シューベルト:序曲 ト短調
バッハ:序曲 ト短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:序曲 ト短調 | Ouverture g-Moll BWV 822 | 出版年: 1904年 初版出版地/出版社: Peters |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 序曲 Overture | 3分30秒 | No Image |
2 | アリア Aria | 3分00秒 | No Image |
3 | ガヴォットとロンドー Gavotte en Rondeau | 1分00秒 | No Image |
4 | ブレー Bourree | 1分00秒 | No Image |
5 | メヌエット I Menuet I | 0分30秒 | No Image |
6 | メヌエット II Menuet II | 1分00秒 | No Image |
7 | メヌエット III Menuet III | 1分00秒 | No Image |
8 | ジーグ Gigue | 1分30秒 | No Image |
作品解説
旧バッハ全集には拾遺されず、新全集においても「他者作品の編曲」と注釈された作品。唯一の資料はバッハ存命中の1743年という日付を持つとはいえ、筆写者不明のものである。が、様式の上からはバッハの初期作品としての特徴をよく備えており、真作である可能性は高い。
最初の楽章はフランス式序曲、すなわち緩急緩の3つのセクションに分かれている。第1セクションは山形の動き、すなわち直線的で華麗な上行音型と付点による緩やかな下行が繰り返される。第2セクションは逆に谷型の軽快な動機をいくつも連ねてフーガ主題としている。最後の緩徐部分は10小節と短いが、第1セクションの直線上行の装飾を排除して落ち着きのある締めくくりとしている。
この楽章のおもしろさは、調の推移にある。中間のフーガ部分では、g-Mollから始まってB-Dur(第38小節)、F-Dur(第46小節)、d-Moll(第57小節)、Es-Dur(第68小節)を通り、ここからなんとフラット6つのGes-Dur(第76小節)へ進む。転調の勢いはなお収まらず、遂にはフラット7つのas-Moll(第84小節)に到達する。ただし、このあたりの調は長く保持されず、まもなくEs-Durへ戻り(第90小節)、やがてg-Moll(第104小節)へと回帰して安定する。これらの転調はV度圏を利用して推移するものである。フーガ部分は下行の摸続進行一辺倒で動機労作はやや退屈であるが、それだけに一層、こうした調の色合いの豊かさと変化が楽しめるだろう。
第2楽章は堂々たるアリア。装飾音がすべて書き出されている。前半はあくまで穏やかに進むが、反復記号の後で急に下属短調c-Mollへ転じる。ここから主調へ戻る際、第13小節第1拍のフェルマータ付き和音、および第14小節での偽終止は、このアリアの表出的な効果をさらに高めている。
第3楽章は〈ロンドによるガヴォット〉というタイトルを持つ。この曲の中で扱われるのは、第2小節第2拍までの山形の舞曲リズムによる動機と、いわゆる「溜息」動機による順次的な下行、および最初のクプレで登場した四分音符と八分休符を含む動機である。短く単純な形式のロンドだが、動機の転回をよくこなしている。
続くブレでは、ガヴォットの各動機が再び用いられる。溜息動機は反復記号以降にようやく現れるが、全体にこの2曲の関連は明確である。
3つのメヌエットのうち、最初の2曲は転回関係にある。つまり、メヌエットIで右手にあったものがメヌエットIIで左手に、また左にあったものは右へ移される。メヌエットIIIは対位法からは自由になるが、関連する動機が扱われている。メヌエットIIとIIIはメヌエットIをダ・カーポするよう指示があり、これを守るとロンドによるメヌエットが完成する。
終楽章はジーグで、フーガになっている。ただし主題はわずか半小節の差で模倣されるため、緊密なテクスチュアが生まれる。また、付点と同音反復を組み合わせた8分の6の主題は、鍵盤楽器で演奏するとではややしつこい印象を与えるが、おそらく落ち着きのあるテンポを選ぶことで解決されるだろう。なお、ジーグに付点リズムを用いるのはフランスの様式である。
序曲ト短調
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 15:51 UTC 版)
「ブルックナーの管弦楽曲・吹奏楽曲」の記事における「序曲ト短調」の解説
「序曲ト短調」WAB98はブルックナーの1863年の作品である。これも、オットー・キッツラーに管弦楽法を学んでいた時代の作品である。「行進曲」「管弦楽小品」に引き続いての管弦楽曲だが、この序曲は、厳格なソナタ形式によって作曲されている。 1862年末に着手、1863年1月4日に一旦完成され、直後1月23日に改訂されたとされる。この時期にキッツラーはワーグナーの歌劇『タンホイザー』のスコアを研究しており、ブルックナーもその研究を共にした。ワーグナーの影響がこの曲に反映されているとの指摘もある。 ブルックナー生前の演奏・出版はなされなかったようで、第1次全集編纂時にオーレルが編纂し、1921年に出版・初演された。ただし同じ年に、ヴェス校訂の譜面も出版されている(ウニヴェルザール出版社より)。さらに第2次全集としての版が1996年に出版された。この他、オイレンブルクから出版されているスコアもある。ほとんどの出版スコアには、コーダ部分の、改訂前の譜面を併記してある。 調性はト短調、再現部後半からコーダ部分でト長調に転調する。速度記号は、序奏部分はAdagioだが、ソナタ形式の主部の速度表記は、スコアによって異なる(第2次全集版ではAllegro non troppoだが、オイレンブルク版ではAllegro moderato。いずれも括弧付き)。短い序奏、ソナタ形式の主部、コーダからなる。特にホルンの使い方において、その後の交響曲を予感させる部分が多いと指摘される。 ブルックナーの習作期の作品としては一定の演奏頻度がある。古くはシャピラ、マタチッチといった指揮者による録音が存在した。新しい録音では、リッカルド・シャイー指揮の演奏がCD化されている。日本においても、朝比奈隆が複数回演奏会で取り上げた他、アマチュア・オーケストラが演奏会で取り上げることもある。堤俊作指揮ロイヤルメトロポリタン管弦楽団は、改訂前の譜面を用いての演奏を行ったことがある(後述のサイトにてそのライブ録音を試聴できる。ただしサイトにおいては「1862年版」と説明されている)。
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「序曲 ト短調」の例文・使い方・用例・文例
- その国境紛争は戦争への序曲であった.
- その事件は第一次世界対戦の序曲だった.
- 11月12日,ニューヨークのマンハッタンでは,冷たい雨にもかかわらず,宮本亜(あ)門(もん)さん演出のミュージカル「太平洋序曲」のプレビューを見ようと,人々が長い列に並んで待った。
- 「太平洋序曲」は,1853年にマシュー・ペリー提督と彼の4隻の黒船が浦(うら)賀(が)へやって来た時に,日本が経験した混乱についてのものだ。
- 「太平洋序曲」の作詞・作曲者はスティーブン・ソンドハイムさんだ。
- 宮本さんは2000年に日本で「太平洋序曲」を初めて上演した。
- その交響曲はト短調である。
- ト短調の[で].
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