寛骨
【英】:Os coxae,Hip bone
骨盤の前および側壁をなす厚い板状の大きな骨で、中央部がくびれ、上方と下方に扇状に拡がった形をなし、全体の形は8の字に似ている。内面の後上方から前下方に走る隆起が腸骨弓状線で、この弓状線を境にして寛骨の上半部の前方が外側へ開くようにねじれた形をしている。中央部の外側面には杯よりやや大きい半球状の深い陥凹が寛骨臼である。寛骨臼の関節面は半月の形に似ているので月状面ともよばれ大腿骨頭を入れる関節窩で前下外側へ向く。寛骨臼縁は1平面上にはなく、下方で欠如する部分が寛骨臼切痕である。寛骨臼底部の円形の粗面が寛骨臼窩で、寛骨臼窩の外側の、丈夫が広い馬蹄形の平滑な関節面が月状面である。寛骨臼の前下方にある大きな卵形または三角形の空隙が閉鎖孔である。閉鎖孔の上縁を上方(内面)から下方(外面)へ走る溝が閉鎖溝である。恥骨の前閉鎖結節および坐骨の後閉鎖結節を結んだ線より下方の閉鎖孔は、生体では線維性の閉鎖膜によって閉鎖される。寛骨臼の上方で扇に拡がった部分が腸骨翼で、腸骨翼の上縁が腸骨稜である。寛骨は腸骨、坐骨、恥骨の三つの骨で構成される。若年者では軟骨結合により結合しているが、成人では骨結合により癒合している。寛骨臼の上部の板状に拡がった部分が腸骨、寛骨臼の下部(2/5強)および寛骨臼より下方と後方部が坐骨、寛骨臼の前部(1/5)および寛骨臼より前下方部が恥骨である。ラテン語のCoxa(臀)に由来する。やや古い英米の解剖学書では寛骨をinnominate bone(無名骨)と呼んでいる。この骨はA.C. CelsusがA.D.30年ころにos coxaeと命名しているにもかかわらず、Galenos(131-201 A.D.)は無責任にも「名なしの骨」と記載した。Vesalius (1514-1564)もこの呼び名を流用してos innominatumとしたのが、現在でも英語の中に生きているのである。
骨盤
(寬骨 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/24 13:20 UTC 版)
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骨: 骨盤 | |
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女性の骨盤
男性の骨盤
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名称 | |
日本語 | 骨盤 |
英語 | pelvis |
画像 | |
アナトモグラフィー | 三次元CG |
関連情報 | |
MeSH | Pelvis |
グレイ解剖学 | 書籍中の説明(英語) |
骨盤(こつばん、英語: pelvis)は、大腿骨と脊柱の間で体を支える、強固に一体化した一群の骨の解剖学的名称である。
構造

1. 仙骨 2. 腸骨 3. 坐骨 4. 恥骨 5. 恥骨結合 6. 寛骨臼 7. 閉鎖孔 8. 尾骨 赤線は骨盤縁(分界線)
骨盤は、左右1対の寛骨、仙骨、尾骨で構成される。これらの骨はいずれも成長とともに癒合するため個数が変わる。
- 寛骨 : 腸骨、坐骨、恥骨が17歳頃に一体化して1個の寛骨となる。
- 仙骨 : 5個の仙椎が癒合して1個の仙骨となる。
- 尾骨 : 3-6個の尾椎が部分的にあるいは全面的に癒合して尾骨となる。数は不定である(個々人で異なる)。
骨接続
臓器接続

骨盤で囲まれる空間(骨盤腔)には膀胱・子宮・直腸などがあり、それらを固定する後腹膜が腹腔の下端をカップ状に密閉していてダグラス窩と呼ばれる。腹腔内出血や腹水貯留時などには著明に液体貯留を来す部位であり、超音波エコー検査や穿刺の対象となる。
臨床的意義
性差
骨盤は法医学において、頭蓋骨と並んで最も男女差の著明な骨であるため、骨盤が残っていれば性別の鑑定が簡便である。
- 骨盤の中央の孔は男性では三角形に近く、女性では丸い。出産の際に胎児が通るためである。
骨髄移植
腸骨・坐骨の骨髄は、頭蓋骨のそれとともに、成人においても造血を行う。骨髄移植の際はこれらの骨から骨髄液を採取する。
骨盤骨折
総腸骨動脈・内腸骨動脈の近傍での骨折はそれらの動脈を傷つけ、致死的な腹腔内出血を起こす。交通事故や転落事故においては、頸椎損傷・胸部外傷に次いで重篤な疾患であり、それらに次ぐ優先度で骨盤の動揺・圧痛の有無を確認し、骨盤固定処置を行わなければならない。(JPTEC参照)
骨盤開閉
女性では恥骨結合が、初潮の1年以上前までは前傾して女児型だが、初潮を挟む前後1年から出産時に胎児を通すため直立傾向(女性成人型)へ転換し始め、初経の1年後以降には直立傾向(女性成人型)となる[1]。若年出産またはそれを経験した経産婦では安産になりやすいのはそのためである。また半関節の仙腸関節について、カイロプラクティックでは可動であり可動性亢進関節になることがあるとしている。
ギャラリー
脚注
関連項目
外部リンク
- 骨盤 - 慶應医学部解剖学教室 船戸和弥
寛骨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:37 UTC 版)
腸骨・坐骨・恥骨の3つが癒合し、1つの寛骨になっている。ただしクジラ類は寛骨が消失(爬虫類は3つの骨が分離している)。
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「寛骨」の例文・使い方・用例・文例
- 四足動物と同様に人間の寛骨と肋骨の間の背骨の両側
- 肋骨と寛骨の間の側
- 坐骨(またはそれを含んでいる寛骨の部分)の、あるいは、坐骨に関する
- 肋骨と寛骨の間の背中の部分の、肋骨と寛骨の間の背中の部分に関する、または、肋骨と寛骨の間の背中の部分の近くの
- 寛骨を形成する3つの骨のうち、上側にあって最も幅の広いもの
- 寛骨の3つの部分の1つ
- 大腿骨の頭部がその中にぴったりと入り込む球窩関節を形成する寛骨にあるカップ形のくぼみ
- 寛骨という,骨盤を形成する骨
- 寛骨筋という,寛骨を覆う筋肉
- 寛骨臼という,股関節を形成するくぼみの部分
寬骨と同じ種類の言葉
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