ヒッグス粒子とは? わかりやすく解説

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ヒッグス粒子

読み方:ヒッグスりゅうし
別名:ヒッグスボソン
英語:Higgs boson

物質質量与えていると考えられている未知素粒子素粒子物理学標準理論の中で、唯一まだ発見されていない。そのため「最後素粒子」などとも呼ばれる

現代物理学では、空間はヒッグス粒子で満たされていると仮定されている。あらゆる粒子は、ヒッグス粒子にぶつかって抵抗生じる。この抵抗、つまり動きにくさが質量となる。この「ヒッグス粒子に満たされた場」の仮定を「ヒッグス場」という。

光の粒子は、ヒッグス粒子の抵抗受けず、そのため光速で進むことができるとされる。そこで、あらゆる素粒子は、もしヒッグス粒子の抵抗を受けなければ光速で進むことができると考えられている。

ヒッグス粒子の存在1960年代にすでに予言されていたが、長らく現実観測確認されることがなかった。ヒッグス粒子が発見されれば、素粒子物理学基礎理論全て揃うことになるという。

2011年12月CERN欧州原子核研究機構)は、巨大粒子加速器LHC」での実験の結果、ヒッグス粒子の存在する兆候見つかった発表した2011年12月13日現在、正式な発表待たれている。

ヒッグス‐りゅうし〔‐リフシ〕【ヒッグス粒子】

読み方:ひっぐすりゅうし

Higgs particle素粒子質量与え役割を担う素粒子素粒子物理学標準模型、特にワインバーグサラム理論の中でその存在予言され長年にわたり探索続けられたが、2012年7月CERNLHC加速器未知の新粒子が見つかり、翌年ヒッグス粒子であると発表された。1964年素粒子質量獲得モデルヒッグス機構)を提唱した英国物理学者ヒッグスの名にちなむ。H粒子

[補説] ビッグバンによって宇宙ができた直後素粒子には質量がなく光速飛び交っていたが、宇宙膨張冷却する過程真空性質変化した。この変化真空相転移とよばれ、ヒッグス粒子が凝縮して真空満ちることで素粒子動きにくくなった。ヒッグス機構によると動きにくさの度合いは、素粒子質量大きさ表し、軽い素粒子ほど動きやすく、重い粒子ほど動きにくいとされるCERNLHC加速器設置されATLASCMSなどの検出器でヒッグス粒子の探索が行われ、2012年7月質量125〜126GeVの範囲にヒッグス粒子と思われる新し粒子発見。さらに2013年3月にはスカラー粒子スピンボース粒子)であることが確認され、新粒子はほぼ間違いなくヒッグス粒子であると発表された。同粒子存在提唱したヒッグスは、おなじく素粒子質量獲得する理論独立して発表したベルギーアングレールとともに2013年ノーベル物理学賞受賞


ヒッグス粒子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 03:58 UTC 版)

ヒッグス粒子(ヒッグスりゅうし、英語: Higgs boson (英語発音)/hɪgz ˈbəʊzɒn/ ヒッグス・ボソン)は素粒子の一種。


注釈

  1. ^ 場の量子論素粒子物理学)においては、粒子とはに生じる素励起と理解され、場が存在すれば対応する粒子も存在すると考える。
  2. ^ 仮に標準模型のヒッグス粒子が存在しなかったとしても、近似理論としての意味は否定されない。

出典

  1. ^ a b c d 『改訂 物理学事典』培風館、1992
  2. ^ a b “ATLAS experiment presents latest Higgs search status”. CERN. (2011年12月13日). オリジナルの2012年1月6日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120106070159/http://www.atlas.ch/news/2011/status-report-dec-2011.html 2011年12月13日閲覧。 
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  4. ^ a b “Detectors home in on Higgs boson”. Nature News. (2011年12月13日). http://www.nature.com/news/detectors-home-in-on-higgs-boson-1.9632 2011年12月13日閲覧。 
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  10. ^ a b “Higgs particle could be found by Christmas”. BBC. (2011年9月1日). http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-14731690 2011年9月2日閲覧。 
  11. ^ CMS Collaboration (31 July 2012), Observation of a new boson at a mass of 125 GeV with the CMS experiment at the LHC, http://arxiv.org/pdf/1207.7235 2012年8月15日閲覧。 
  12. ^ ATLAS Collaboration (31 July 2012), Observation of a new particle in the search for the Standard Model Higgs boson with the ATLAS detector at the LHC, http://arxiv.org/abs/1207.7214 2012年8月15日閲覧。 
  13. ^ 長年探索してきたヒッグスボソンとみられる粒子を CERN の実験で観測 LHC アトラス実験
  14. ^ “Latest update in the search for the Higgs boson”. CERN. (2012年7月4日). http://indico.cern.ch/conferenceDisplay.py?confId=197461 2012年7月4日閲覧。 
  15. ^ 「ヒッグス粒子 量産工場/日本難航 横目に中国で計画/宇宙解明 けん引役に」日経産業新聞』2019年4月9日(16面)2019年4月11日閲覧。
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  17. ^ “Anything but the God particle”. The Guardian. (2009年). http://www.guardian.co.uk/science/blog/2009/may/29/why-call-it-the-god-particle-higgs-boson-cern-lhc 
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  19. ^ Ian Sample (2009年3月3日). “Father of the God particle: Portrait of Peter Higgs unveiled”. London: The Guardian. http://www.guardian.co.uk/science/blog/2009/mar/02/god-particle-peter-higgs-portrait-lhc 2009年6月24日閲覧。 
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ヒッグス粒子

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標準模型」の記事における「ヒッグス粒子」の解説

標準模型では、ヒッグス機構により電弱対称性自発的に破れる。一般に場の揺らぎ粒子として解釈されるが、ヒッグス場4つある揺らぎ自由度のうち3つは、WボソンとZボソン質量を持つことに伴い、その縦波成分として吸収される残りの1自由度は、スピン0のスカラー粒子であるヒッグス粒子としてあらわれる。2012年7月ジュネーブ郊外欧州原子核研究機構 (CERN) で行われているLHC実験により新粒子発見発表された。この新粒子性質はヒッグス粒子と良く一致しており、その後スピン-パリティ観測崩壊後粒子信号強度検証により標準模型におけるヒッグス粒子、およびこれを内包する理論によるヒッグス粒子であることが認定された。

※この「ヒッグス粒子」の解説は、「標準模型」の解説の一部です。
「ヒッグス粒子」を含む「標準模型」の記事については、「標準模型」の概要を参照ください。

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