Nintendo Entertainment System 仕様

Nintendo Entertainment System

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 07:15 UTC 版)

仕様

10NESチップ
CPU
CPUは、Ricoh 2A07が乗っている。8Bit、クロック速度は約1.79MHz。日本のファミリーコンピュータでは、Ricoh 2A03だが、映像出力方式以外(2A03NTSC2A07PAL)大きな違いはない。MOS 6502リコーが改良したものである。
海賊版対策回路
ファミコンは海賊版対策回路を持たず、そのため極東では(非ライセンス品と無断複製版の両方の意味で)海賊版ソフトが氾濫した。対して、初代NESには10NESチップ[11]という対策回路が搭載され、無許可版の製作を著しく困難にした(ただしNES2には搭載されていない)。後に、NESを分解して10NESチップの4番ピンを切断すればチップを無効化でき、海賊版や輸入版ソフトが使えるほか、合法的なゲームの互換性も向上することが明らかになった[12]。欧州版には地域Aと地域Bのゲームを相互にプレイできなくする対策チップが載っていた[8]
映像出力
初代ファミコンはRF出力のみ、AVファミコンはビデオ出力のみだったのに対し、NESはツインファミコンのようにRF出力とビデオ出力の並存だった(フランス版はアナログRGB信号の含まれるSCART端子もあるが、内部でコンポジット→RGB変換しているだけなので、RGBの高画質は期待できない)。ちなみにNES2はRF出力のみ、ヨーロッパ版とオーストラリア版では現地の仕様にあわせPALまたはSECAM出力となっている。

周辺機器

ファミコン用には発売されたが、NES用は出なかった周辺機器やソフトウェアがいくつかある。
  • ディスクシステム - 日本と台湾と香港でのみ発売されたファミコン用のディスクドライブである。任天堂は海賊版を危惧してその他の国では発売しなかった。『Super Mario Bros. 2(日本:スーパーマリオUSA)』として発売された『夢工場ドキドキパニック』や『悪魔城ドラキュラ』シリーズのように、ディスクシステム用ソフトの多くがNES用カートリッジソフトとして移植されている。一方、オリジナルの『スーパーマリオブラザーズ2』は、SNES用ソフト『Super Mario All-Stars(日本:スーパーマリオコレクション)』に『Super Mario Bros.: The Lost Levels』として収録されるまで日本国外向けには発売されなかった。
  • ファミリーベーシック - ファミコン用のBASIC言語である。自分用のゲームをプログラムできる。多くのプログラマがこの言語でプログラミングに入門した。
  • 通信アダプタ - 任天堂のサーバに接続するためのモデムである。ジョークや(主に任天堂に関する)ニュース、攻略法、日本国内の天気予報が提供されていた。いくつかのプログラムもダウンロードできた。
カセット内蔵音源
NESでは音源信号入力のピンは底面の拡張端子のみで、ファミコンと異なりカセット端子には無い。結果的にNESはカセット版ソフトでは拡張音源を使用できなくなり、NES版ではファミコン版に比べて本体内蔵音源のみとなったソフトがいくつかある。『悪魔城伝説』(英:Castlevania III: Dracula's Curse)がこの問題の顕著な例である。
コントローラ
NESの標準コントローラは、ファミコンのIコントローラと同様の A、B、スタート、セレクトの四つのボタンと十字キーが配された長方形型のものが採用された。ファミコンとは異なりIコン・IIコンの差は無く、同じ形状の物が2つ同梱[注 3]。また、本体に直付けではなく、日本のAV仕様ファミコン同様に本体前面に2つある7ピンのコントローラーコネクタに接続して使用する。
日本版のAV仕様ファミコンにもNESのコントローラーが挿せるので、初代ファミコンと変わらない操作性で遊べると言う利点がある。
後に発売されたNES2では日本のAV仕様ファミコンと同様、スーパーファミコンのコントローラのように「犬の骨」を思わせる形となった。
ファミコンの15ピンエキスパンドコネクタにあたるコネクタはなく、NES ザッパー[注 4]パワーパッド、R.O.B.、パワーグローブ、といった周辺機器の接続にも、コントローラ用コネクタがそのまま用いられた。
派生品として「Nintendo Hands Free Controller」があり、これは障害者向けのコントローラーで、手や指を使わず顎や呼吸によって操作をすることが可能。希望者や病院などに安価で提供された[13]
パワーグローブの多段階入力
NES用データグローブとしてマテルから販売された『パワーグローブ』は工業用と比べて解像度が低いが多段階入力に対応しており、それに対応したゲームも販売された(日本ではファミコン用コントローラーとして販売されたが、データグローブとしての多段階入力に対応したゲームは販売されずに、汎用のコントローラーとして利用された。)。

