漁 漁法の種類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/12 04:32 UTC 版)

漁法の種類

漁にはさまざまな漁法がある。もっとも素朴なものは、徒手採捕、ヌードリングと呼ばれる漁具を用いずに人間が直接素手で魚類などを掴み取る方法である。

漁具を用いる漁法では、漁獲の対象となる水生生物の生態や、漁場環境、漁期などを考慮して、その漁撈活動に最適の漁具を用いて、もっとも効率のよい漁法が選択される。以下に、代表的な漁法を紹介する。

網漁業

川で魚網を用いている様子
トロール網での漁の概念図

漁具として漁網)を用いる漁法である。主な網漁業には以下のようなものがある。網漁の種類など詳細については漁網を参照。

  • 投網(被網)
  • 底引き網
    • 遠洋底引き網 - 北方トロール、転換トロール、北転船、南方トロール、えびトロールの総称
    • 以西底引き網
    • 沖合底引き網
    • 小型底引き網
  • 船引き網(中層引き網)
    • 引き回し網
    • 引き寄せ網
  • 地引き網
  • 巻き網
  • 吾智網
  • 刺し網
  • 敷網 - 棒受け網、四つ手網など
  • 定置網
  • すくい網

釣漁業

一般には釣り具を用いる漁法であるが、釣り竿を用いない釣り漁や、延縄漁もこれに含まれる。主な釣漁業には以下のようなものがある。詳細は釣り漁を参照。

  • 延縄(はえなわ) - まぐろ延縄、さけ・ます延縄など
  • 手釣り漁
  • 竿釣り漁 - 遠洋かつお一本釣など
  • 機械釣り漁 - 遠洋いか釣など
  • 曳縄釣り漁
  • 立縄釣り漁

刺突漁

徒行や船上から突具・鉤具を用いて、移動する魚類などを直接刺突する漁法である。見突き漁や突きん棒漁と呼ばれる岸辺や船上から目視して刺突する方法や[2]、潜水して移動中の魚を「追突」(おいづき)する例などがある。以下のような刺突具がある。

モリ(
モリはクジラや海洋の大型魚の刺突に用いられた遊撃刺突具。
ヤス(簎・矠)
長い柄の先端に、数本の尖った鉄製の突き刺し具が付けられている。
カギ(
長い柄の先端に、先端が曲がった鉤状の金属が付けられている。
むつかけ
有明海干潟に生息するムツゴロウを捕獲する漁法。

陥穽漁法

タコの習性を利用した蛸壺

陥穽漁法とは、魚類の習性(遡上や降下性)を利用する、餌で誘導する、水流を利用するなど、さまざまな工夫によって魚を誘い込み、何らかのしかけ・によって魚を逃げられないようにする漁法である。以下のようなしかけ、漁具がある。

潜水漁法(潜水器漁業)

素潜りまたは潜水器具を着用して、素手または刺突具など道具を用いて水生動物を捕獲する。

その他

  • 拘引漁業 - ウナギなどの目的物を引っかける拘引具を用いる漁業。
  • 掻剥漁業 - 水底を掻き回し貝・イワムシ類などの目的物を取る掻剥具を用いる漁業。
  • 挟捩漁業 - 貝・海藻類などの目的物をはさみ取る、絡ませて取る漁業。
  • 石打漁 - 水中の石を別の石やハンマーなどで打ち、その衝撃で魚を麻痺させ浮いてきたところを拾う原始的な漁法。日本では河川によっては禁止されている。
  • 動物漁法 - 飼い慣らした動物を使役する漁法。に魚を捕らせる鵜飼いカワウソで網に追い込むなど伝統漁法として残っている。

  1. ^ The State of World Fisheries and Aquaculture 2016国際連合食糧農業機関(国際連合食糧農業機関)pdfファイル。P.3
  2. ^ 【見突き漁】”. 日本財団. 2016年1月9日閲覧。
  3. ^ 一本釣り - マリン製品 - ヤマハ発動機
  4. ^ 金田 1995, pp. 140–147.
  5. ^ 亀井まさのり『あぁ、そういうことか!漁業のしくみ』恒星社厚生閣、2013年、ISBN 9784769912965 pp.57-58,114.





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