャクルトン発注した南アフリカ環境適応するように幾つかの改善要求され、この機体MR.3となった。これらの機体には1716から1723の登録記号付与され南ア空軍35飛行隊1984年9月まで洋上哨戒任務に就いていた。 機体中には冗談ネタにされるものもあったが、シャクルトンは「密集編隊飛行する10万個のリベット」と表された。

※この「南アフリカ空軍」の解説は、「アブロ シャクルトン」の解説の一部です。
「南アフリカ空軍」を含む「アブロ シャクルトン」の記事については、「アブロ シャクルトン」の概要を参照ください。

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