ナジェージダ・ナジェージディナ 作品
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「ベリョースカ (舞踊団)」の記事における「ナジェージダ・ナジェージディナ 作品」の解説
女性舞踊 『ベリョースカ』 ロシアの乙女のホロヴォード «Берёзка», русский девичий хоровод 音楽加工エヴゲーニイ・クズネツォフ(ロシア語: Евгений Кузнецов) 赤いサラファン、白樺の枝、青のスカーフ。創立以来舞踊団を代表してきた作品で、正式な公演では最初の演目として演じられる。この作品は、ホロヴォードを踊る女の子たちを描いたリトグラフからアイデアを得たという。ナジェージディナの初期作品に共通する特徴として、絵画などに描かれた民族舞踊の象徴的なボースが作品に織り込まれていることが挙げられる。それにより、民族舞踊を描いた絵画を知るものに、民族舞踊を取り巻く情景までも想い浮かばせるのである。作品の原曲として使われている『白樺は野に立てり(ロシア語: Во поле берёза стояла)』はロシアの伝統民謡である。チャイコフスキーの交響曲第4番第4楽章に民衆を象徴するモチーフとして登場するほか、ロシアに関係する音楽に用いられることがある。 ワルツ『ベリョースカ』 Вальс «Берёзка» 作曲(原曲) エヴゲーニイ・ドレイズィン(ロシア語: Евгений Дрейзин) 作詞(原曲) アレクサンドル・ベズィメンスキー (Александр Безыменский) 音楽加工 エヴゲーニイ・クズネツォフ 白いドレスと4色のレースのショール。同名のワルツ曲による作品。作曲者のエヴゲーニイ・ドレイズィンは、日露戦争当時、ロシア太平洋艦隊で指揮者をしており、ある経緯から旅順陥落後に日本の松山の捕虜収容所にいたことがある。この曲が楽譜として出版されたのは日露戦争からしばらく後だが、日本の収容所時代にこの曲が作られたとする説があり、1905年作としている場合はその説を取る立場である。歌詞はワルツが有名になった後に付けられている。 『ツェポーチカ』 乙女のホロヴォード «Цепочка», девичий хоровод 音楽加工 エヴゲーニイ・クズネツォフ 黒と銀の衣装。出演人数が不定の作品。『ツェポーチカ』は 古い公式サイトの説明 では民族舞踊の動作の名称としている。ロシア語では「鎖」または「列」を意味する。 『プリャーリッツァ』 ホロヴォードのダンス «Прялица», хороводный танец 作曲 エヴゲーニイ・クズネツォフ いくつかの糸紡ぎの情景が振り付けで表現されている。プリャーリッツァは糸紡ぎに使う道具のプリャールカ(ロシア語版)を指すようである。ここで歌われているプリャールカはロシアで独特の工芸品として発達した糸の材料を保持するためのL字型の大型の台で、用途としては糸巻き棒(英語版記事:distaff)に相当する。歌は作品タイトルにもなっている古い民謡で、歌い出しの『Уж ты прялица(お前、プリャーリッツァ)』や『プリャーリッツァ』として知られる。この民謡はかなり多彩な歌詞のバージョンがあり、作品の歌詞では下記のように「プリャーリッツァ」が冒頭部分とリフレイン部分に2度出てくるものの、民謡ではこの片方もしくは両方ともが含まれないものもある。作品の歌詞ではそれらの中から歌詞を組み合わせたり、一部補作するなどしているのかもしれない。Уж ты прялица, кокорицамояЗолотою краской выкрашу тебя...Позолоченная прялицаМы прядем, а нитка тянетсяМы прядем, а нитка тянетсяНам работа наша нравится(訳)お前、プリャーリッツァ、私のココーリッツァよ金の塗料でお前を塗ってあげる...金色のプリャーリッツァ糸を紡ぐと、糸が伸びる糸を紡ぐと、糸が伸びる私たちは仕事が気に入っているナジェージディナ時代の国外公演のパンフレットでは現地の言葉で『紡ぎ女』としている例がある。また、ナジェージディナではなくコリツォーワの作品に、『レースを編む女たち』(«Кружевницы»)という続編を思わせる作品がある。 『ヴォロッツァ』 «Воротца» 作曲 ゲンナジー・リヴォフ(ロシア語: Геннадий Львов) 伝統模様のタオルで門が作られる。ヴォロッツァはホロヴォードなどに登場する動きの名称で、ダンスの名称として使われることもある。意味は「門」。ロシア民族楽器オーケストラの表現の多彩さが華を添えている。なお、ロシア語の発音は「ヴァロッツァ」となる。 男女の舞踊 『カルーセル』 ダンスの情景 «Карусель», Танцевальная сцена 作曲 ウラジーミル・コルネフ(ロシア語: Владимир Корнев) カルーセルは回転木馬のことだが、ロシアではお祭りなどで見かける小さなメイポールのようなリボンを結んだ傘状の遊具もカルーセルと呼ばれることがある。女性舞踊団時代に原型があるようで、写真が残されている。(マッチ博物館サイトにもそのイラストがある 2017年12月18日閲覧) 『大コサック・ダンス』 «Большой казачий пляс» 男性ダンサーたちがタンバリンを叩きながら激しく踊るシーンがあるダンス。創立者のナジェージディナが稽古の指導をしている映像が残っているため、メディアでナジェージディナが紹介される時にその映像が流れることがある。 『シベリア組曲』 «Сибирская сюита» (全3部) 音楽加工 ヴィクトル・テムノフ(ロシア語: Виктор Темнов)『村の集い』 «Посиделки» 人々の遊び『熊狩り』 «Охота на медведя» (народная игра) 『プリャソヴァーヤ』 «Плясовая» シベリアに伝わっていた芸能を発展させた作品。ひと続きで踊られるものとしては長めの作品で、やや短くしたバージョンもある。 『ロシアの磁器』 三部作 «Русский фарфор» Триптих 作曲 ヴィクトル・テムノフ 3組の男女の人形が踊る。3部作でタイトルはそれぞれ、『1812年』、『1886年』、『1918年』。1812年のナポレオン戦争で活躍した軽騎兵、1917年のロシア革命の後に起こったロシア内戦期の水兵などが登場する。最後の『1918年』の音楽には、水兵の陽気なダンスとして踊られることが多い『ヤブロチコ』や、伝統歌謡『Крутится, вертится шар(ф) голубой』が登場する。 男性舞踊 『馭者』 «Ямщики» 音楽加工 ヴィクトル・テムノフ 郵便馬車のトロイカの馭者たち。19世紀のロシア歌謡『鈴の音は単調に鳴る』(ロシア語: Однозвучно гремит колокольчик)の独唱で始まる。この歌は、郵便馬車の馭者として凍死、殉職した農奴の遺品に残っていた詩から作られた。馭者たちが詩の作者と同様の状況であることを暗示する。 作品群 『四季』 «Времена года» (全7作品) 冬『オーロラ』 «Северное сияние» 『さよならマースレニッツァ』 «Прощай, масленица» 春『春のホロヴォード』 «Весенний хоровод» 『カドリール』 «Кадриль» (または、『カルーセル』 «Карусель») 夏『ロシアの畑』 «Русское поле» 『トロイカ』 «Тройка» 秋『秋の定期市で』«На осенней ярмарке» 作曲 ヴィクトル・テムノフ (『オーロラ』) 作曲 エヴゲーニイ・クズネツォフ (『さよならマースレニッツァ』、『春のホロヴォード』、『ロシアの畑』、『秋の定期市で』) 作曲 ゲンナジー・リヴォフ (『トロイカ』) 作品群としてまとめられているが、単独で上演される作品もある。『カドリール』は『カルーセル』に代わることが多い。ロシア語 Времена года は通例「四季」と訳される。しかし、直訳すれば「一年の時候」となり、必ずしも春から始まるわけではないようだ。例えば、グラズノフの『四季』は冬が最初の季節で、チャイコフスキーの『四季』は1月から12月となっている。マースレニッツァは春の訪れを前にした民間の祭りである。人形が登場するが、祭りの最後日にある重要な役割がある。
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