フロイトの説とは? わかりやすく解説

フロイトの説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 14:07 UTC 版)

抑圧された記憶」の記事における「フロイトの説」の解説

オリジナルの「抑圧された記憶」の概念提唱したのはジークムント・フロイトである。彼によるとこの記憶性的虐待記憶の耐えられない苦痛から発生し、その記憶無意識の領域封印され、それが意識影響与え続けるのだという。 フロイト1896年に『ヒステリー病因について』を発表しヒステリー患者女性幼児期性的虐待が独: Traumaトラウマ心的外傷)となり精神疾患引き起こすとする「誘惑理論」を公表した。彼は女性12人、男性6人の患者診察し一人例外もなく幼児期性的虐待受けていた事実突き止めていた。ところが、この1年後前説変わり性的虐待事実無く幼児性欲による幻想であると唱えた。ただし、同時にそれらの外傷的記憶は心の真実として意味を持つとしたため決していい加減に扱っていいと唱えたのではない。 なお、転換後フロイト自身の説は前期後期とで大きく違っている。前期においてはLibidoリビドー)を一種生命力捉え、それを抑圧することが病理引き起こすというものであったこの段階でフロイト初めの「誘惑理論」の説を変化させ、「エディプスコンプレックス」の概念提唱したフロイト問題の説の転換のさらに後にその説を再び変化させ、内在化された社会的な禁令タブー)に目を向けだす。1923年フロイトは『自我エス』を発表深層心理考え基づいたそれまでの独: Bewusstsein(「意識」)、独: Vorbewusste(「前意識」)、独: Das Unbewusste(「無意識」)から変化し新たなる独: Über Ich(「超自我」)、独: Ich(「自我」)、独: Es(「エス」)の局所論的観点唱える。 それによると、社会的禁令内面化されたものが「超自我」と呼ばれるものであり、人間欲動駆られた際に、それと反発する超自我との葛藤起こり、これにより精神不安定になるのだという。つまり、リビドー抑圧精神の不安を引き起こすではなく精神の不安こそが抑圧引き起こすと自らの説を訂正したのであるフロイトは元々抑圧概念防衛そのものとして扱っていたのだが、1926年フロイト発表した制止症状、不安』においては、もはや抑圧数ある防衛機制のうちの一つに過ぎない存在として扱われている。 また、一方で彼は「対象リビドー」(性欲動)と「自我リビドー」(自己保存欲動自我欲動)の当初二元論変化させ、独: Lebenstrieb(生の欲動 アメリカでの訳エロス )と独: Todestrieb(死の欲動 アメリカでの訳タナトス )という概念提唱した1920年フロイトは『快感原則彼岸』を発表し、この新たなる二元論表明した。この概念は後に心的外傷後ストレス障害PTSD)と呼ばれることになる外傷神経症患者悪夢研究考え出されたものであった。この新たな二元論は、生命は非生命から生まれたのであるため最終的に回帰点として死を本能的に欲求しているという考えから来た理論であり、戦争体験といった外傷性悪夢にはタナトス概念働いていて、何度も何度も反復強迫的に過去体験についての悪夢を見続けることは自身目的として死を目指すその欲動働いている結果なのだという。フロイトは、『夢判断』の時点では夢は欲望充足するものだという考え表明していたが、外傷性悪夢においては当てはまらないため、無意識反復求めているだけと解釈し、自らの「快感原則」及び「現実原則」の概念から逸脱したこの原則をバーバラ・ロウの概念借用して涅槃原則ニルヴァーナ原則)と呼んだ

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フロイトの説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 17:12 UTC 版)

デストルドー」の記事における「フロイトの説」の解説

死の欲動概念展開する前のフロイトは、「愛する者の死を願う」といった両価的感情を伴う殺害願望から自殺説明しようとした。つまり「攻撃性Aggression)」の内向という解釈であるが、この時点では説自体は「生の欲動」の従属的位置にとどまる。一方彼の破壊性Destruction)」という言葉混乱招きやすかった。 「死の欲動以前攻撃性説明はとても複雑である。例え1905年発表された『性理論三篇』においてはリビドーには本質的にサディズム・マゾヒズム的な性質付随しているといわれた。また『精神分析学入門時代においてはフロイト無意識意識対立という構造考えていたので、人間本質的エネルギーであるリビドー性欲動)に対抗するものとして、自我保存欲動想定していた。この自我保存欲動は、外界の危険や不快な状態から避けるためにリビドー対抗する場合がある。その場合に支配感情攻撃性露にされたりすると考えられていた。 また精神分析臨床においても、「死の欲動のようなものは陰性治癒反応分析反抗して医師抵抗した症状をむしろ悪化させること)から想定されたが、それがいったい何によって引き起こされているのは謎であったこのような精神分析状況の中で、フロイト最初に死の欲動」という語を用いたのは1920年著した快楽原則彼岸』である。彼は人間精神生活にある無意識的な自己破壊的・自己処罰傾向注目した。この時期彼の考え方は「快楽が生」から「死の欲動との闘いが生」へと大きく転換したとされる。彼は神経症における強迫観念第一次世界大戦帰還兵心的外傷フラッシュバック現象少女の「いる・いない」遊び観察見られ不快なはずの母の不在反復などから、従来持論であった快感原則からは説明できない心理見出した死の欲動理論はそれ以後フロイト理論改定する大きなきっかけとなっていく。 以下、『死の欲動臨床人間学ノート112114項から、フロイトにおける「死の欲動」の要約抜き出す自我が抵抗しがたい衝動である。 衝動存在通常自我気付きにくく、無言の内に支配される快楽原則従わず反復そのもの目的とし、エネルギー尽きるまで繰り返される。それは強大なエネルギー日常的なものではなく自我はその前に無力である。 最も蒼古的(原初的)な欲動である。 死の欲動個体発生上、最も古い欲動とされた。退行究極点であり生命発生以前原初への回帰目的とする。それは生死存在非存在区別もなく明示的言語表現するのは困難なので「死」というメタファーフロイト命名した。ただし人間の「死」のイメージとは関係なく非生命に向かうという意味でしかない欲動はこの地点から巨大な破壊エネルギー手に入れる。 「悪魔的」な生命の破壊衝動である。 自己他者区別無く反復強迫的に無意味に生命破壊目指す。また「生の欲動」に先立つフロイト死の欲動エロスによって容易に懐柔されることはないと考えた憎しみのような攻撃的衝動エロスの一属性としても理解し得るが、愛と憎しみ超えたところに破壊衝動想定した死の欲動フロイトの『快感原則彼岸』や『自我エス』から見ると、一般的にはリビドーとの混合対象に備給されると書かれている。しかしその死の欲動多くなると、サディズムマゾヒズムのような形態として現れることもある。また死の欲動肉体筋肉活動通じて発散されることもある。それが身体の怒り発作として確認される精神分析臨床では死の欲動確認する術は少ないとフロイト自身言っている。事実この概念想定するのはマゾヒズムサディズム発生機序や、陰性治癒反応、それに外傷神経症という夢の願望充足例外捉えるためである。しかしこの概念超自我破壊性説明するものとして考えられており(エディプスコンプレックス通して父親からの去勢不安や父親自身の子供の怒り超自我という分裂した自我引き継がれて、死の欲動子供中心的な自我から分裂して存在するという理論)、それ故フロイトにおいては重要なものとして後年まで考えられた。

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