インフォームド‐コンセント【informed consent】
インフォームド・コンセント(いんふぉーむど・こんせんと)
インフォームド・コンセント informed consent
アメリカの1957年のサルゴ裁判で、医師がリスクのある医学的侵襲を患者の同意なくして与えた場合には暴行(日本では「故意の傷害」)として罰するとした法理から。60年のナタンソン裁判では、患者に前もって医学的侵襲の内容を説明して開示し、さらに医学的侵襲にはどのような危険の可能性があるかについて説明して、危険性の警告をしないで医療行為をした場合には過失として罰するという法理をインフォームド・コンセントに追加するなどの経過があり、70年ごろにインフォームド・コンセントは確立しました。
インフォームド・コンセントは、患者個人の権利と医師の義務という見地からみた法的概念。
インフォームドコンセント
インフォームド・コンセント
インフォームドコンセント
インフォームド・コンセント (いんふぉーむど・こんせんと)
インフォームド・コンセント
【概要】 医療者側から検査や治療について十分な説明が行なわれ、患者側も納得した上で同意する、あるいは拒否するというプロセス。患者の知る権利を元にした自己決定権の実施である。医療者側が優位なパターナリズムから、双方が協力して対処するパートナーシップへの転換である。輸血医療と治験については実質的な義務化が行われている。
【詳しく】 説明の内容としては病状に関する説明、これから選択できる検査や治療法の利点と欠点、代わりうる検査や治療法の利点と欠点などがあり、できれば医療者からの圧迫感がないこと、あるいは場合によっては代弁者(Advocate)が選べることが望ましい。医療では一刻を争う救急状態、意識の変容あるいは障害など、様々な場合があり一様に実施できない場合もある。また法的な争いを避けるための「形式的な同意」になりかねないとか、医師・患者関係を冷たいものに変えたという批判もある。一方で「患者の権利法」として法制化すべきだという考えもある。「HIV検査に患者の同意が必要」とした厚労省通知が、「なぜエイズだけ特別に要求されるのか」と論議を呼んでいる。
《参照》 治験
インフォームドコンセント
インフォームド・コンセント
インフォームド・コンセン ト、説明と同意(Informed consent)
インフォームドコンセント informed consent
インフォームドコンセント informed consent
全体 ★☆☆☆ 60歳以上 ★☆☆☆
- 1980年代から日本でも使われるようになった語で,1990年に日本医師会が,日本の医療への導入と普及の必要性を指摘したことなどをきっかけに,一般に広まり始めた。
- 医療を中心に,現代社会における重要概念として,普及定着が望まれているが,現状では意味を理解している人は少ないので,言い換えや説明付与などの必要性は高い。
- 診療場面において使われることが多く,患者の納得に基づく診療行為を表したい場合は,「納得診療」という言い換えが分かりやすい。また,患者の納得という行為を前面に出すことによって,患者の視点からこの概念を見ることを促す効果も期待でき,概念の普及にも役立つと考えられる。
- 「説明と同意」という言い換え語が,この語の意味を端的に表しているが,より分かりやすく伝えるには,意味説明に示したような説明を付与することが必要である。
インフォームド・コンセント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/01 03:15 UTC 版)
インフォームド・コンセント(英: informed consent)とは、「医師と患者との十分な情報を得た(伝えられた)上での合意」を意味する概念[1]。 医師が説明をし、同意を得ること。 特に、医療行為(投薬・手術・検査など)や治験などの対象者(患者や被験者)が、治療や臨床試験・治験の内容についてよく説明を受け十分理解した上で(英: informed)、対象者が自らの自由意志に基づいて医療従事者と方針において合意する(同意する)(英: consent)ことである(単なる「同意」だけでなく、説明を受けた上で治療を拒否することもインフォームド・コンセントに含まれる)。説明の内容としては、対象となる行為の名称・内容・期待されている結果のみではなく、代替治療、副作用や成功率、費用、予後までも含んだ正確な情報が与えられることが望まれている。また、患者・被験者側も納得するまで質問し、説明を求めなければならない。これは医療倫理から派生した概念であり、患者の権利の一つともされる。
注釈
