登場する職人と画中詞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 05:42 UTC 版)
「七十一番職人歌合」の記事における「登場する職人と画中詞」の解説
画中詞前の一、二は発言の順番。 一番 番匠(ばんじやう)「我〻もけさは相国寺へ又召され候。暮れてぞかへり候はんずらむ。」 鍛冶(かぢ)「京極殿より打刀を御あつらへ候。大事に候かな。か々るべきと。」 二番 壁塗(かべぬり)「やれやれ、うばらよ 家にて鏝猶とりてこ 壁の大工まいりて候 下地とくして候はばや」 檜皮葺(ひはだぶき)「この棟がはらがをそき」 三番 研(とぎ)「さきがおもき 今小をさばや 主に問ひ申さん はばやさはいかに、手を切るぞ」 塗士(ぬし)「よげに候 木掻のうるしげに候 今すこし火どるべきか」 四番 紺掻(こうかき)「たゞ一しほ染めよとおほせらるゝ」 機織(はたおり)「あこ、やう 筟もてこよ」 五番 檜物師(ひものし)「湯桶にもこれはことに大なる なにのために、あつらへ給ふやらう」 車作(くるまづくり)「檳椰の輪とて、よくつくれとおほせ候」 六番 鍋売(なべうり)「播磨鍋かはしませ 釜もさふらうぞ ほしがる人あらば仰られよ 弦をもかけてさう」 酒作(さかづくり)「先酒召せかし はやりて候うすにごりも候」 七番 油売(あぶらうり)「きのうからいまだ山崎へもかへらぬ」 餅売(もちゐうり)「あたゝかなる餅まいれ」 八番 筆結(ふでゆひ)「兎の毛は、毛のうらおもて見えぬが大事にて候」 筵打(むしろうち)「てしま筵かうしまへ 御座も候ぞ」 九番 炭焼(すみやき)「けさ出でさいまうたか」 小原女(おはらめ)「あごぜは、まいりあひて候けるか」 十番 馬買はふ(うまかはふ) 皮買はふ(かわかはふ) 十一番 山人(やまびと)「ことしは秋より寒くなりたるは」 浦人(うらびと)「この縄、はや切るゝは たがうれ」 十二番 木伐(きこり) 草刈(くさかり)「伏見草とて、世にもてなさるゝみ秣よ」 十三番 烏帽子折(えぼしをり)「今時の御烏帽子は、ちとそりて候」 扇売(あふぎうり)「扇は候 みな一ぽん扇にて候」 十四番 帯売(おびうり)「此帯たちてのち見候はむ いそがしや」 白物売(しろいものうり)「百けも、なからけもいくらも召せ いかほどよき御しろいが候ぞ」 十五番 蛤売(はまぐりうり)「ひげのあるは、家の恥にてさうぞ ことのほかなるひげのなきかな」 魚売(いをうり)「魚は候 あたらしく候 召せかし」 十六番 弓作(ゆみつくり)「此弓は弦を嫌はんずるぞ にべおり、大事なるべき」 弦売(つるうり)「弦召し候へ ふせづるも候 せきづるも候」 十七番 挽入売(ひきれうり)「これは因幡合子にて候 召せ」 土器造(かわらけつくり)「赤土器は召すまじきか かへり足にて安く候ぞ」 十八番 饅頭売(まんぢううり)「けさは、いまだ商ひなき、うたてさよ」 法論味噌売(ほうろみそうり)「われらもけさ、奈良より来て、くるしや」 十九番 紙漉(かみすき)「さゝやかしが足らぬげな」 賽磨(さいすり)「さしちがへの賽も召し候へ 犬追物のいきめも候ぞ」 二十番 鎧細工(よろひざいく)「仕返しの物は、札頭がそろはで」 轆轤師(ろくろし)「木が足らで、いそぎのもの遅くなる いかゞせむ」 二十一番 草履作(ざうりつくり)「じやうりじやうり 板金剛召せ」 硫磺箒売(ゆわうははきうり)「ゆわうはゝきゆわうはゝき よき箒が候」 二十二番 傘張(かさはり)「荏の油が足らぬげな」 足駄作(あしだづくり)「目のゆがみたるから、心地あしや」 二十三番 翠簾屋(みすや)「新御所の御移徙ちかづきて、いそがはしさよ 