鉄道連絡船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 00:14 UTC 版)
日本の鉄道連絡船
日本では、旧日本国有鉄道が運航した航路を指すことが多い。国鉄が運航した航路には、鉄道間を連絡するために開設した航路の他に、民間鉄道会社が運航していた航路を買収後引き続き運航したものも含まれるため、宮島航路などの鉄道間連絡という性質が全くない航路や、大島航路における鉄道路線と自動車路線との繋ぎ連絡航路もあるが、それらも鉄道連絡船と称する。
国鉄時代、すべての船舶は船籍港を東京港としていたが、分割民営化後青函航路は函館港、宇高航路は高松港、宮島航路は広島港が船籍港となった。
鉄道車両航送が可能な鉄道車両渡船を就航した本格的な鉄道連絡航路
- 関森航路 下関駅 - 小森江駅(1911年 - 1942年)
- 宇高航路 宇野駅 - 高松桟橋駅・高松駅(1910年 - 1990年)
- 青函航路 青森駅 - 函館桟橋駅・函館駅(1908年 - 1988年)
その他の鉄道連絡航路
- 稚泊航路 稚内桟橋駅 - 大泊港駅(1923年 - 1945年)
- 鹿島参宮鉄道船舶部浜駅 - 鹿島大社(1927年 - 1931年)
- 琵琶湖航路 長浜駅 - 大津駅(現・びわ湖浜大津駅)(1882年 - 1889年)
- 利根川航路 栗橋駅 - 中田駅(1885年 - 1886年)
- 湘南電気鉄道汽船(通称「湘南丸」)浦賀駅 - 竹岡駅(1937年 - 1939年)
- 飯田線代行船(通称)大嵐駅 - 小和田駅(1957年)
- 富山県営渡船 越ノ潟駅 -新港東口駅 (1967年 - )
- 富山新港建設による射水線分断により開設。
- 由良川航路 福知山駅 - 由良(1901年 - 1904年)
- 若狭湾(宮津)航路 舞鶴港 - 宮津港(1904年 - 1924年)
- 天橋立への連絡を目的に開設。
- 若狭湾(小浜)航路 舞鶴港 - 小浜港(1906年 - 1913年)
- 阪鶴鉄道が開設した航路。1913年6月に丹越汽船に譲渡。
- 宮津湾内航路 宮津 - 文殊 - 須津 - 岩滝 (1909年 - 1925年)
- 阪鶴鉄道により開設。宮津線開通により廃止。
- 舞鶴境航路(通称[18]「山陰連絡船」) 舞鶴駅 - 境駅(1905年 - 1912年)
- 山陰本線開業までの暫定航路。
- 和歌山小松島(徳島)航路 和歌山港駅 - 小松島駅(小松島港仮乗降場)(1913年 - )
- 徳島小松島港側は1913年に国鉄小松島線(当初は施設を航路運行会社の阿波国共同汽船からの借り入れで運行)が、大阪港との間を結ぶ航路に接続する鉄道として開通していた。1956年に和歌山側で南海和歌山港線の(旧)和歌山港駅(後の築港町駅)が開設され(1970年には延伸開業した(新)和歌山港駅へ乗り継ぎ場を移転)、両側において鉄道と接続するようになった。1985年に小松島線が廃止され、1999年には小松島港から徳島港へ徳島側の発着地を変更した。南海電気鉄道の子会社の南海フェリーによって運航されており、南海電気鉄道との通し乗車券も販売されている。それを結ぶ南海和歌山港線は2005年に途中駅が廃止されて以降、完全に南海フェリーとのアクセス路線となっており、船と鉄道の連絡を考慮して組まれたダイヤで運航されている。
- 岡山高松航路 岡山港 - 高松駅(1903年 - 1910年)
- 尾道多度津航路 尾道駅 - 多度津駅(1903年 - 1910年)
- 仁堀航路 仁方駅 - 堀江駅(1946年 - 1982年)
- 宇高航路の補助目的で開設。利用客がもともと少なく、更に呉・松山フェリーと競争にならなくなったため廃止となった。
- 吉野川航路 中原駅 - 新町橋(1916年 - 1935年)
- 広島瓦斯電軌新宮島連絡船 新宮島駅 - 宮島桟橋(1926年 - 1931年)
- 宮島航路 宮島口駅 - 宮島桟橋(1903年 - )
- 民間の航路が山陽鉄道に買収され、鉄道国有法による同社の国有化で国鉄所有になったもの。JR西日本宮島フェリーの手で現在も運航されている。宇高連絡船の廃止以降、JRグループが運航する唯一の鉄道連絡船ではあるが、JR鉄道路線との連絡運輸は、廿日市市が導入した「宮島訪問税」の導入に伴い、2023年9月を以て終了となった。
- 大島航路 大畠駅 - 小松港(1946年 - 1976年)
- 徳山門司航路 徳山港 - 門司港(1897年 - 1901年)
- 山陽鉄道傘下の山陽汽船により、今の山陽本線が徳山駅まで開業してから下関駅への延伸工事中、暫定的に開設。
- 関門航路 下関駅 - 門司港駅(1898年 - 1964年)
- 関釜航路 下関駅 - 釜山桟橋駅(1905年 - 1945年)
- 博釜航路 博多港 - 釜山桟橋駅(1943年 - 1945年)
