しょう‐ぞく〔シヤウ‐〕【装束】
読み方:しょうぞく
1 衣服を身に着けること。装うこと。また、その衣服。装い。いでたち。多く、衣冠・束帯など、特別な場に合わせたものについていう。「旅の—」「白—」
そう‐ずく〔サウ‐〕【装▽束】
そう‐ぞく〔サウ‐〕【装束】
装束
装束
衣装
衣装(いしょう)は、もともとは衣裳(いしょう)と書き、上半身に着用する「衣」(きぬ)と下半身に着用する「裳」(も)からきた言葉で、広く着物、衣服のことをいった[1]。その後、形式の整った衣服や、上等な衣服、演劇などの舞台衣装や晴れ着など、特別な目的のための衣服としての用法が主となった[1][2]。表記は、熟語の意味の類似性から「衣裳」から「衣装」への書き換えも定着した[1]。衣装は、英語ではコスチュームに相当する[2]。
コスチューム(costume)とは、特定の地域、時代、民族に特有な服装のこと(民族衣装)、また、舞台や舞踏会、仮装などに着用する衣装のことを意味する[3]。そのような衣装を着た演劇や映画、バレエなどの歴史劇、時代劇のことをコスチューム・プレイと呼ぶ[4]。コスチュームは単に服装の意味で使われることもある[5]。
衣装(コスチューム)をデザインする人のことを衣裳デザイナー(衣装デザイナー、コスチュームデザイナー)と呼ぶ[6][7][8][9]。
本項では、主に特別な装いとしての服装について記述する。また類語である装束(しょうぞく)についても簡単に触れる。服装全般については服飾および被服を参照。
主な分類
舞台衣装
演劇、オペラ、舞踊、音楽会、映画、テレビなどの舞台上で出演者が着る衣装のこと[10]。ステージ衣装とも。英語では、ステージ・コスチューム(stage costume)、シアトリカル・コスチューム(theatrical costume)と呼ぶ[11]。舞楽、能、狂言においては装束と呼ぶ[11]。ダンスにおいて着用する衣服のことはダンス衣装 (Dance costume) ともいう。アイドルが着用するものはアイドル衣装ともいう。
服装(衣裳・衣装・コスチューム)は非常に重要な要素であり、役者が演じる役の年齢、性別、職業、階級、人柄、更には演じられる時代、地理的場所、および日時、季節や天気についての情報さえも与える。また、様式化され誇張された舞台衣装によって人物の性格を強調することも行なわれる。(例:コンメディア・デッラルテのハーレクィンやパンタローネ。)
民族衣装
民族衣装とは、その民族独特の衣装のこと[12]。例として、日本の着物、朝鮮のチョゴリ、朝鮮女性のチマチョゴリ、ベトナム女性のアオザイ、インド女性のサリー、スコットランドのキルト、ロシアのルバシカ、ロシア女性のサラファン、マレーシアのサロン、フィリピン女性のカミサ、サヤなどがある[13]。
祝祭の衣装(イベント衣装)
衣装は、マルディグラおよびハロウィンといった祝日およびフェスティバルの重要な要素となり、(ある程度の)人々はまた、クリスマスおよび復活祭のような、その他の祝日に関連した衣装も着る。マルディグラの衣装は通常ジェスター (Jester) や他の空想のキャラクターである一方、ハロウィンの衣装は亡霊や吸血鬼のような超常的存在、大衆文化の象徴的人物、および天使である。クリスマスと復活祭の衣装は、サンタクロース(サンタ服を着て付け髭)とイースター・バニーの動物着ぐるみである。宗教に関係ない休日では、衣装で様々なキャラクターを演じる。例えば、アメリカ独立記念日にはアンクル・サムの衣装を着る。
コスプレ衣装
コスプレ用の衣装のことで、「COS衣装」「コス」などと略記されることもある。コスプレとは、漫画、アニメ、コンピューターゲームなどに登場するキャラクターの衣装やヘアスタイルなどを真似て仮装することで、英語で歴史劇を意味するコスチューム・プレイを略した言葉に由来する[14]。
マスコット衣装
他に衣装が人気な状況は、スポーツ行事で見られる。チームのマスコットキャラクターを模した衣装を着た人たちが、クラブやチームがチームの大義に向けた団結を助ける。マスコット衣装と非常に外観が似た動物の着ぐるみは、ファーリー・ファンダム(日本で言うケモナー)の一員に人気で、ファースーツと呼ばれる。
子供向け衣装
衣装はまた、子供が探検し役を演じる手段も提供する。衣装は様々な外観で着飾る。例えば、歴史上の人物や海賊、王女、カウボーイのような架空の人物、または看護婦や警察官のような通常の仕事、または動物園や農場でみられる動物の衣装がある。
