湘君とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 文化 > 伝承 > 女神 > 湘君の意味・解説 

しょう‐くん〔シヤウ‐〕【湘君】

読み方:しょうくん

中国湘江伝説上の女神。尭(ぎょう)帝の二人の娘で、姉を娥皇・妹を女英といい、共に舜の妃となったが、舜が没すると、悲しんで湘江身を投げて水神となったという。


湘君

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/16 08:10 UTC 版)

湘君(張渥九歌図)

湘君(しょうくん)は、中国地の水神で、『楚辞』九歌の祭神の一柱。湘江の主神として湘夫人と対を成す存在であり、古代楚文化における河川崇拝と貴族祭祀が融合した神格である。その解釈をめぐっては歴史的に「舜帝説」「湘水男神説」「河伯混同説」など諸説が存在する。

典拠文献

  • 『楚辞』九歌「湘君」篇:「君不行兮夷猶」で始まる祭祀詩。巫が神を迎える形で湘君の渡航情景を描写[1]
  • 後漢王逸『楚辞章句』:湘君を「湘水之神」と注釈[2]
  • 宋代洪興祖『楚辞補注』:湘君を舜帝、湘夫人を娥皇女英とする説を整理[3]

神格特性

  • 司掌領域:湘江水運・漁業豊穣・渡航安全
  • 表象物:桂舟(桂の木の船)、龍飾りの旗(「駕飛龍兮北征」)
  • 祭祀方法:玉璫を捧げる水中祭祀(「捐余玦兮江中」)
  • 地理的関連:洞庭湖周辺の祭祀遺跡(屈子祠等)

解釈史

古代 - 中世

  • 前漢司馬遷史記』秦始皇本紀:始皇が湘山祠で湘君を祭祀した記録[4]
  • 唐代司馬貞史記索隠』:湘君を舜の妃とする異説提示
  • 宋代朱熹『楚辞集注』:湘君を湘水男神、湘夫人を女神と明確区分[5]

近現代研究

  • 郭沫若『屈原研究』(1935):湘君を沅湘流域の部族長の神格化と解釈
  • 青木正児『九歌の研究』(1943):水神信仰と巫覡文化の融合を指摘
  • 藤野岩友『巫系文学論』(1951):祭祀詩としての構造分析

文化的影響

  • 絵画:文徴明『湘君湘夫人図』(1517年)など多数の書画題材
  • 詩歌:李白「遠別離」で帝舜伝説と結び付けられる
  • 現代:湖南省岳陽市の湘君文化祭(2006年 - )

脚注

  1. ^ 屈原 (前3世紀). “九歌・湘君”. 楚辞 
  2. ^ 王逸 (2世紀). 楚辞章句 
  3. ^ 洪興祖 (12世紀). 楚辞補注 
  4. ^ 司馬遷 (前1世紀). “秦始皇本紀”. 史記 
  5. ^ 朱熹 (1195). 楚辞集注 

参考文献

  • 赤塚忠「九歌祭祀儀礼考」『二松学舎大学論集』1969年。 [要文献特定詳細情報]
  • 窪徳忠『中国の神々』平河出版社、1986年。 [要文献特定詳細情報]
  • 竹治貞夫『楚辞訳注』筑摩書房、1973年。 [要文献特定詳細情報]

関連項目




湘君と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「湘君」の関連用語

湘君のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



湘君のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの湘君 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS