妖主
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 05:09 UTC 版)
金の君(きんのきみ) 王蜜の妖主とも。魔性としての名前は輝王(きおう)。波打つ金髪・金の瞳(魅了眼)を持ち、厳格な口調で話す。人に恋し伴侶として迎えたが、その相手を失ってからは虚空に篭ってしまい、側近にすら姿を見せていない。チェリク曰く「頑固で生真面目を絵に描いたような」性格。 世界の監視者のような役割を負って闇主(千禍)より前に誕生した、最古参の妖主であるため、彼だけは闇主の時間操作能力の影響を受けない。また、その役割ゆえに、配下選びの際は他の4人と違い、原則「来る者拒まず」である。彼が持つ独自の世界は、他の妖主たちが持つ力の根底にして一部ともいえる闇が渦を巻いている。そのうちの紅闇が時間の流れをかき乱しているため、そこから生まれた闇主でも時間の流れを読み解けない。 チェリクの魅縛能力の強さに危機感を覚え、度々策略をめぐらせて世界から排除しようとするが、互いに惹かれあっていたため、自分に与えられた理を一度だけ曲げた。その後生まれたラスの魔性としての部分(朱烙)をチェリクが封じたため、自分が近づくことで朱烙を覚醒させたりしないように、あえて娘と距離をとっていた節がある。しかしそれが、ラスにとっては「父に認められていない」というコンプレックスの元になってしまう。チェリクの望みである、平穏な「人としての生」をはずれ、柘榴の君と共にあることを選んだ娘には複雑な思いを持つ模様。 チェリクにだけは甘く、死後に魂となってまでやってきたチェリクを手放せず、虚空の中で、魔力が極力及ばないように細心の注意をはらって、その器(肉体)を作っていたが、チェリクに拒まれていた。 6作目序盤では何者かに害され命を啜られたため、しばらく昏睡に似た状態に陥った(のちに乱華と緋陵姫によるものと判明)。目覚めたのち、愛娘ラスを「世界のバランスを崩した者」として配下に追わせ、魂を体から分離させる(これは魔性なりの愛情であった模様)。それと前後して雛の君に膝を折るが、10巻目の終わりまで他の妖主を含めた人前には姿を現しておらず、登場した際は現在抜け殻である乱華の身体を使っている。 ラスと雛の君の戦いの現場にたどり着き、声を上げたことで雛の君の攻撃の標的にされた乱華を庇う形で重傷を負い、その直後乱華、ラス、チェリクの身体に宿った緋陵姫を自身の絶対領域へ誘う。乱華と緋陵姫には術をかけて重傷であることを隠したうえでラスとの会話への介入を禁じ、ラスには「雛の君の力」が何であるかを示して自身に最後まで従っていた金闇が凝った球体を託す。その後は意識体に戻ったチェリクと共に果てたが、もともと事が済めば乱華に身体を返すつもりだったらしい。 熾翠(しすい) 翡蝶が姉上と呼ぶ魔性。千禍の次に誕生した妖主。緑の髪と瞳、褐色の肌というエキゾチックな容姿ながらも、ストイックさを感じさせる絶世の美女。男のような言葉使いをする、さばさばとした性格。鏡移術という術を使える。「守護者の消滅」を術の解除条件にし、ラザーラと取引をしてウルガと同化していたが、守護者と融合した後、ラスに倒される。本名は翡翠。 6作目ではその残滓と呼べるものが、緋陵姫と乱華の前に姿を現す。 翡蝶(ひちょう) 翡翠の妖主と呼ばれる魔性。夢を操る力を持つ。緑の巻き毛と瞳、褐色の肌を持つ艶かしい絶世の美女の姿をしている。女らしい性格で、婀娜っぽい話し方をする。居城は翠譚宮。 実は、2つの人格を持つ翡翠の妖主の、保守的な方の人格を宿した守護者で、ラスに心臓ひとつ奪われた後、本体(熾翠)の元へ戻る。 白煉(びゃくれん) 白焔の妖主。炎を操る能力を持ち、長く白い髪と銀の瞳が特徴の女妖主。凛とした絶世の美貌の持ち主であり、矜持が高く、やや古風な言葉で話す。翡翠までの5人の中では最後に誕生した。そのため、闇主(千禍)の心の動きや、二重人格である翡翠の言動が読めず、理解することを放棄した。 人に化けて町を散策していたところを紫紺の妖主に謀られ、記憶を奪われた上で、一時的に家族として暮らしていた。しかし、その術が破れて本来の姿に戻った後、ユラクの街を一晩で焼き消した。 また、ユラクの件でザハトを案内役にして派遣されたラスと闇主に対し、配下の妖貴に命じて罠を仕掛け、乱華を呼び寄せ、さらには、闇主を名を織り込んだ檻に閉じ込めるなどのちょっかいを出す(ただし闇主は、彼女が古い名前しか知らなかった事が功を奏し、後に脱出)。 2作目でザハトを魔性・邪羅として覚醒させた後、度々彼の能力強化のための特訓を施す。