花嫁衣装
花嫁衣装とは、結婚式の際に花嫁が着用する衣装のこと[15]。和装では白無垢の打掛姿で、頭には角隠しをかぶるのが一般的である[15]。洋装の場合はウェディングドレスと呼ばれ、頭にはベールを伴うのが一般的である[15]。婚礼衣装[16]。
晴衣装
晴衣装とは晴れ着のこと[17]。晴れ着とは、ハレの日に着る衣服のこと[18]。
装束
収納用品
- 衣装箪笥
- 衣装ケース(衣装箱、衣装櫃)
- 衣装戸棚(衣装棚)
ことわざ
- 馬子にも衣装
- 馬を引いて人や荷物を運んでいた者をかつて馬子と呼んでおり身分も低く服装も粗末であったが、そのような者でも上等な衣服を着ると立派にみえるということ[19] 。似たような意味のことわざに「切株にも衣装」[20]、「人形にも衣装」[21]がある。
関連項目
- ユニフォーム
- 仮面舞踏会
- 仮装パーティ (Costume Party)
- 夜会服(燕尾服、タキシード、イブニングドレス) (Evening Gown)
- スーツアクター
- 貸衣装
脚注
- ^ a b c "衣装・衣裳". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月2日閲覧。
- ^ a b 「いしょう[衣裳、衣装]」『ファッション辞典』文化出版局、1999年、58頁
- ^ "コスチューム". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月2日閲覧。
- ^ "コスチュームプレー". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月2日閲覧。
- ^ 「コスチューム」『ファッション辞典』文化出版局、1999年、60頁
- ^ “衣裳デザイナー(コスチュームデザイナー)になるには”. エスモードジャポン. 2022年8月2日閲覧。
- ^ “コスチュームデザイナー(舞台衣装・ウェディング)”. 文化服装学院. 2022年8月2日閲覧。
- ^ “衣装デザイナー”. バンタンデザイン研究所. 2022年8月2日閲覧。
- ^ “衣装デザイナーになるには”. 東京服飾専門学校. 2022年8月2日閲覧。
- ^ "舞台衣装". ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンクより2022年8月15日閲覧。
- ^ a b c "舞台衣装". 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年8月4日閲覧。
- ^ "民族衣装". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月18日閲覧。
- ^ "民族衣装". 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年8月18日閲覧。
- ^ "コスプレ". 小学館デジタル大辞泉. コトバンクより2022年8月15日閲覧。
- ^ a b c "花嫁衣装". ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンクより2022年8月4日閲覧。
- ^ "婚礼衣装". 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年8月5日閲覧。
- ^ "晴衣装・晴衣裳". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月4日閲覧。
- ^ "晴れ着". 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年8月4日閲覧。
- ^ "馬子にも衣装". ことわざを知る辞典. コトバンクより2022年8月5日閲覧。
- ^ "切株にも衣装". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月5日閲覧。
- ^ "人形にも衣装". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年8月5日閲覧。
装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 06:57 UTC 版)
