捜神記とは? わかりやすく解説

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そうじんき〔サウジンキ〕【捜神記】

読み方:そうじんき

中国六朝時代志怪小説集。20巻本と8巻本が伝わる。東晋干宝(かんぽう)の編。神仙鬼神妖怪死者再生動物報恩復仇などの伝説怪談収める


そうしんき 【捜神記】

中国東晋史家干宝作の怪奇小説集。二〇巻(もと三〇巻)。神仏霊異現象実在証明する目的集めたという。古代神話や民間説話宝庫でもある。

捜神記〈句道興撰/〉

主名称: 捜神記〈句道興撰/〉
指定番号 1930
枝番 00
指定年月日 1959.06.27(昭和34.06.27)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数 1巻
時代区分
年代
検索年代
解説文: 時代作品
重要文化財のほかの用語一覧
書跡・典籍:  拾遺和歌集  拾遺和歌集  持心経巻第四  捜神記  摧邪輪  摩訶般若波羅蜜経  撃蒙抄

捜神記(六朝)

作者岡本綺堂

収載図書中国怪奇小説集 上
出版社フロンティアニセン
刊行年月2005.3
シリーズ名第2刷 (フロンティア文庫)


捜神記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/20 04:56 UTC 版)

捜神記』(そうじんき、繁体字: 搜神記; 簡体字: 搜神记; 拼音: Sōushénjì)は、4世紀に東晋干宝が著した志怪小説集。

志怪小説とあるように猿や鳥などの動物、仙人や神様を使って中国の話言葉を本にした短編小説である。成立時期は後漢滅亡(220年)後であり政治的には混乱期だが、儒教一辺倒から道家・仏教も入って文化的に多様化した。そして「怪異」も多く語られ、記録された。『隋書』「経籍志」などによると、もとは30巻あったといわれるが散逸し現存する20巻本は、後の人が蒐集、再編して万暦年間に『干宝撰捜神記』と題して刊行したもの。著者の干宝が、亡くなった時に収録したものと、著者が生きている時に感じたこと、みたものを本に書いた。本書を著述するようになった機縁は、干宝の父の婢が埋葬ののち10数年後に蘇ったことに感じ入って、本書を著すようになった[1] とされている。

作者

干宝(かん ぽう、? - 336年)は、東晋政治家文人令升本貫汝南郡新蔡県。『晋書』に伝がある[2]

制作の背景

劉淵劉聡による永嘉の乱(311年)以降、司馬帝室の生き残りが一部の北方貴族と共に南方に避難し、317年に建康にて東晋を建国した。しかし、中国の都は東晋以前ならば、ほぼ全てが長江の北側、すなわち北方にあったのに対して建康は洛陽という政治中心地から周縁化されていたはるか南方の地であった。東晋が建国された当時、南方の地には時代から既にそれぞれ勢力を築いていた江南の名門士族らが長く据わっていた。北方士人の移入は元来経済的・政治的利益のバランスが取れていた双方の集団に衝撃をもたらした。南渡以降に、司馬氏は政局を安定させるために江南士人を抜擢する政策を用いた。登用された士人の一人が干宝である。ところが、政治上層部に抜擢されることは同時に北方からきた貴族が盤踞する世界の内部に侵入することをも意味した。干宝が王導の司徒府にいた時期には、彼の同僚として劉惔がいた。劉惔は嘗て『捜神記』を編纂した干宝を「鬼の世界の董狐(春秋時代の有名な史官)」だと揶揄したことがある。