- 関釜航路の補助航路として開設。博多駅 - 博多港間はバス連絡。関釜航路と同じ経緯で廃止。
- 島鉄高速船 島原外港駅 - 三池港(1997年 - 2015年)
- 大村湾航路 早岐駅 - 舟津港(1897年 - 1898年)
- 長崎電気軌道長崎港内連絡船(通称「電鉄丸」)(1925年 - 1943年)
鉄道連絡船の多くは、鉄道路線の延長、太平洋戦争敗戦による領土の喪失、トンネル及び橋の完成、利用客の減少などといった理由で廃止されている。
なお現在、稚泊航路に相当する稚内 - コルサコフ間には北海道サハリン航路が、関釜航路に相当する下関 - 釜山間には関釜フェリーが、博釜航路に相当する博多 - 釜山間にはカメリアライン、JR九州高速船の「ビートル」、韓国の未来高速の「コビー」が運航されている。
また青函フェリー・宇高国道フェリー(2012年10月17日の運航を以って運休)などのように、国鉄 - JRによる航路が廃止された後でも、同区間に車輸送や地元の便を図った民間の航路が存在する区間は数多く存在する。しかし、これら路線は広大な車両待機所を確保するために、港の位置が鉄道の駅から離れていることが多く、鉄道連絡船とは言いがたい。
鉄道連絡船とはみなされない航路
観光色の強い箱根海賊船の場合は、歴史的経緯などにより、通常は鉄道連絡船とは見なされない。
同じように、鉄道事業者の系列・非系列問わず、鉄道路線と連携する形で対岸の観光地などへ航路を運行している例は幾つかみられ、航路によっては当該鉄道路線との連絡運輸を結んでいる例も存在しているが、自動車航送を実施している後述の航路を除いては、鉄道連絡船とみなされないのが一般的である。
現在の日本の鉄道連絡船
利用可能な区間は下記である。
- ^ a b c Marshall, John (1989). The Guinness Railway Book. Enfield: Guinness. ISBN 0-85112-359-7
- ^ Photos of containers in Baku
- ^ Trend Capital - Business news of Azerbaijan and Caspian region, prices, quotas, analytical materials, world news
- ^ News | TimesDaily.com | TimesDaily | Florence, Alabama (AL)
- ^ The Last AquaTrain
- ^ China - Railpage Australia Forums (East and South East Asia)
- ^ Doreen Hemlock,Arlene Satchell (2015年5月5日). “At least four Florida companies approved for ferry service to Cuba” (英語). The Sun-Sentinel 2017年7月18日閲覧。
- ^ a b “"Infrastructure"”. "Mobile Area Chamber of Commerce". 2008年2月9日閲覧。
- ^ Southern Peru Railroads
- ^ “Rail ferries in the former USSR”. 2012年9月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年9月10日閲覧。 (ロシア語)
- ^ Russia - South Asia connections - Railpage Australia Forums (International News)
- ^ http://www.railpage.com.au/f-t11321597-s15.htm
- ^ https://books.google.com.au/books?id=0V4u-NDQQVkC&pg=PA135&lpg=PA135&dq=train+ferry+caspian&source=web&ots=otR1NZHceC&sig=KL5n05rhn-BsaMAFmHbx96QOb58&hl=en
- ^ RailwaysAfrica
- ^ 曽我誉旨生著 時刻表世界史 p203
- ^ 東洋経済オンライン『初代社長が語る、JR東海の「観光列車論」』
- ^ 中日新聞2021年4月17日付<奥三河点描>飯田線代行船
- ^ “阪鶴丸・第二阪鶴丸” (2011年12月6日). 2014年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年3月16日閲覧。
鉄道連絡船と同じ種類の言葉
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