装束は女房装束を下地に製作された、昭和15年に制定されたものが正式とされる(あこめ装束または本装束と呼称する)。単、衵(あこめ)、小忌衣(おみごろも)、裳(も)、緋袴で構成され、扇舞で用いる檜扇を採物として手に取る。特に青摺の小忌衣を着用する点が、この舞が神祇祭祀に特化されたものであることを物語っている。 鈴舞で用いる鈴は、舞の途中で檜扇と持ち替える。また、額には花簪若しくは前天冠を著け、髪は後ろで束ねて絵元結(熨斗紙・水引・丈長を組み合わせた装飾)を結ぶ。髪が短い場合は髢(かもじ)を付ける。
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装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 19:30 UTC 版)
一人前の年長芸妓の場合は主として島田髷に引摺り、詰袖の着物、水白粉による化粧(近畿系芸妓は正式にはお歯黒を付けるが現代では通常は付けない/関東系はお歯黒を付けない(関東系遊女は付ける);どちらも引眉はしない)というのが一般的である(地方などは土地柄によって束髪に普通の化粧という場合もある)。三味線箱を男衆に持たせたりして酒席に赴く。 半玉や舞妓ら年少の芸妓の衣装は、髪形は桃割れ等の少女の髷で、肩上げをした振袖を着る。帯・帯結びも年長芸妓とは異なる。この内、京都の舞妓は、だらりの帯結び、履物はおこぼ(こっぽり)などで知られる。 東京深川の辰巳芸者は「いき」をむねとし、足袋をはかず素足で桐の下駄を履き、羽織をはおることをもってその心意気とする。したがって、辰巳芸者を「“羽織芸者”」、略して「“羽織”」とも呼んだ。 芸妓は、花魁や花嫁のように右手ではなく、左手で着物の褄(つま)を取るので、「左褄(ひだりづま)」と呼ばれることもある。
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装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 15:10 UTC 版)
二人舞のときは金青色の、一人舞のときは紺青色の龍頭を模した、牙のある舞楽面を着け、銀色の桴(ばち/細い棒のこと)を携える。 黄色系統の色の紗地に窠紋の刺繍をした袍を用い、その上に毛縁の裲襠 (りょうとう)と呼ばれる袖の無い貫頭衣を着装し、銀帯を締める。 その動きは活発で、「走りもの」に属する。かつては競馬節会でつねに舞われた。 女性や少年少女が舞う場合もあり、その場合は、舞楽面を着けずに山吹の挿頭花を挿した前天冠を着け、歌舞伎舞踊と同様の舞台化粧をする場合がある。 表 話 編 歴 雅楽分類唐楽 高麗楽 国風歌舞神楽歌人長舞 東遊駿河舞 求子舞 大和歌大和舞 久米歌久米舞 大歌五節舞 誄歌 悠紀・主基 謡物催馬楽 朗詠 今様 楽器 現行笙 篳篥 龍笛 高麗笛 神楽笛 楽太鼓 鉦鼓 羯鼓 三ノ鼓 楽琵琶 楽箏 和琴 笏拍子 廃絶竽 大篳篥 排簫 尺八 東遊笛 莫目 壱鼓 二ノ鼓 四ノ鼓 箜篌 五弦琵琶 阮咸 方響 唐楽の曲目 壱越調春鶯囀 賀殿 迦陵頻 承和楽 北庭楽 蘭陵王 胡飲酒 新羅陵王 回盃楽 十天楽 菩薩 酒胡子 武徳楽 酒清司 壱団嬌 安摩二舞 平調皇麞 五常楽 萬歳楽 甘州 早甘州 三台塩 春楊柳 林歌 老君子 陪臚 鶏徳 慶雲楽 裹頭楽 想夫恋相府蓮 勇勝 扶南 夜半楽 小郎子 王昭君 越天楽 双調春庭楽 柳花苑 回盃楽 颯踏 入破 酒胡子 武徳楽 賀殿破 賀殿急 鳥破 鳥急 胡飲酒破 北庭楽 陵王 新羅陵王急 文鳥 黄鐘調喜春楽 桃李花 央宮楽 海青楽 平蛮楽 西王楽 拾翠楽 蘇合香急 青海波 鳥急 越天楽 千秋楽 盤渉調蘇合香 万秋楽 宗明楽 輪台 青海波 白柱 竹林楽 蘇莫者 千秋楽 採桑老 剣気褌脱 越天楽 鳥向楽 太食調太平楽朝小子 武昌楽 合歓塩 打毬楽 傾盃楽 仙遊霞 還城楽 抜頭 散手散手破陣楽 長慶子 蘇芳菲 輪鼓褌脱 庶人三台 霞洗 廃絶(遠楽・亡失曲)皇帝破陣楽 団乱旋 玉樹後庭花 壱弄楽 河水楽 溢金楽 詔応楽 河曲子 飲酒楽 (壱越調) 左撲楽 最涼州 渋河鳥 安楽塩 壱徳塩 承嘉楽 天寿楽 承天楽 厥磨賦 蘇羅密 古詠詩 香呂娘 勒念娘 細要娘 天感楽 骨崙曲子 二郎神曲子 羅紫渃県 古玉樹 延慶楽 九明楽 補臨褌脱 曹婆 弄槍 婆理 筑紫諸県舞 師子 宮商荊仙楽 娬媚娘 渋金楽 豊生楽 永隆楽 直火鳳 平調火鳳 連珠火鳳 移都師 