近衛殿より御いそぎの翠簾にて」 唐紙師(からかみし)「糊がちと強ければ、きらゝを入れよ」 二十四番 一服一銭(いつぷくいつせん)「粉葉の御茶、召し候へ」 煎じ物売(せんじものうり)「おせんじ物おせんじ物」 二十五番 琵琶法師(びはほふし)「あまのたくもの夕煙、おのへの鹿の暁のこゑ」 女盲(をんなめくら)「宇多天皇に十一代の後胤、伊東が嫡子に河津の三郎とて」 二十六番 仏師(ぶつし)「阿弥陀の像、先蓮華座をつくり候 おりふし法師ばらたがひて、手づから仕候」 経師(きゃうじ)「この巻切り、いかにしたるにか 切り目のそろはぬよ」 二十七番 蒔絵士(まきゑし)「此御たらひは、沃懸地にせよと仰られ候 手間はよもいらじ」 貝磨(かひすり)「この太刀の鞘は、莫大の貝が入べき」 二十八番 絵師(ゑし)「墨絵は筆勢が大事にて候」 冠師(かぶりし)「別当殿の御拝賀に召さるべき御冠にて候 いそがしや」 二十九番 鞠括(まりくくり)「難波殿は大がたを御このみある」 沓造(くつつくり)「鞠沓は、はたかなるがわろきと」 三十番 立君(たちぎみ)「すは御らんぜよ けしからずや」 図子君(づしぎみ)「や、上臈いらせ給へ ゐ中人にて候 見しりまいらせて候ぞ いらせ給へ」 三十一番 銀細工(しろかねざいく)「南鐐のやうなるかねかな」 薄打(はくうち)「南鐐にて、打ちでわろき」 三十二番 針磨(はりすり)「こばりは針孔が大事に候」 念珠挽(ずずひき)「数とりと七へんの玉、むつかしきぞ」 三十三番 紅粉解(べにとき)「御べにとかせ給へ 堅べにも候は」 鏡磨(かがみとぎ)「白みの御鏡は、磨ぎにくゝ侍」 三十四番 医師(くすし)「殿下より続命湯、独活散を召され候間、たゞ今あはせ候」 陰陽師(おんやうじ)「われらも今日は、晦日御祓持参候べきにて候」 三十五番 米売(こめうり)「なを米は候 けさの市にはあひ候べく候」 豆売(まめうり)「われらが豆も、いまだ商ひをそく候ぞ」 三十六番 いたか(いたか)「流灌頂ながさせたまへ 卒塔婆と申すは大日如来の三摩耶形」 穢多(ゑた)「この皮は大まいかな」 三十七番 豆腐売(とうふうり)「豆腐召せ 奈良よりのぼりて候」 索麺売(さうめんうり)「これは太索麺にしたる」 三十八番 塩売(しほうり)「きのうふのく榑売のあたひまで、けうたまはる人もがな」 麹売(かうじうり)「上戸たち、御覧じて、よだれ流し給ふかな」 三十九番 玉磨(たますり)「是はちかごろの玉かな 火をも水をも取りつべし 念珠のつぶにはあたらもの哉」 硯士(すずりし)「石王寺は、白身かたくて切りにくき」 四十番 灯心売(とうじみうり) 葱売(ひともじうり) 四十一番 牙儈(すあひ)「御ようやさぶらふ」 蔵回(くらまはり)「御つかひ物御つかひ物」 四十二番 筏士(いかだし)「此ほどは水潮よくて、いくらの材木を下しつらむ」 櫛挽(くしひき)「先こればかり挽きて、のこぎりの目を切らむ」 四十三番 枕売(まくらうり)「今一のかたも持て候 ひそかに召し候へ」 畳刺(たたみさし)「九条殿に何事の御座あるやらむ 帖をおほく刺させらゝ」 四十四番 瓦焼(かはらやき)「南禅寺よりいそがれ申候」 笠縫(かさぬい)「世にかくれなき笠縫よ」 四十五番 鞘巻切(さやまききり)「当時はやらで、得分もなき細工かな」 鞍細工(くらざいく)「あら、骨おれや」 四十六番 暮露(ぼろ) 通事(つうじ) 四十七番 文者(ぶんじや)「六韜の末は、宗と武道にて候 御稽古も候へかし」 弓取(ゆみとり)「運は天にあり、命は義によりてかろし」 四十八番 白拍子(しろびやうし)「所所に引く水は、山田の井戸の苗代」 曲舞々(くせまいまい)「月にはつらき小倉山、その名はかくれざりけり」 