ブリューニック線
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「ツェントラル鉄道」の記事における「ブリューニック線」の解説
路線長:73.79km 開通年ルツェルン - アルプナハシュタット(12.98km):1889年6月1日 アルプナハシュタット - ブリエンツ(44.55km):1888年6月14日 ブリエンツ - インターラーケン・オスト間(16.26km):1916年8月23日 電気方式:交流15kV 16.7Hz 最急勾配:128パーミル(ラック区間)、31パーミル(粘着区間) ラックレール方式:リッゲンバッハ(12.76km) 標高:436.0-1001.9m 隧道:15箇所 橋梁:7箇所 複線区間:アイヒヴァルト - ホルヴ(2.12km) スイス中央部のルツェルン州にあるルツェルン湖(フィーアヴァルトシュテッテ湖)畔のルツェルンからルツェルン湖の支湖であるアルプナッハー湖畔でニトヴァルデン準州のヘルギスヴィールを経由し、そこからオプヴァルデン準州に入って南西方向から流れるザルナー川を遡って途中ザルナー湖およびルンゲラー湖のそれぞれ南東岸を経由し、その後分水嶺である最高地点1001.9mのブリューニッヒ峠をラック区間で超えてアーレ川水系に入ってベルン州のメイリンゲンに至り、その後アーレ川沿いを南西方向へ下り、途中ブリエンツ湖の北西岸を経由して、ブリエンツ湖とトゥーン湖に挟まれたインターラーケンに至る路線である。途中のルンゲルン - メイリンゲン間約13kmはブリューニック峠を最急勾配128パーミルのラック区間で越える山岳路線であるが、その他の区間はギスヴィール付近に約3km、101パーミルのラック区間がある以外、約50km以上の粘着区間のほとんどが最急勾配20パーミル以下の勾配の緩やかな路線であり、沿線風景も山岳地帯というよりは沿線4箇所で約30km以上に及ぶ湖畔の路線や牧草地、森林といった風景が中心となっている。 ルツェルン州の州都であり、チューリヒからインターラーケンに至る交通の要所であるルツェルン駅はルツェルン湖畔にあるスイス国鉄との共同使用駅であり、現在では東側の2面3線の12-14番線を使用し、広大な駅構内には約10線の留置線も設置されている。ルツェルン駅を出ると市街地を南へ進み、アイヒヴァルトからは複線区間となり、ホルヴからはアルプナッハー湖岸を通り、ホルヴ南からは再度単線となってヘルギスヴィール・マットを経てヘルギスヴィールへ至る。 ヘルギスヴィールはグラスィ・ヘルギスヴィルのガラス工場で有名な街で、インターラーケン・オスト方面とエンゲルベルク方面との分岐点にあたる駅であり、ブリューニック線沿線ではこの街のみニドヴァルデン準州となっている。ヘルギスヴィールを出てすぐブリューニック線は同線最長で全長1185mのロッパー第一トンネルを抜けてオブヴァルデン準州に入って少しすると、ルツェルン湖畔最後の港でもあるアルプナハシュタットに到達する。アルプナハシュタット駅の北側には480パーミルの世界最急勾配で知られるピラトゥス鉄道が発着しており、ルツェルン近郊の観光地であり、ピラトゥス山の竜伝承で知られる標高2132mのピラトゥス山の山頂への玄関口となっている。なお、ピラトゥス山にはルツェルン近郊のクリエンスからもロープウェイで行くことができる。 アルプナハシュタットからはザルナー川に沿って遡ると、ザルナー湖北端の町であるザルネンに至り、その南東岸をたどって湖畔のザルクセンを経由して、ザルナー湖を離れると再度ザルナー川に沿って遡り、ザルクセン湖との中間にあるのがギスヴィールの街である。標高484mのギスヴィール駅は開業時よりルツェルン方面からの区間列車の終着駅で、構内には留置線、車庫が設けられてマイリンゲンに次ぐ規模の駅となっており、ギスヴィールからその次のルンゲルン湖北端の標高697mのカイザーシュトゥール駅間2.9kmは最急勾配100パーミルのラック区間となっているため、粘着区間専用の車両はギスヴィールまでの運行となり、蒸気機関車が運行されていた時代はここで粘着区間用の機関車からラック区間用の機関車に交換をしていた。 カイザーシュトゥールからは再度粘着区間となってルンゲルン湖南端のルンゲルンの街まで湖の南西岸をたどり、標高751mのルンゲルンから最急勾配110パーミルのラック区間2箇所計約3kmでオブヴァルデン準州からベルン州に入ってすぐ、ブリューニック線最高地点のブリューニック峠に至る。ブリューニック峠は標高1008mの峠で、ブリューニック線の他に国道4号線通っており、標高が比較的低い上に冬季でも除雪が行き届いており道路も通年で通行することができる。また、峠の最高地点のハスリベルクの街にあるブリューニック・ハスリベルク駅はブリューニック線最高地点の駅であり、開業当初から1910年頃までラック区間での列車の牽引に使用されていたHG2/2形は60パーミルの前傾ボイラーを装備しており、勾配が登りから下りに変わるこの駅で方向転換をする必要があったため、駅構内前後には転車台を設置していた。 ブリューニック峠から約4km、最急勾配126パーミルのラック区間を下った標高595mの地点にあるマイリンゲンはアーレ川沿いにある、メレンゲの語源になったという説もある街で、平坦区間にある駅であるが、路線はここでスイッチバックして西方向へ戻る線形となっているほか、構内にはブリューニック線の車両の点検整備を担当するマイリンゲン工場が併設されている。