駱勢娘 廻忽 龍勝楽 城頭楽 感恩多 偈頌 送秋楽 安弓子 千金女児 長命女児 番假崇 和風楽 催馬楽 (双調) 狭鰭河 萬春楽 絲楊園 悠紀作物 主基作物 落梅曲 林光楽 弄殿楽 応天楽 散吟打毬楽 安城楽 河南浦 感城楽 清上楽 皇帝三台 提金楽 皇帝調 長生楽 赤白蓮華楽 夏引楽 承燕楽 天安楽 催馬楽 (黄鐘調) 榎葉井 英雄楽 重光楽 九城楽 承涼楽 汎龍舟 聖明楽 青海楽 弊契児 韋郷堂々 韓神 秋風楽 感秋楽 明月楽 山鷓鴣 元歌 徳貫子 盤渉参軍 永宝楽 登貞楽 阿嬀娘 徳伴子 鳥歌萬歳楽 承秋楽 鶏鳴楽 玄城楽 長元楽 曹娘褌脱 遊児女 賀王恩 天人楽 飲酒楽 (太食調) 如意娘 秦王破陣楽 放鷹楽 西河 河満子 六胡州 天長久 薜問堤 惜々塩 上元楽 五更囀 大天楽 大宝楽 大酺楽 大定楽 興明楽 五坊楽 後散 古堂々 慣々塩 高麗楽の曲目 高麗壱越調新鳥蘇 古鳥蘇 退走禿 進走禿 延喜楽 胡蝶 八仙 仁和楽 胡徳楽 狛桙 敷手 貴徳 納曽利 皇仁庭 埴破 進蘇利古 蘇利古 綾切 長保楽 新靺鞨 高麗平調林歌 高麗双調地久 白浜 登天楽 蘇志摩利 廃絶(遠楽・亡失曲)黒甲序 都志 顔徐 酣酔楽 狛犬 石川 狛龍 新河浦 桔桿 常武楽 作物 葦波 鞘切 啄木 歌良古蘇呂 雑楽の曲目振鉾 壹鼓 一曲 関連項目御座楽 雅楽 (中国) 雅楽 (朝鮮) ベトナムの雅楽 十二律 唱歌 (演奏法) 序破急 律旋法 呂旋法 現代雅楽 この項目は、日本の文化に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(ポータル 日本・ウィキプロジェクト 日本文化)。 この項目は、舞台芸術に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(Portal:舞台芸術)。
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装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/07 04:53 UTC 版)
ノロに決まった服装はないが、琉装もしくは和装の着流しの白装束であることが多い。また、草の冠(神カムリ)などの草装も見られ、そうした異形の装束は神が憑依していることを意味している。これは世界の各地のアニミズムで共通してみられる特徴である。また、装身具として勾玉を身に着けることも多い。
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装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/02 01:19 UTC 版)
ここでは明治以降采女が身に着ける装束について、上に着装する順に解説する。 髪上具(かみあげのぐ) 平額・釵子・櫛のセット。采女装束の場合は心葉(こころば)という梅の枝と「日陰の糸・日陰鬘(ひかげかづら)」という顔の横に下げる糸状の髪飾りを装着する。『古事記』や『万葉集』に出てくる植物のかづらが、時代と共に整えられた装飾品である。 千早・襅(ちはや) 貫頭衣とも呼ばれた、古来形式の衣服である。形状は、掛け衿はあるが衽(おくみ)を設けていないもので、法被(はっぴ)のような前身頃となっている。袖は巫女が身に着けるものと違い袖無しで、白い薄絹で作られる。文様は、胡粉(白い絵の具)を引いてから山藍の汁で染めるという、青摺(あおずり)で蝶を描く(奈良女子大学に遺品がある)。そして、小忌衣(おみごろも)と同じく清浄な衣服であり、着用する者を清めるとされている。また、近世では同じ形状だが生地は麻地である。 衣服の裾周りが邪魔にならないように、千早の上から苧麻(ちょま)の緒を帯として腰に締める。麻は清浄なものとして神事に広く用いられる素材である。 掛衣(かけぎぬ) 唐衣と形状が似ているが相違があり、掛衣には現在の着物と同じく衽があることと、袖が一幅の仕立てとなっている。文様は縹・浅葱色(青)などの絹地に、胡粉(白い絵の具)で青海波を描く。なお、執翳(はとり)女孺で着用するものは唐衣であり、衽がなく袖も半幅である。次いで文様が違い、蝶を縹(青)の絹に胡粉で描く。 絵衣(えぎぬ) 金銀の雲に、色彩画で松、椿、春草の文様を描いた衣服である。生地は白い練絹に、萌黄色の生絹(すずし/生糸で織った薄い織物)の裏地をつけたもので、丈は上に着る千早・掛衣と比べ長いものとなっている。 