四十九番 放下(はうか)「うつゝなのまよひや」 鉢扣(はちたたき)「昨日みし人今日問へば」 五十番 田楽(でんがく) 猿楽(さるがく)「総角や、とんとう、尋ばかりや、とんとう」 五十一番 縫物師(ぬひものし) 組師(くみし)「啄木は、この此召す人もなき、うたてさよ」 五十二番 摺師(すりし)「梅の花ばかり摺るほどに、やすき」 畳紙売(たたうがみうり)「御畳紙召せ 色もよくいできて候ぞとよ」 五十三番 葛籠造(つづらつくり)「茶葛籠も候 買はせ給へ」 皮籠造(かはごつくり)「この皮籠は人のあつらへ物にて候」 五十四番 矢細工(やざいく)「これは知久箆とて、あつらへられて候」 箙細工(えびらざいく)「逆頬がなくて、柳箙にする」 五十五番 蟇目刳(ひきめくり)「一尺にあまる御蟇目は、刳りにくゝて道がゆかぬ」 行縢造(むかばきづくり)「あはれ、御行縢や、手色もよし」 五十六番 金堀(こがねほり) 汞堀(みづかねほり) 五十七番 包丁師(はうちやうし) 調菜(てうさい)「砂糖饅頭、菜饅頭、いづれもよく蒸して候」 五十八番 白布売(しろぬのうり)「白布めせ、なう 端張も、尺もよく候ぞ」 直垂売(ひたたれうり) 五十九番 苧売(をうり)「ちかきほどに、又苧舟とをり候べく候 いかほども召し候へ」 綿売(わたうり)「綿めせ綿めせ しのぶ綿候ぞ」 六十番 薫物売(たきものうり)「随分此香ども、選り整へたれば、この夕暮のしめりにおもしろき」 薬売(くすりうり)「御薬なにか御用候 人参、甘草、桂心候 沈も候」 六十一番 山伏(やまぶし)「是は出羽の羽黒山の客僧にて候 三のお山に参詣申候」 持者(ぢしや)「あら、おんかなおんかな 二所三島も御覧ぜよ」 六十二番 禰宜(ねぎ)「高天の原に神とゞまりましまして」 巫(かんなぎ)「榊葉やたちまふ袖の追いひ風に」 六十三番 競馬組(けいばぐみ)「むかしは、上さまにももてなされし事の、今はこの氏人のみに残りて」 相撲取(すまふとり)「道の思ひ出に、相撲の節に召さればや」 六十四番 禅宗(ぜんしゆう)二「文字の上にをきては御不審たつべからず 若如何とならば、口を開かずして問ひきたれ」 律家(りつけ)一「教外別伝と申候ば、などや祖師とは仰候ぞ」 六十五番 念仏宗(ねんぶつしゆう)「即便往生もたうとく、往生も只一たび南無ととなふれば、極楽に生 なにの疑ひかあらん 南無阿弥陀仏〻〻」 法花宗(ほつけしゆう)「末法万年、余経悉滅の時、此妙法花と申そうろうは、我等が祖師日蓮上人の御時、くれぐれと説かれ候ときは」 六十六番 連歌師(れんがし)「いまだこの折には、花が候はず候」 早歌謡(さうかうたひ)「かたみに残る撫子の」 六十七番 比丘尼(びくに)二「仏弟子は、大かた皆さこそ候へども、御尼衆も譏嫌戒といふ事は候めるは 我らはつとめ行法はおなじ事にて候 坐禅工夫は、同じ御ことにてはよも候はじな それはよも教外別伝にては候はじ」 尼衆(にしう)一「御比丘尼も、戒門は守らせ給ふなれども、などか飲酒をば御破り候ぞ 我らも観念と申すは、さにてこそ候へ」 六十八番 山法師(やまほふし)「わがたつの杣の月に及ぶべき所こそおぼえね」 奈良法師(ならほふし)「もろこしの月よりも見所あればこそ、春日なる三笠の山とはよみつらめ」 六十九番 華厳宗(けごんしゆう)「御影供の御茶ののこりにて候」 倶舎衆(くしやじう)「北斗の御祈はじめ候間、ひまなく候て」 七十番 楽人(がくにん) 舞人(まひびと) 七十一番 酢造(すつくり)「あ、すし、きかき哉」 心太売(こころぶとうり)「心太めせ 鍮石も入て候」
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