ソフトウェア

上記の表の「北米」「欧州」列が任天堂からライセンスされたNES用ソフトウェアである。

一方で非ライセンスソフトも存在しており、そのうちの海賊版に関しては、1990年に任天堂のアメリカ法人が「マルチ・ゲームカートリッジ」と呼ばれる偽造カートリッジに関わるレンタル・製造・小売り業者を相手に裁判を起こしている[14]


注釈

  1. ^ コレコは自社の家庭用ゲーム機(コレコビジョン)への『ドンキーコング』の移植については任天堂から正規ライセンスを取得していたが、パソコンへの移植については任天堂の許可を受けずに行なっていたため、このパソコン版『ドンキーコング』の発売は断念された(コレコビジョン移植版は発売)。
  2. ^ ファミコン互換機の一部は、日本で販売されている商品であってもコスト削減等のために海外向けを流用したことでコネクターがNES用の機種もあり、そうした機種ではファミコン用カセットをNESコネクターに変換するアダプターが標準添付されているケースもある。
  3. ^ つまりファミコンとは違い、マイク付きのIIコンは無い
  4. ^ 光線銃相当品
  5. ^ 米国では発売時の価格でNES-001の89.99ドルから49.99ドルへ値下げ。

出典

  1. ^ Classic Systems—Nintendo Entertainment System” (http). 任天堂アメリカ法人. 2007年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年2月11日閲覧。
  2. ^ a b Liedholm, Marcus and Mattias. “The History of the Nintendo Entertainment System or Famicom” (http). Nintendo Land. 2009年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年2月12日閲覧。
  3. ^ 滝田誠一郎『ゲーム大国日本 神々の興亡』青春出版社、2000年、143-144頁。 
  4. ^ 任天堂「ファミコン」、海外へも意欲 米国用CESで発表 冬のCESでイメージ出品、夏には本格的な出荷」『ゲームマシン』第255号(アミューズメント通信社)、1985年3月1日、2面。
  5. ^ 米国では9月発売 任天堂「ファミコン」、北米仕様「NES」で」『ゲームマシン』第265号(アミューズメント通信社)、1985年8月1日、2面。
  6. ^ "ファミコン"の米国版"NES" 全米で本格展開 米国任天堂がいよいよ9月から開始」『ゲームマシン』第291号(アミューズメント通信社)、1986年9月1日、1面。
  7. ^ Burnham, Van (2001) (英語). Supercade: A Visual History of the Videogame Age, 1971-1984. Cambridge, Massachusetts: MIT Press. pp. p. 375. ISBN 0-262-52420-1 
  8. ^ a b European information” (http). Nintendo Database. 2006年5月4日閲覧。[リンク切れ]
  9. ^ Nielsen, Martin (1997年). “The Nintendo Entertainment System (NES) FAQ v3.0A” (http). ClassicGaming.com's Museum. 2006年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2005年1月5日閲覧。
  10. ^ Hernandez, Christopher. “Nintendo NES / Famicom” (http). Dark Watcher's Console History. 2007年10月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2005年1月5日閲覧。
  11. ^ CIC (Nintendo)
  12. ^ Horton, Kevin. “The Infamous Lockout Chip” (http). BlueTech. 2005年1月5日閲覧。 [リンク切れ]
  13. ^ ニンテンドードリーム vol254. 徳間書店. p. 81 
  14. ^ 海外の話題」『ゲームマシン』第380号、1990年5月15日、19面。2023年4月15日閲覧。
  15. ^ a b 「スーパマリオブラザーズ」など30種類のゲームソフトを収録 GAME Watch 2016年7月15日
  16. ^ a b c d e Nintendo Entertainment System: NES Classic Edition - Official Site Nintendo
  17. ^ Nintendo Classic Mini Nintendo UK
  18. ^ 任天堂の新ハードは手乗りファミコン、マリオなど30本入りの『NES Classic Edition』を60ドルで11月発売, オリジナルの2019-11-20時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20191120085743/http://japanese.engadget.com/2016/07/14/30-nes-classic-edition-60-11/ 
  19. ^ 小型ファミコン“Nintendo Classic Mini”が発表!! ファミコンタイトル30種類を内蔵し、11月11日に発売【海外ニュース】 ファミ通.com 2016年7月15日
  20. ^ 任天堂の激レアファミコンゲーム、ネットオークションで約1000万円に ねとらぼ 2014年1月27日20時5分






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