なお江戸時代には、絵衣は執翳女孺(即位式などの儀式の際に、天皇の御座席の左右から、柄のながい団扇を持ち、かざす女官)も使用したが、明治以降は出席せず検討となり、執翳女孺は大正時代の即位式からは廃止となった。使用人が執翳女孺を勤める例であった、尼門跡寺院の大聖寺には遺品が残っている。 切袴(きりばかま) 足の甲にかかるくらいの丈の、幅の広いズボン形の袴。捩襠(ねじまち)といって縁を縫わずに巻いて糊でとめており、襞は上の部分にしかない。 襪(しとうず) 「下沓(したぐつ)・下履」が転じて襪と呼んだ、絹製の靴下。足袋と異なり指先は分かれておらず、こはぜもない為、上方に付けた紐で結び留める。養老の衣服令では朝服に白襪を用いるように定めた。古代一般的には高徳な老人などを除いて襪をはくことは禁じていた。 鳥皮履 舃(せきのくつ、又は鼻高沓)の代わりに、「鳥皮(くりかわ)の履・沓」を用いた。
※この「装束」の解説は、「采女装束」の解説の一部です。
「装束」を含む「采女装束」の記事については、「采女装束」の概要を参照ください。
装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/20 16:17 UTC 版)
黒の身ごろに赤の平口袖(ひらくちそで)をつけ、胸当(むねあて)を着て赤たすきをする。 立縞のタッツケ袴をはき後腰に大口を吊るし、腰に刀を剣舞差し(刃を下向き)にする。 手に手甲、白足袋にわらじを履き、頭に毛采(けざい)をのせる。 右手に扇子、左手中指に棒状の「赤い金剛杵(こんごうしょ)」をはさみ持つ。
※この「装束」の解説は、「南下幅念仏剣舞」の解説の一部です。
「装束」を含む「南下幅念仏剣舞」の記事については、「南下幅念仏剣舞」の概要を参照ください。
装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 05:15 UTC 版)
装束は正式には「向こう鉢巻・浴衣又は法被姿とし、白足袋に草履とする」と決められている。しかし新しく作られた幾つかの団体は半纏を着用するところもある。 かつては神輿に巡行する際には家主は紋付き袴を着用し、家主ではない者や子供たちは形付きのおそろいの浴衣(ただし、かつて八坂神社があった鋳物師町は神職の仮装)を着用したという。 映画『無法松の一生』では無法松がふんどし一丁で太鼓を叩く描写があるが、あくまで映画の衣装であり実際のものとは異なる。小倉に限らず、北九州市内の他の山笠祭りでも締め込み(ふんどし)を着用する所は存在せず、筑豊地区でも締め込みになるのは飯塚山笠など極少数に留まる。
※この「装束」の解説は、「小倉祇園太鼓」の解説の一部です。
「装束」を含む「小倉祇園太鼓」の記事については、「小倉祇園太鼓」の概要を参照ください。
装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 16:01 UTC 版)
鬼剣舞の現在の装束は昭和の初期に確立された。それ以前は、胆沢地方に伝わる念仏剣舞の装束と同様の出で立ち(いでたち)だった。 格子模様の「身ごろ」に赤の「平口袖(ひらくちそで)」(袖は大きめ)をつけ、紺地に白の竜胆(りんどう)模様(丸に笹竜胆紋 - 和賀氏(源氏)の家紋)の「胸当(むねあて)」、「広口袴(ひろぐちばかま)」をはき、「白の帯」をしめ赤の「たすき」をかける。後腰に「大口ゴザ」を結い、「脱垂(ぬぎだれ」を重ねて結い「大刀」を上反りに差す。すねに「脚絆(きゃはん)」をはき、「白足袋」に「わらじ」を履く。顔に白布の「オトゲ回し」をし、頭に「毛采(けざい)」をのせ、白布の「鉢巻」をし、「面」(前述の鬼の面)をつける。腕に「鎖帷子(くさりかたびら)」(昔は手に不動の荒縄を意味する縄を三巻巻いていた。)、手に「手甲」をつけ、左中指に「赤い金剛杵(こんごうしょ)」をはさみ、右手に「扇子」を持つ。
※この「装束」の解説は、「鬼剣舞」の解説の一部です。
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装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/20 00:16 UTC 版)