- ^ 「説明と合意 (informed consent)」と記す場合があれば[6]、「Informed Consent (説明と同意)」と記す場合もある[7]。
- ^ 本書において「インフォームド・コンセント(informed consent 以下、IC と略)」と記している[11]。
- ^ 本人の代理として代理決定をした家族の心理的な負担について、(水野 1990, p. 200-202)。
- ^ 精神疾患患者の自己決定権がどのような要件の下で制約されるか、憲法学からの考察として、竹中勲「精神衛生法の強制入院制度をめぐる憲法問題」『判例タイムズ』第34巻第5号、判例タイムズ社、1983年2月、50-76頁、ISSN 04385896、NAID 40003206077。 を参照。
- ^ エホバの証人の輸血拒否事件を法的パターナリズム論の視点から考察したものとして、以下を参照。中村直美 『エホバの証人の輸血拒否とパターナリズム』。ホセ・ヨンパルト、三島淑臣編 『法の理論』13、成文堂、1993年。
出典
- ^ 川上武『戦後日本病人史』社人法団農山漁村文化協会、2002年、1ページ、ISBN 4-540-00169-8
- ^ a b http://medical.nihon-data.jp/archives/1116
- ^ a b 松井英俊「インフォームド・コンセントの歴史的展開から得られた患者:医療従事者関係の検討」『看護学統合研究』第5巻第2号、広島文化学園大学、2004年3月、70-73頁、CRID 1050577818268303232、ISSN 13460692。
- ^ 五十嵐雅哉「医療におけるパターナリズムが正当化され条件」『日本老年医学会雑誌』第41巻第1号、日本老年医学会、2004年1月、9頁、doi:10.3143/geriatrics.41.8、ISSN 03009173、NAID 10012898485。
- ^ a b c d e 江口聡 著「インフォームド・コンセント: 概念の説明」、加藤尚武・加茂直樹 編『生命倫理学を学ぶ人のために』世界思想社、1998年1月、30頁。ISBN 978-4-7907-0690-8。
- ^ 笹子三津留, 石川勉, 松江寛人, 山田達哉, 木下平, 丸山圭一, 岡林謙蔵, 田尻久雄, 吉田茂昭, 山口肇, 斉藤大三, 小黒八七郎「早期胃癌に対する局所切除」『日本消化器外科学会雑誌』第23巻第9号、日本消化器外科学会、1990年、2194頁、doi:10.5833/jjgs.23.2191、ISSN 0386-9768、NAID 130004116429。
- ^ 井上裕美「―Informed Consent (説明と同意) ―婦人科内視鏡手術とInformed Consent ―“Great expectaion syndrome”とDay surgery」『日本産科婦人科内視鏡學會雜誌』第16巻第2号、日本産科婦人科内視鏡学会、2000年12月、180-185頁、doi:10.5180/jsgoe.16.2_180、ISSN 1884-9938、NAID 10020399469。
- ^ a b 星野一正「インフォームド・コンセント-考え方と実際:第42回日本透析医学会教育講演より」『日本透析医学会雑誌』第30巻第10号、日本透析医学会、1997年10月、1222頁、doi:10.4009/jsdt.30.1219、ISSN 13403451、NAID 10004920752。
- ^ 伊澤純「医療過誤訴訟における医師の説明義務違反(一)」『成城法学』第62号、東京 : 成城大学法学会、2000年7月、41-123頁、CRID 1050001337473596544、ISSN 03865711。
- ^ 水野 1990, p. 61-67,「アメリカのインフォームド・コンセント」節
- ^ a b 一宮茂子「生体肝移植ドナーが経験したインフォームド・コンセント -ドナーインタビューの分析より」『Core Ethics : コア・エシックス』第8号、立命館大学大学院先端総合学術研究科、2012年、53頁、doi:10.34382/00005540、ISSN 1880-0467、NAID 110009426552。
- ^ シンポジウム 第54回人権擁護大会 2011年10月6日 2018年7月8日閲覧
- ^ a b c d 『日本医師会 診療情報の提供に関する指針 第2版』日本医師会、2002年10月。 オリジナルの2019年12月3日時点におけるアーカイブ 。
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- ^ 浅井篤「インフォームド・コンセントの基本」『健康人間学』第16号、京都大学医療技術短期大学部、2004年、11-15頁、ISSN 09163352、NAID 120000896598。
