日本における歴史小説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 06:24 UTC 版)
第二次世界大戦以前は史実を踏まえて書かれた小説というものは少なく(ただし、舞台を過去に採った大衆小説や、史実を物語風に記述する史伝は盛んに執筆されていた)、また歴史を扱った文芸作品として江戸時代以来の講談の人気が強かったことも、歴史小説の勃興を遅らせる一因となった。その中でも島崎藤村の『夜明け前』は、歴史小説の白眉とされる。続いて、森鷗外も「歴史其儘」「歴史離れ」という2つの形態の歴史小説を執筆した。昭和期に吉川英治は多くの読者を獲得し、中でも「剣禅一如」の境地を求める主人公を描いた『宮本武蔵』は、戦争下において広く受け入れられ、大衆文学の転機となった。この他、子母澤寛は『父子鷹』『勝海舟』などを、寺島柾史は稗史物語の『日本海軍戰記 怒濤』 を発表した。 戦後、司馬遼太郎らによって歴史小説は大きく変化した。司馬は独自の視点から、『竜馬がゆく』『坂の上の雲』などの作品を発表、その後の歴史小説に大きな足跡を残すことになった。江戸川乱歩賞作家の陳舜臣は、中国史に題材を求めた『阿片戦争』などを書き、吉村昭は「記録小説」と呼ばれるジャンルを開拓した。女流作家として永井路子、杉本苑子、安西篤子らの活躍も目覚しかった。大物作家でも、吉川英治は『私本太平記』、海音寺潮五郎は『天と地と』などを発表した。中でも山岡荘八の『徳川家康』は、異例の長期新聞連載となり、空前の「家康ブーム」を巻き起こした。 近年、推理作家の黒岩重吾、SF作家の高橋克彦、ハードボイルド作家の北方謙三といった、他ジャンルからの作家の活躍も目立つ。 また、西洋史に題材を取った小説を多く発表している塩野七生、藤本ひとみ、佐藤賢一ら、外国歴史小説の書き手が@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}非常に多いのも日本の特徴で[要出典]、特に中国史に関しては陳舜臣、宮城谷昌光、塚本靑史、酒見賢一らによって大きな一分野を成している。
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