大将の装束は、縁塗または梨地打烏帽子をかむり、鎧直垂の上に鎧を着し、弽(ゆがけ)を差し、鞘巻をいたし、太刀を佩き、上帯鉢巻を締め、きりふ中黒の征矢をさし、逆顔の箙を負い、鞭を箙に差し、頬貫を穿き、左手に重籐の弓をにぎり、右手に扇をもち、床机に敷皮をしかせて腰を掛け、白毛のところをふまえて着座する。
※この「装束」の解説は、「首実検」の解説の一部です。
「装束」を含む「首実検」の記事については、「首実検」の概要を参照ください。
装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 04:02 UTC 版)
詳細は「en:Court dress」を参照 英国の服装は1635年の裁判官規則(Judges Rules)に定められている。 かつら (装身具) - 英国と英国植民地の過去を持つ国の裁判所で、法廷弁護士と裁判官が身に着ける。 バンド (首装備)(英語版) - 裁判官や弁護士、学者、聖職者が身に着ける。 ガベル (槌) - 裁判官が持つ儀礼槌
※この「装束」の解説は、「裁判官」の解説の一部です。
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装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 03:36 UTC 版)
即位礼正殿の儀 天皇:御束帯(黄櫨染御袍) 皇后:御五衣・御唐衣・御裳 皇嗣:束帯(黄丹袍、帯剣) 皇嗣妃:五衣・唐衣・裳 親王:束帯(帯剣)(これにより難い場合には、燕尾服(勲章着用)とする。) 親王妃、内親王、及び女王:五衣・唐衣・裳(これにより難い場合には、ロングドレス(勲章着用)とする。) 宮内庁長官、宮内庁次長、侍従長、侍従次長、侍従、皇嗣職大夫、皇嗣職宮務官長、式部官長及び式部副長:束帯 女官長及び女官:五衣・唐衣・裳 威儀の者及び衛門:束帯(帯剣、弓) 威儀物捧持者、司鉦司鼓及び鉦鼓の係員:束帯 参列者男子:燕尾服、モーニングコート、紋付羽織袴又はこれらに相当するもの 女子:ロングドレス、デイドレス、白襟紋付又はこれらに相当するもの・勲章着用 礼砲を行う陸上自衛官:甲武装 饗宴の儀 男子:燕尾服、モーニングコート、紋付羽織袴又はこれらに相当するもの 女子:ロングドレス、デイドレス、白襟紋付又はこれらに相当するもの・勲章着用 祝賀御列の儀 天皇:燕尾服 皇后:ローブデコルテ・ティアラ
※この「装束」の解説は、「即位の礼」の解説の一部です。
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装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 15:39 UTC 版)
一人前の年長芸妓である「留袖」の場合は主として、髪形は中島田に結い、着物の袖は留袖、裾は普通の着物より長い“お引きずり”を着用。6・9月は裏地がついていない単衣(ひとえ)、7・8月は薄く透き通った軽やかな呂(ろ)、10~5月は裏地のついた袷(あわせ)を着る。化粧は、引眉をしない水白粉によるものが一般的。帯は、普段はお太鼓結び、正装時はお太鼓の下を結ばずに垂らす“柳”に結ぶ。 見習いの芸妓である「振袖」の衣装は、髪形は桃割れ等の少女の髷で、振袖を着る。帯は年長芸妓とは異なり、「矢の字結び」に結ぶ。
※この「装束」の解説は、「古町芸妓」の解説の一部です。
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装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 04:50 UTC 版)
討ち入りの際、四十七士は全員、服装を黒地に白の山形模様のついた火事場装束のような羽織に統一した、というもの。 史実では11月初めの覚書ですでに「黒い小袖」に「モヽ引、脚半、わらし」に決まっており、あとは思い思いの服装でよかった。全員が一様であったのは定紋つきの黒小袖と両袖をおおった合印の白晒くらいである。衣類の要所要所には鎖を入れて防備を固めた。全体として火消装束に近いスタイルであったが、人生最期の晴れ舞台であったこともあり、火事装束よりはもっと派手だった。 火事羽織からの連想からか元禄16年に書かれた『赤穂鍾秀記』ではすでに「黒い小袖」が「黒い羽織」に代わってしまっている。黒地に白の入山形は宝永7年(1710年)6月の『鬼鹿無佐志鐙』に原型があり、『仮名手本忠臣蔵』で広く知られるようになった。浪士の名前を書いた左右の白襟は片島武矩の『義士伝』に端を発し、幕末の浮世絵師の一勇斎国芳画『誠忠義士伝』で形作られ、明治にかけて一般化した。