干宝は陰陽術に関心があり、京房夏侯勝らの著作を調べたりした。干宝の父が生前に寵愛した侍女がいたが、父の死後、母が嫉妬してその侍女を生きたまま父の墓に閉じ込めてしまったことがあったという。10年ほど後に母が死去し、干宝が父の墓を開いてみたところ、その侍女はまるで生きているかのような姿で棺に身を横たえており、数日後には息を吹き返した。話を聞くと、死んでいる父が侍女のために食料を持ってきて、生前のときのように寵愛してくれたという。それからというもの、その侍女は吉凶を言い当てる能力を備え、やがて嫁いで子を生した。また、干宝の兄が病気になってそのまま絶命したが、いつまでたっても体が冷たくならず、後に目覚めて、天地の間の鬼の様子を覗いており、自分が死んでいるという自覚はなかったと語った。こうした身内が体験した奇怪な出来事をきっかけに、世間に伝わる不思議な人物や事件の記録を集めて志怪小説集『捜神記』(全30巻)を撰した[3] とされている。

諸本

二十巻本捜神記

現行20巻本は、神仙方士・徴応・感応再生魑魅妖怪・動植物の怪異などに関係する470余の説話を、説話の型で巻ごとに分類して収録している。中には後世の作も混入しており、仏教的な説話も含まれている。後の書にも『捜神記』からの引用とする説話が多くあり、『太平広記』では80数条が収録されている。捜神記には前述した二十巻本捜神記のほかに八巻本捜神記や一巻本捜神記も存在する[4]

八巻本捜神記(稗海本)

全部で40条から構成されているが二十巻本と内容が一致するものは内11条。20巻本が文章が簡潔にまとまっているのに対して著しく冗長かつ文中の人名も異なっている。例を挙げれば「北斗星と南斗星」において若死にする男の名は二十巻本では顔超だが八巻本では趙顔となっている[5]

一巻本捜神記(敦煌本)

の句道興とされる。清末に西埵敦煌千仏寺の宝庫から発掘された。全部で23条で構成される。内八巻本と共通するものは13条、二十巻本と共通するものは8条。文章に多少の違いはあるものの八巻本と構成が類似している。また二十巻本には掲載されていないものの八巻本にあるものが一巻本には7条存在する[6][7]

漢書五行志との違い

『捜神記[8]』は神様や仙人、主に動物や鬼といった人物や植動物がどうやって出現するのかということに対し、『漢書五行志[9]』は、木・火・土・金・水の五行の混乱によって天変地異がおこり,人間に譴告が与えられる。中国古代の五行的世界像を縦横に解釈した自然の現象での出来事を記載したものである。

志怪小説類の翻訳・翻案・紹介

脚注

  1. ^ 『捜神記 10』平凡社、1964年、4頁。ISBN 978-4582763225 
  2. ^ 中国古典文学大系 2. 平凡社. p. 6date=1971年4月1日 
  3. ^ 多賀浪砂『干宝『捜神記』の研究』近代文芸社、1994年5月、1-2頁。ISBN 4-7733-2556-9NCID BN11217815 
  4. ^ 竹田晃 (1961). “二十巻本捜神記に関する一考察―主として太平広記との関係について”. 中国文学の会 2: 5-7. 
  5. ^ 捜神記 八巻本 訳注. 養徳社. (1959). pp. 8-9 
  6. ^ 中国怪奇小説. 旺文社. (1978-03-20) 
  7. ^ 敦煌小説合集 精装. 浙江文藝出版社. (2010-02). p. 538 
  8. ^ 中国奇想小説集. 平凡社. (2018-11-07). pp. 4-6 
  9. ^ 漢書五行志. 平凡社. (1986-09-01). p. 8 
  10. ^ 張六郎 (2018年11月21日). “千年狐 一 ~干宝「捜神記」より~”. KADOKAWA. 2020年1月3日閲覧。

関連項目

外部リンク


捜神記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 05:28 UTC 版)

かまど神」の記事における「捜神記」の解説

志怪小説である「捜神記」の中にも竃神登場する。「陰子方」という人物のもとに竃神出現したという話が述べられている。

※この「捜神記」の解説は、「かまど神」の解説の一部です。
「捜神記」を含む「かまど神」の記事については、「かまど神」の概要を参照ください。

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