NPO法人等による無料低額宿泊所の支援費徴収、囲い込み、それらの疑い
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「貧困ビジネス」の記事における「NPO法人等による無料低額宿泊所の支援費徴収、囲い込み、それらの疑い」の解説
無料低額宿泊所による貧困ビジネスはNPO法人に限られたものではない。2016年10月21日から厚生労働省社会・援護局保護課主催で開催された「第1回 生活保護受給者の宿泊施設及び生活支援の在り方に関する意見交換会」では、同「厚生労働省ホームページ」において既に公開されている通りその「議事次第」における「現状認識と課題」において、厚生労働省社会・援護局保護課が平成27年6月末時点で実施した「無料低額宿泊事業を行う施設に関する調査について(平成27年調査) 」と題した調査資料が公開掲載されている。なお当該資料「無料低額宿泊事業を行う施設に関する調査について(平成27年調査)」の2ページ目【基本事項】「一番上」にまず「無料低額宿泊所」の「運営主体割合」を公開しており「NPO法人」は76.9%となっている。よって社会福祉法第2条第3項第8号に基づく無料低額宿泊所に関し、利用者から受領するサービス利用料金などに見合う「良質」もしくは「劣悪ないわゆる貧困ビジネス」のような無料低額宿泊所を十把一絡げに「悪質と断定することはできない」為、厚生労働省として「法的拘束力のないガイドライン」だけでは不足して点ことも今後の検討課題として残った。詳しくは厚生労働省社会・援護局ホームページを出典として参照されたい。 なお、「無料低額宿泊事業を行う施設に関する調査について(平成27年調査)」では「9ページ」に「【参考】 ○自治体別施設数、入所者数」と題し、全国の無料低額宿泊所の施設数が公開掲載されている。最も「施設数」「入所者数」の多い自治体は「東京都」であり群を抜いている。施設数は「161か所」、入所者数は「4,069人」との調査結果が公開されている。 その後、2018年11月5日から開催された厚生労働省社会・援護局局長主催「第1回 社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」(委員:学識者・無料低額宿泊所事業者・救護施設会長、同省保護課:庶務担当)が開催され、2018年12月17日「第2回 社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」が開催され無料低額宿泊所の運営等に関する「最低基準」を検討するにあたり「社会福祉住居施設の居住面積等について等」が盛り込まれ、あわせて貧困ビジネス対策として「簡易個室」などについて同検討会で議論となった。また「第5回 社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」では「厚生労働省社会・援護局側の案」として2020年5月14日現在でも公開掲載されている通り、その検討会資料として「多人数居室」「相部屋」「簡易個室」に対する今後の対応「案」が厚生労働省社会・援護局保護課から「 (資料1)無料低額宿泊事業の最低基準の考え方」の「4ページ」に示された。「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」の結果、厚生労働省は「多人数居室」「相部屋」「簡易個室」などについても、その後の各都道府県・政令指定都市・中核市が平成30年度末までに可決すべき「各自治体条例によって3年以内に解消する」ことを盛り込んだ、「令和元年厚生労働省令第三十四号 無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準」を発布した。 「無料低額宿泊所」運営者の一つである当時は任意団体であった「FIS」は、2002年の設立から2007年までに東京都、埼玉、千葉、神奈川、愛知県内で22の施設を運営していた。入所者が毎月受給する約12万円の生活保護費から「約9万円の利用料」を受領していた。2006年に約10億円、2007年には約20億円を売り上げたものの経営陣が数億円の所得隠しを行ったとして、名古屋国税局から所得税法違反容疑で告発され、2010年に有罪判決を受けている。なお、同団体はその後NPO法人となり、名称も2016年07月19日「ライズケア」となり、現在も無料低額宿泊所の運営を関東近郊で大規模に展開している。なお同団体代表者は「同一」である。