ラスとの直接対決では、ラスの骨を糧に燃やすなどの攻撃を加えるも、最後はラスに胸元の心臓1つを奪われた。ラスはそんな遺恨を持つ相手であるが、5作目では、紅蓮姫を自らに刺したため抜けてしまったラスの魂を、手助けと称して「偶然拾った」チェリクの体に強引に押し込めている。この体は上述の金の君が作ったもの。 藍絲(らんし) 紫紺の妖主。糸を操る能力を持つ。紫の長い髪に紫の瞳が特徴。翡翠の妖主の次に誕生した。人形遊びが趣味で、気に入った人間を男女問わず次々に人形にする一方で、白煉に恋着している。出来のよい人形には紫色の髪を一房与えている。居城は璃岩城。 4作目では、ラスが白煉の心臓1つを奪ったことへの報復として影糸術をかけ、リーヴィを思うあまりぼろぼろの状態で戻ってきた彩糸を離すまいとし、最終的にはラスに首もとの心臓2つを奪われる。その際いわゆる「首ちょんぱ」状態になった。 更には雛の君誕生後である、6作目の4巻において、「狙ってくれ」と言わんばかりに、自身の知識と能力をそっくり移した人形を作って、まんまと壊されるという間抜け振りを見せ、あとがきで「コミカル要素を勝手にまとっていく」と言われてしまった。 彩糸に対しては、彼女が他の人形とは異なるそれであることもあり、真名を呼ぶことを許したり「最愛のお人形さん」と呼ぶなどの執着を見せるが、彼女の意志の強さに負けたのか、ある程度彼女を自由にさせている。 6作目では、紅蓮姫の使い手・アーゼンターラを狙った第1の刺客として、背水の陣を敷くことに。女妖貴・津々螺(つづら)に心臓のひとつを渡して影武者を任せていたが、闇主がその心臓を奪い、壊してしまったためもあって、ターラが繰り出した紅蓮姫により絶命する。 第6の妖主(だい6のようしゅ) 配下となった者から「雛の君」と呼ばれる。真名は「燦華(さんげ)」。ラスが翡翠の妖主を倒した後に誕生した、少女姿の新たな妖主(ただし、まとう色彩は黒)。「最後の者は無力に生まれつく」という伝承のようなものが、妖主たちに伝わっている。無力ゆえ、他の妖主の能力を封じた色とりどりのかけらを吸収し、すべての妖主の能力と知識を使いこなす。その絶対的な力故に魔性たちの「女皇」と呼ばれる。しかし、妖主たちの力に付随する、彼らの主観による記憶を鵜呑みにしている節があり、緋陵姫には「判断が偏っている」「幼子そのもの」と評された。 すべての妖主の力を得たあと、すでに滅んでいる翡翠以外の4人の妖主を跪かせた。誕生の瞬間とほぼ同時に、自らの誕生のきっかけとなったラスの守護者である緋陵姫が月晶華に斬られて命を落としたため、緋陵姫(あるいはその本体であるラス)に執着している。その力の本質は「有を無にする」ことであり、たとえ最上位魔性の妖主であっても葬ることが出来る。そのため、その本質を本能的に感じ取ったラスは、彼女の攻撃に対し回避に徹する他なかった。 妖主を殺し、世界のバランスを崩した者の魂を、「世界を破壊する鍵」として欲しており、当初はラスを狙っていたが、様々な事情からラスの代わりの鍵としてアーゼンターラに眼をつけた。また、「新たな世界では醜い存在である人間は生まれない」と公言している。 彼女の存在そのものが「世界の創造主」による人類滅亡計画の鍵だが、創造主はその彼女が倒された場合に備え、腐食の闇「穢禍(あいか)」を彼女の中に仕込んでいた。その一部が世界に漏れだしたことで、浮城の者でも対処ができない災いが世界に広がり始めている。 ラスとの戦闘の最中に自らの中の穢禍の存在を知り、ラスと共に穢禍の内部に呑まれ、彼女に従う五闇の力が織りなす繭に護られることに。外界を破壊し始めた穢禍の欠片の様子に憤慨しながら、ラスの魅了眼に見えた石板のようなものを手にするべく一時休戦を持ち掛ける。
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妖主(ようしゅ)
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最も強力な力を持ち、絶対の美貌を持つ魔性の王たち。世界に5人しかおらず、各々黒以外の独自の色彩を身に纏うため、その色の名の通称を持つ。また、それぞれ得意とする属性が異なる(一例として、紫紺の君は「糸」やそれに通じる「繊維」といった物を操ることを得意とし、柘榴の君は「時間操作」を得意とする)。乱華や邪羅といった、その血を引く者も親の色を受け継ぐため、色をまとう魔性は現在、ラスを含めて8人。
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