イミルとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > イミルの意味・解説 

イミル【Ymir】

読み方:いみる

ユミル


イミル 【Ymir】

北欧神話に出る原始的巨魔。極寒世界の氷が極熱世界の熱でとけて生じたとする。神の王オーディンOdin)らによって殺され、その肉は大地に、血は海に、骨は山や石に、毛髪草木させられ頭蓋骨天空となり、脳はになったという。→ オーディン

イミル

作者山口椿

収載図書中国残酷女列伝
出版社ベストセラーズ
刊行年月2002.3
シリーズ名ワニ文庫


ユミル

(イミル から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/04 08:43 UTC 版)

オーディンヴィリヴェーによるユミルの殺害(ローランス・フレーリク画)

ユミル[1]古ノルド語: Ymir)とは北欧神話スノッリのエッダ』に出てくる原初の巨人。彼はまたアウルゲルミル古ノルド語: Aurgelmir、「耳障りにわめき叫ぶ者」)とも呼ばれる[2]。なお「Ymir」の日本語表記には、他に、ユーミル[3]ユミール[4]イミル[5]などがある。

スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』の語るところでは[6]、ユミルはギンヌンガガプの、ムスペルヘイムの熱で溶かされたニヴルヘイムの霜から、原初の牝牛アウズンブラとともに生まれ、この牝牛の乳を飲んで多くの子孫を産み、これが霜の巨人族となった[7]

アウズンブラの乳を飲むユミル。(Nikolaj Abraham Abildgaard画。1790年)

あるとき、最初に生まれた神ブーリの息子ボル(ブル)が、ユミルの一族である霜の巨人ボルソルンの娘ベストラと結婚し、オーディンヴィリヴェーの三神が生まれた。巨人達は非常に乱暴で神々と常に対立していたが、巨人の王となっていたユミルはこの三神に倒された。この時、ユミルから流れ出た血により、ベルゲルミルとその妻以外の巨人は死んでしまった。

三神はユミルを解体し、血から海や川を、身体から大地を、骨から山を、歯と骨から岩石を、髪の毛から草花を、まつ毛からミズガルズを囲う防壁を、頭蓋骨から天を造り、ノルズリ、スズリ、アウストリ、ヴェストリに支えさせ、脳髄から雲を造り、残りの腐った体に湧いた蛆に人型と知性を与えて妖精に変えた[要出典]

「ユミル」の名は、インド神話に登場するヤマ閻魔大王)と同語源である[8]。H.R.エリス・ディヴィッドソンはその上で、彼の名を「混成物」「両性具有」と理解することができ、1人で男性と女性を生み出し得る存在と考えることができ、さらには人間と巨人の始祖ともみることができるとしている[9]

脚注

  1. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』、『北欧神話』(デイヴィッドソン)などにみられる表記。
  2. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』228頁。
  3. ^ 『アスガルドの秘密 北欧神話冒険紀行』(ヴァルター・ハンゼン著、東海大学出版会、2004年、ISBN 978-4-486-01640-3)などにみられる表記。
  4. ^ 『北欧神話と伝説』(ヴィルヘルム・グレンベック著、山室静訳、新潮社、1971年、ISBN 978-4-10-502501-4)などにみられる表記。
  5. ^ 『北欧の神話伝説(I)』(松村武雄編、名著普及会〈世界神話伝説大系29〉、1980年改訂版、ISBN 978-4-89551-279-4)などにみられる表記。
  6. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』228-230頁。
  7. ^ 蔵持不三也『神話で訪ねる世界遺産』ナツメ社、2015年、68頁。ISBN 978-4-8163-5870-8 
  8. ^ Julius Pokorny. Indogermanischer etymologisches Wörterbuch p.505.
  9. ^ 『北欧神話』(デイヴィッドソン)236頁。

参考文献

関連項目


イミル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 08:33 UTC 版)

ミネルバの剣士」の記事における「イミル」の解説

第4巻からの登場人物ドリア国新王テオ顧問官

※この「イミル」の解説は、「ミネルバの剣士」の解説の一部です。
「イミル」を含む「ミネルバの剣士」の記事については、「ミネルバの剣士」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「イミル」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「イミル」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「イミル」の関連用語

イミルのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



イミルのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
中経出版中経出版
Copyright (C) 2025 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのユミル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのミネルバの剣士 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS