EU指令とフランス国内法改正とは? わかりやすく解説

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EU指令とフランス国内法改正

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 07:42 UTC 版)

著作権法 (フランス)」の記事における「EU指令とフランス国内法改正」の解説

著作権法 (欧州連合)」も参照 フランス欧州連合 (EU) 加盟国として、EU各種著作権指令に基づき必要に応じて国内法化行っている。EU指令国内法化とは、既存国内法ではEU指令求め結果水準満たせない場合国内法改正あるいは新たに立法する手続指し、既に国内法満たしている場合は、特に国内法化発生しないEU指令発効してから、各国国内法化完了させるまでの導入期限は、指令ごとに個別設定されている。以下、代表的なEU著作権指令 (左) とフランス国内法化 (右) を対比してまとめる。 1993年欧州連合域内における著作権保護期間の調和に関する指令 (93/98/EEC指令) -- 1997年3月27日法を成立させて、フランスですべての著作物著作財産権保護期間70年延伸させた。音楽著作物のみは、1985年7月3日法ですでに70年延伸していたが、1997年3月27日法によって音楽以外70年合わせている。なお、93/98/EEC指令その後2006/116/EC指令により改廃され、さらに2011/77/EU指令改正されている。2011/77/EU指令に伴いフランスでは2015年国内法化改正行っているが、国内法化期限である2013年1月11日から2年以上遅延したことになる。 2000年電子商取引指令英語版) (2000/31/EC指令) -- インターネット・サービス提供したISPなどに対して侵害コンテンツ削除するよう求めデジタル経済法フランス語版) (通称: LCEN、法令番号: 2004-575)が2004年6月21日成立している。またデジタル経済法以外にデクレ (政令) 1本とオルドナンス(英語版フランス語版) (大統領による委任立法) 1本が発せられている。電子商取引指令EU加盟各国国内法化期限日が個別設定されており、フランス2002年1月17日であったことから、2年以上遅延した2001年情報社会指令 (2001/29/EC指令) -- WIPO著作権条約具現化するために成立したEU著作権指令根幹を成す指令である。フランスでは2006年8月1日法、通称: DADVSI(フランス語版英語版)で情報社会指令国内法化し、さらに2009年制定のHADOPI法で強化補完した。詳細後述する。 2001年再販指令英語版)(2001/84/EC指令追求権指令とも) -- フランス世界で初め追及権認めた国であり、追及権指令が出る前に基礎的な法制度は整っていた。2006年8月1日法により、部分的に改正している。 2004年知的財産権執行に関する指令英語版) (2004/48/EC指令) -- 当指令受けてフランスで著作権侵害救済に関して国内法化行っている。2007年10月29日法 (法令番号: 2007-1544) および2008年6月27日法 (法令番号: 2008-624) により、民事訴訟手続上、著作権侵害者の個人情報を得ることを合法化したほか、金銭賠償関しフランス著作権法改正されている。当指令国内法化期限2006年4月29日設定されており、1年以上遅延した2014年著作権集中管理指令 (2014/26/EU指令) -- フランス世界初著作権管理団体発祥の地であり、既に2000年から著作権管理団体統制するために監督委員会設けられていた。2014年EU指令を受け、監督委員会の役割拡大させる法改正2016年7月7日成立させている。 2019年DSM著作権指令 (2019/790/EU指令) -- DSM著作権指令2001年情報社会指令以来大型改革である。2019年6月7日発効しフランスを含む各国2年後2021年6月7日までに国内法化完了させる義務負っている。 情報社会指令国内法化遅延 インターネット介した著作物流通における技術的保護 (いわゆるデジタル著作権管理DRM) を定めた情報社会指令 (2001/29/EC指令) は、フランス国内でも著作権法改正複数発生している。2006年制定のDADVSIでは、個人による違法ファイル共有初め刑事罰として規定した。しかしDADVSIが成立する過程紛糾し法案修正削除繰り返され結果国内法化期限である2002年12月から3年半以上も遅延したその結果2004年2月欧州委員会フランス欧州司法裁判所提訴し2005年1月フランスへ制裁金科す判決下っている。なお、情報社会指令国内法化苦戦したのはフランスだけではない。国内法化期限間に合ったのはギリシャデンマークの2か国のみであり、特に遅延著しかった国々 (ベルギースペインルクセンブルクオランダポルトガルフィンランドスウェーデン) はフランス同様に提訴されている。 国内法化フランスで大幅に遅れた要因複合的であるが、もともとフランス著作権限らずEU指令全般国内法化遅延比率他国よりも高いことが欧州委員会から指摘されている。その文化・政治背景として、自国決めていない指令導入することへの抵抗感政治的圧力団体によるロビイングによって立法過程複雑化していること、そして国会提出法案入念なチェック手続3点挙げられる。 DADVSIを巡っては、フランスで紛糾の種となったのが法案第1条盛り込まれていた「グローバル・ライセンス」(仏: licence globale) である。これはインターネットユーザが毎月一定額を著作権者支払うことで、音楽映画などデジタルファイル合法的にPeer-to-peer (P2P) で共有できるようにする制度であったフランス政府反対したものの、著作権管理団体消費者団体などからの強い支持背景に、中道左派社会党や、後の大統領務めたニコラ・サルコジ擁する保守系国民運動連合などが賛成回り2005年12月フランス国民議会 (下院) はグローバル・ライセンス条項を含む法案可決したしかしながら政府多数派党に法案反対働きかけ結果最終的にグローバル・ライセンスは廃案追い込まれている。対案として一般ユーザではなくISPに対して賦課金課す提案提出されるも、こちらも廃案となったまた、DADVSI法案第7条欧米メディアから「iPod法」と呼ばれて批判受けた。この条項では、楽曲ファイルダウンロードした一般ユーザ他社製再生機器使って鑑賞できるよう、アクセスコントロール技術互換性持たせることを義務化する内容であった。そのため、iTunes楽曲配信し、iPod楽曲再生するビジネスモデル展開していた米国アップル社などに打撃与えると懸念されていた。しかし、相応金銭的補償なしに楽曲配信事業者互換性義務を負わせてはならないとして、フランス司法機関である憲法評議会が当条項違憲性を指摘して大幅な修正至っている。 さらにDADVSIを補完する形で、違法ダウンロード対すインターネット・アクセス制限目的としたHADOPI法が2009年制定されている。しかしこれらの改正法内容巡って利害関係者世論の間で激し論争起こった。HADOPI 1法については、その一部憲法評議会にて違憲判示され、これに修正対応したHADOPI 2法が追加成立した経緯がある。

※この「EU指令とフランス国内法改正」の解説は、「著作権法 (フランス)」の解説の一部です。
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