さらに2017年には、千葉県船橋市にある「FIS船橋寮」(定員138人)を船橋市が立ち入り調査したところ「6畳間を板で約3畳に仕切ったプライバシーのない居室」であったことが報道された。また2012年には、行政処分を予告された際衆院議員秘書を同席させ同市担当者を「なめるな」などと恫喝し行政処分を回避しようとしていた。 中でも無料低額宿泊所業界において最大手の1つでもある、「NPO法人エス・エス・エス(SSS)」(菱田貴大理事長)は、無料低額宿泊所を「首都圏に122施設」「定員数4,839人(平成30年10月末時点)」を運営している。NPO法施行直後から、NPO法人格を取得し19年間(令和2年現在)で関東近郊を中心に大規模展開を行ってきた。平成30年10月末時点の「年間」事業収入は「約51.7億円」であり「収支」は4300万円の黒字を確保しているとして、平成31年3月1日、東洋経済オンラインによって「生活困窮者を囲い込む「大規模無低」のカラクリ」と題した報道がなされた。同記事では、1施設に数十人から百人を超える大規模な無料低額宿泊所における収入構造や「簡易個室」などの実態も明らかとなった。詳細はhttps://toyokeizai.net/articles/-/268225 参照。また「簡易個室」を運営するこの団体について「行政から96%も斡旋を受けていた(衆議院インターネットビデオライブラリ 7時間53分30秒時点から)」として、平成31年2月27日衆議院予算委員会第五分科会において、初鹿明博衆議院議員によって国会で質問がなされた(衆議院インターネットビデオライブラリ 7時間47分16秒、7時間48分54秒、7時間54分4秒 各時点から)。また平成31年2月27日衆議院予算員会第五分科会では(衆議院インターネットビデオライブラリ 7時間49分9秒時点から)初鹿明博衆議院議員より「日本で一番、この無料低額宿泊所の施設数・入所者数を沢山持っている団体の公表しているデータを出しておりますが、公表資料を出しておりますが」と簡易個室の問題を指摘していた。 平成24年度に埼玉県さいたま市で、設立者であり当時代表理事であったNPO法人ほっとポット藤田孝典(社会福祉士)が、社会福祉士及び介護福祉士法第2条「社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第四十七条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第七条及び第四十七条の二において「相談援助」という。)を業」とし、1人あたりの支援料として42,000円のサービス料を受領契約する事業を行っていた。この事業について、さいたま市議会議員である吉田一郎さいたま市議会議員は、「弁護士法および行政書士法違反の疑いがある」と指摘した。また吉田一郎さいたま市議会議員は、同団体への「埼玉県」からの「補助金」を「不当」とし「埼玉県監査委員会」へ「補助金返還を求める住民監査請求」を起こした。NPO法人等が運営する無料低額宿泊所では「1施設あたりの入所定員数」・「料金にみあった提供サービス内容・質」・「他NPO法人による無料低額宿泊所月額利用料」を踏まえその悪質性などが論じられるものの、吉田一郎さいたま市議会議員以外からも貧困ビジネスについて質問された経緯があった。当時、片山さつきによって、吉田一郎さいたま市議会議員による質問等を踏まえ、同団体が貧困ビジネスの「疑いが強い」と参議院総務委員会で質問した。また同団体への「埼玉県からの補助金」に関し平成24年6月5日、吉田一郎さいたま市議会議員を含む請求人「2人」による住民監査請求がなされたが請求人「2人」からの住民監査請求に対する「埼玉県監査委員の監査結果」は、食材費を消耗品とし交付要綱の「算定の基準」欄外の規定対象としているが、その判断に明確な裁量権逸脱があるとは認められず、人件費についても実績報告書にある者はボランティアではなく職員であり提出された事実証明書による食事会の目的やタイムスケジュール等からこの事業内容は会食を含む訓練、交流、相談であることからこれを「物資提供を主目的とする事業」と明確に断定することはできないことから請求人の主張には理由がないとして、平成24年7月31日付で「棄却」が告示された。 福岡市においては、アルコール依存症患者などを支援する施設において、通所者に支払われるべき生活保護費のうちの大半について、施設を運営するNPO法人が徴収し、通所者に保護費がわずかしか渡っていない実態が明らかになっている。
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