※この「装束」の解説は、「忠臣蔵」の解説の一部です。
「装束」を含む「忠臣蔵」の記事については、「忠臣蔵」の概要を参照ください。
装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 02:24 UTC 版)
今日では装束も様式化され、使用法が厳格に定められている。例えば色においても、白は高貴なもの、紅は若い女性を示す。また中世や近世から能楽師の家に伝わる装束も多い。なお、能の装束が現在のように絹の色糸をふんだんに使った豪華なものとなったのは江戸期である。その背景には、江戸期における織物技術の発達、将軍家をはじめとする為政者の潤沢な資金の流入がある。一方狂言の装束は麻が中心である。
※この「装束」の解説は、「能楽」の解説の一部です。
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装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/30 02:08 UTC 版)
一般的な巫女装束に似ているが千早にあたる部分は舞衣(まいぎぬ)と呼ばれ、胸紐が無く、太い組み紐の様な帯を締める。その上に着る陣羽織に似た金襴の衣服を千早と呼ぶ。
※この「装束」の解説は、「浪速神楽」の解説の一部です。
「装束」を含む「浪速神楽」の記事については、「浪速神楽」の概要を参照ください。
装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/30 02:45 UTC 版)
龍頭を模した舞楽面を着け、金色の桴(ばち/細い棒のこと)を携える。 緋色の紗地に窠紋の刺繍をした袍を用い、その上に毛縁の裲襠 (りょうとう)と呼ばれる袖の無い貫頭衣を着装し、金帯を締める。 女性や少年少女が舞う場合もあり、その場合は、舞楽面を着けずに桜の挿頭花を挿した前天冠を着け、歌舞伎舞踊と同様の舞台化粧をする場合がある。
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装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 03:03 UTC 版)
作業服の中でも鳶服という分類がある。七分と呼ばれる、ニッカズボン型の裾が広がった作業ズボンなど、独特の作業服を着用していることが多い。地下足袋や、手甲(てっこう)脚絆(きゃはん)などを着用することもある。
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装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 23:28 UTC 版)
着物 - 慣例で、足元を絞ったたっつけ袴。「紀文」(紀文食品)、「救心」(救心製薬)、「なとり」、「スギヨ」、「永谷園」、「シーチキン」(はごろもフーズ)、「JA共済」、「Daiwa House」(大和ハウス工業)など広告が入る場合がある。 裁付袴(たっつけばかま) 足袋 扇子 - 神聖な土俵に唾を飛ばさないための措置 。白色で無地のものと定められている。
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装束
「 装束」の例文・使い方・用例・文例
- 黒装束の騎士.
- 火事装束
- 家族は皆白装束だった
- 白装束で葬式に付いた
- 白装束
- 婦人達は白装束で葬式に付いた
- 厚板という,能装束の小袖
- 雨装束という身仕度
- 女房などが出衣の装束で乗った牛車
- 臨時の外出などの日一日だけ,貴族などに晴の装束が許されること
- 五つ衣という,女房装束の下着
- 打ち掛けという,舞楽の装束
- 女房装束において,重袿の一番上に着る袿
- きまりにのっとった装束のつけ方
- 装束の制作や着用をつかさどる家
- 能装束としての大口袴という能装束
- 大越という女房装束の裳の一部
- 普通とは異なった装束
- 江戸時代おいて,火事の際に消火や警備に当たる人が身につけた装束
- 江戸時代の火事装束の頭巾
装束と同じ種類の言葉
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