- ^ a b 子どもを対象とする看護研究に関する倫理指針(日本小児看護学会)
- ^ Reference guide to consent for examination or treatment (second edition), イギリス保健省, (2009-08)
- ^ “インフォームドアセントを得ると、児の不安・恐怖は和らぐか? 小児から得るのは同意ではなく「賛意」”. 中外医学社(m3.com) (2021年4月6日). 2021年4月6日閲覧。
- ^ Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse (1996). This page cannot be found (PDF) (Report). World Health Organization. WHO/MNH/MND/96.9。 [リンク切れ]
- ^ 樋澤吉彦「「同意」は介入の根拠足り得るか?:パターナリズム正当化原理の検討を通して」『新潟青陵大学紀要』第5巻第5号、新潟青陵大学、2005年、77-90頁、doi:10.32147/00001138、ISSN 1346-1737、NAID 110007568924。
- ^ a b 2000年2月29日の最高裁判決(平成一〇年(オ)第一〇八一号、第一〇八二号平成一二年二月二九日第三小法廷判決)。
- ^ a b 『判例時報』1629号、34頁。『判例タイムズ』965号、83頁。
- ^ “「患者の権利」の保障は医療現場の改善につながる | TKC全国会 医業・会計システム研究会 | TKCグループ”. www.tkc.jp. 2019年5月25日閲覧。
インフォームド・コンセント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/30 01:56 UTC 版)
「医療倫理」の記事における「インフォームド・コンセント」の解説
詳細は「インフォームド・コンセント」を参照 倫理におけるインフォームド・コンセントは、ある人が自分の治療の選択の潜在的な利益とリスクについて十分に情報を与えられ、理解した上でなされるものでなければならないという考えを意味する。 「インフォームド・コンセント」と相関関係にあるのは、「インフォームド・リフューザル=拒否(informed refusal)」の概念である。 全体的な情報を与えられていない人は、自分の価値観や希望を反映した選択を出来ずに、誤って行う危険性がある。これは、同意を得るためのプロセス、または場所によって異なる特定の法的要件を明確に意味するものではない。患者は自分で医学的決定を下すことを選択するか、または意思決定権限を家族などに委任することができる。患者が行為能力制限者である場合、世界中の法律はインフォームド・コンセントを得るためのさまざまなプロセスを指定している。通常、患者またはその近親者によって任命された人に決定を下させることによって行われる。なお、医師は当事者の立場であり中立性違反になるので担当医師に委任することは通常あってはならない。インフォームド・コンセントの価値は、自主尊重・自己決定権および、真実を語る、ということの価値と密接に関係しているのである。
※この「インフォームド・コンセント」の解説は、「医療倫理」の解説の一部です。
「インフォームド・コンセント」を含む「医療倫理」の記事については、「医療倫理」の概要を参照ください。
インフォームド・コンセント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 15:09 UTC 版)
詳細は「インフォームド・コンセント」を参照 治験を行う者は、治験への参加者に対して、治験に先立ち、実施される試験の目的や内容について説明する義務がある。また、参加者が患者であるならば、その治療法などについてのメリットとデメリット、他の存在する治療法などを詳しく説明し、予想される最悪の帰結に関してまでの合意がなければならない。そして、十分な理解の出来た参加者本人の自由意思によってのみ治験への参加は決断されねばならない。また、いつでも参加者は自由に治験からは離脱でき、治験からの離脱に対して、今後の治療や経済的制裁などの不利益を被ることが一切ないことを保証しなければならない(間接的な強制も許されない)。
※この「インフォームド・コンセント」の解説は、「治験」の解説の一部です。
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