日本における歴史書『三国志』の受容とは? わかりやすく解説

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日本における歴史書『三国志』の受容

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 15:21 UTC 版)

三国志」の記事における「日本における歴史書『三国志』の受容」の解説

『三国志』伝来時期正確に判明してないようである。 養老4年720年)に成立した『日本書紀』神功皇后紀には、自注として『魏志東夷伝卑弥呼台与記述引用されている。天平宝字4年760年)に成立した藤氏家伝大織冠伝には、蘇我入鹿の政を「董卓暴慢既に國に行なはる」と批判する記述があり、すでに董卓奸臣としてのイメージ形成されていたことが窺われる天平宝字4年淳仁天皇舎人6人を大宰府遣わして吉備真備の下で「諸葛亮八陳」「孫子九地」といった陣法修得させている(『続日本紀』23)。 『続日本紀』30神護景雲3年769年10月10日の条に称徳天皇が「府庫は但だ五経蓄えるのみ、未だ三史(『史記』・『漢書』『後漢書』)の正本有らず渉猟の人、其の道広からず伏して乞うらくは、列代諸史、各一本を給わりて管内伝習し、以て学業を興さん」という大宰府の請に応じて史記『漢書』『後漢書』下賜している。これらの史書日本国内普及する過程を示す一例である。 藤原佐世撰述した平安初期漢籍目録日本国見在書目録』には当時日本存在した後漢時代史料として東観漢記『後漢書』『三国志』後漢紀』『帝王世紀』を挙げるまた、平安末期藤原通憲信西)の『通憲入道蔵書目録』には「『魏呉蜀志二十帖」があり、藤原頼長読了した漢籍として「『三国志』帝紀十巻」を挙げている(『台記』巻3・康治2年1143年9月29日条)。 『太平記』20斉藤七郎入道々献占義貞夢事付孔明仲達事」(西源院本の事書)には、大蛇変身する夢を見た新田義貞吉夢であると喜ぶが、斉藤道献は密かに大蛇を「臥竜諸葛孔明奮闘無念死に重ね合わせ燈明寺畷での義貞の戦死予感するという描写がある。この物語曹操劉備存命中に五丈原の役が起こるなど、史実演義などと異同がある上孔明出廬場面潤色されており、日本アレンジされ一つ三国志物語とも言える中世以降五山学僧江戸漢学者は、主に朱子学に基づき三国志の人物論評した諸葛亮が「王佐の才」を有するか否かについて鵜飼石斎はこれを肯定し伊藤仁斎はこれを否定した林鵞峰以降江戸期漢詩題材としても三国志の人物好まれ、特に関羽諸葛亮至忠の烈臣として讃えられた。明治期土井晩翠新体詩星落秋風五丈原」(明治32年1899年)『天地有情所収)もこの伝統を踏まえたのである明治以降正史基づいた史伝で、内藤湖南諸葛武侯』(東華堂 1897年)、吉川幸次郎三国志実録』(筑摩書房 1962年)がある。陳舜臣秘本三国志』(文藝春秋 1974年中公文庫ほかで再刊)などの小説一部には正史の記述取り入れられている。また高度成長期ビジネス競争過熱の中で、競争生き抜く知恵企業リーダー像の見本として、『孫子』などともに正史『三国志』もしばしば引き合い出され正史『三国志』学べとしたビジネス書多数刊行された。しかし、吉川英治『三国志』大日本雄弁会講談社初版1948年六興出版 1956年)などの急速な普及で、三国志といえば『三国志演義』物語を指すのが通常であったそうした状況は、井波律子今鷹真小南一郎による完訳版『世界古典文学全集24 三国志』(全3巻筑摩書房 1977年 - 1989年改訂版 ちくま学芸文庫、全8巻1993年)の普及により一変した幅広い世代三国志愛好家正史読めるようになり、多く読者『三国志演義』による固定化されたイメージ疑問を持つようになった。これ以降正史基礎とした解説書多数出版され漫画ゲームなどにも正史を基にした作品現れるようになった。ただし、これらの作品はいずれ横山光輝『三国志』など従来演義ベース設定拠っている部分多く(特に人物の外見武具など)、純粋に正史基づいた作品というよりは、演義基づいた三国志ブームの中で人物設定出来事など一部事柄正史基づいて再構成したという意味合いが強い。

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