また、この駅から東方向へは1926年建設のオーベルハスリ発電所の引込線を1946年に転用したマイリンゲン-イネルトキルヒェン鉄道の路線がアーレ峡谷をイネルトキルヒェンまで伸びているほか、マイリンゲン郊外にあるシャーロック・ホームズゆかりのライヘンバッハの滝へ至るケーブルカーに連絡するライヒェンバッハを経由してアーレシュルヒトまではマイリンゲン-ライヒェンバッハ-アーレシュルヒト軌道が1956年9月16日まで運行していた。 マイリンゲンからアーレ川沿いを下り、スイス軍航空隊基地の脇を過ぎるとブリエンツ湖の東端にあり、観光のほか木彫で有名で州立木彫学校も置かれる街であるブリエンツへ至る。駅は湖岸に設置されており、駅の東端がそのまま湖の埠頭につながっており、現在でもインターラーケン方面への船舶が発着しているほか、駅の北側にはラック式蒸気機関車を運行している登山鉄道であるブリエンツ・ロートホルン鉄道のブリエンツ駅が設置されている。 路線はブリエンツを出てからブリエンツ湖の北西岸をたどって湖の西端に至り、アーレ川を全長165mのアーレ・インターラーケン鉄橋で越えてブリエンツ湖とトゥーン湖に間にあり、その名が“湖の間”を意味するインターラーケンの街の東側にあるインターラーケン・オスト駅に至る。駅はゴールデンパス・ラインの一部でトゥーンを経由してツヴェイジンメンへ至るBLS AGの路線と、ベルナー・オーバーラント地方やユングフラウ方面へ向かうベルナーオーバーラント鉄道と連絡をしている駅であり、駅の北側からBLS AG、ブリューニック線、ベルナーオーバーラント鉄道の順に並んでいる。 スイス国鉄と共同使用のルツェルン駅構内 旧駅の一部がモニュメントとして残るルツェルン駅 ルツェルン近郊の1435mm軌間と1000mm軌間の4線区間 ヘルギスヴィール駅 アルプナハシュタット駅 アルプナハシュタット駅で接続するピラトゥス鉄道 ザルナー湖とザルネン市街 1900年前後のザルナー湖とザクセルン市街、湖畔にブリューニック線とザクセルン駅 ブリューニック峠から見たルンゲルン湖とルンゲルン市街、路線は湖の画面右岸側をたどる ブリューニック線最高地点にあるブリューニック・ハスリベルク駅 ブリューニック・ハスリベルク駅に進入するインターラーケン・オスト行列車 スイッチバック式のマイリンゲン駅、終端側から本線側を見た写真、右手前が貨物ホーム、奥が旅客ホーム、左側が車両工場 マイリンゲン付近を走行する列車 ブリエンツ湖付近を走行する列車 ブリエンツ湖畔のブリエンツ駅 ブリエンツ湖畔のブリエンツ駅 ブリエンツ駅で接続するブリエンツ・ロートホルン鉄道とブリエンツ湖 ブリエンツ湖ブリエンツ - インターラーケン・オスト間の観光蒸気船、BLS AGが運行する“レッチュベルク” インターラーケン市街、右がブリエンツ湖、湖の左端部がインターラーケン・オスト駅 インターラーケン・オスト駅
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ブリューニック線は開業当初は蒸気機関車牽引列車による運行であり、1903年冬ダイヤでの運行は以下の通りで、いずれもブリエンツではブリエンツ湖の蒸気船に5分の待ち時間で連絡をしていた。 ルツェルン - ブリエンツ間:3往復、所要約3時間30分 ルツェルン - ギスヴィール間:2往復(うち1往復は平日のみ)、所要約1時間30分-2時間15分 マイリンゲン - インターラーケン・オスト間:2往復、所要約25分 また、1912年夏ダイヤでの運行は以下の通り ルツェルン - ブリエンツ間:6往復、所要約3-4時間 ルツェルン - ギスヴィール間:1.5往復(うち0.5往復は平日のみ)、所要約1時間10分-1時間30分 ルツェルン - マイリンゲン間:1往復、所要2時間30分-3時間 マイリンゲン - ブリエンツ間:0.5往復、所要25分 夏季期間のみ:ルツェルン - ブリエンツ間(急行列車):2往復、所要約3時間 ブリューニック線は開業以来機関車が客車を牽引する列車で運行されており、当初ルツェルン - ブリエンツ間の所要時間は約3時間30分程度であったが、粘着区間用の蒸気機関車が開業当初のG3/3形から、1906-26年に導入されたG3/4形に置き換えられたことにより、1930年には粘着区間の最高速度が45km/hから55km/hに、1936年以降は60km/hと次第にスピードアップが図られており、1941年の電化以降は、Deh4/6形が粘着区間を最高速度75km/hで走行できるようになったほか、従来HG3/3形蒸気機関車では13km/hであったラック区間での最高速度も33km/hと大幅に向上し、現在では全線直通のインターレギオがルツェルン - インターラーケン・オスト間を2時間0分(ルツェルン - ブリエンツ間1時間39分)で運行している。 また、ブリューニック線では、開業時より数十両程度の貨車を保有して貨物列車を運行しており、1916年8月23日にはマイリンゲン - インターラーケン・オスト間、1920年にはルツェルン - ヘルギスヴィール間、1921年1月21日にはヘルギスヴィール - ギスヴィール間にロールワーゲン(標準軌貨車積載車)を使用した列車の運行が可能になった。しかし、2006年12月31日にヘルギスヴィール - ギスヴィール間のロールワーゲンの運行は廃止となり、また、現在ではツェントラル鉄道自体では貨車を保有していない。
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