さばさばとは? わかりやすく解説

さばさば


さば‐さば

[副](スル)

気分すっきりするさま。さわやかになるさま。「みんな焼けてしまって、かえって—(と)した」

物事こだわらずあっさりしているさま。さばけているさま。「—した性格


さばさば

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/07 09:58 UTC 版)

さばさば(サバサバ)とは「爽快」、「さっぱり」などを意味する語。対義語は「ねちねち」[1]

語源

「さばさば」は徒然草にも現れる古語「さはさは」(爽々[2])が口語として訛ったものとされる[3][4][5]

江戸時代には「さばさばとした布子」[注 1](爽快の意)、「あんまりさばさばとした挨拶ゆゑ」[注 2](あっさりの意)のような用例が見られていた[6][7]

大陸的とサバサバ

戦前の労働農民党の政治家 山本宣治はアメリカ人を大陸的でサバサバしており小さいことに拘らないと評し、サバサバしていない日本人はアメリカ人に学ぶべきと論じていた[8][9]

男っぽさとサバサバ

戦前

戦前の書き記されたものでは少なくとも1940年には既に佐多稲子の女流小説『素足の娘』に「男のようなさばさばした中に、田舎娘のような愛らしさのある言い方で」として「さばさば」と「男っぽさ」を結びつける節が登場している[10]

また戦前の婦人解放運動家で廃娼に反対していた伊藤野枝は幼少期に女々しい兄に代わって喧嘩を行ったりなどボーイッシュでサバサバとした性格をしており、祖母からアメリカにしか嫁の貰い手が居ないと言われていたとされる[11]

戦後

戦後は高度経済成長に合わせて専業主婦が増加していったものの、1980年代には働く女性が一般化し、男女雇用機会均等法によって女性の出世の道も開かれ、それに合わせてオヤジ化したOLの「おやじギャル」も増加していった[12]。しかしながら、その当時でも男っぽくサバサバしている女性は望ましくない、評価されにくいとする言説が存在していた[13][14]

また1990年代後半頃に少女漫画誌「りぼん」で連載されていた少女漫画『ミントな僕ら』(吉住渉)では性格が男っぽくサバサバしている主人公「南野のえる[15]およびライバルキャラクター「岩崎理々子」が登場していた[16]

2000年代に週刊誌『SPA!』で連載されていた『だめんず・うぉ〜か〜』(倉田真由美)の「ホラーな女」シリーズでは「男から男っぽくてサバサバしてると勘違いされる女」は実際はネチネチしているという話が登場していた[17]

一方、2021年のBLサイト「ちるちる」のアンケート結果の分析によれば、BLを好むコア層(いわゆる腐女子)はライト層よりもサバサバした女性主人公を好んでいるとされた[18]

自称サバサバ女(自サバ女)

サバサバを自称しながらネチネチしている自称サバサバ女(自サバ女)も話題となっていった。

早くは2011年より週刊誌「SPA!」で連載された「アラサーちゃん」に登場しており[19]2014年にドラマ化されている[19]

またその後も2019年よりはマンガワンで連載の「ブラックガールズトーク」(マキノマキ、2024年ドラマ化)が[20]、同じく2019年よりはツイッター上で連載された[21]の「彼氏の周りに湧くウザい女たち」(染井ロキ)が登場している[22]

2020年にはめちゃコミックよりWeb漫画「ワタシってサバサバしてるから」(原作:とらふぐ、漫画:江口心)が登場し[23]、2023年よりはそれがNHK総合ドラマ化されている。

2025年にはWeb少女漫画誌『ちゃおプラス』で『ワタシってサバサバしてるから』のスピンオフである小学生編が登場した[24]

水商売とサバサバ

史実の共同印刷争議(1925年)を基にして1929年よりプロレタリア文学雑誌『戦旗』に連載された小説『太陽のない街』(徳永直)では、大同印刷株式会社の労働争議団の婦人部会において貞操観念の強い同部部長「永遠の処女」と水商売をする反部長派が対立、反部長派が「永遠の処女」の論ずる「貞操論」をブルジョワ的だとして批判し、同志として働くための水商売の方がよっぽどサバサバしていてプロレタリア的だと論じていた[25]

戦後も水商売の女性の方がサバサバしているという言説はたびたび登場している[26][27]

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ 浮世風呂 三編上』より
  2. ^ 『春色辰巳園 三ノ八』より

出典

  1. ^ あっさりの言い換え・類語・同義語 - 類語辞書 - goo辞書 NTTドコモ
  2. ^ 爽々 コトバンク
  3. ^ 久保得二 編『新式大辞林 : 読書作文』 pp.518-519 博文館 1912年 [1]
  4. ^ 内海弘蔵 編『読書作文辞典』 pp.440-441 宝文館 1906年 [2]
  5. ^ 森貞次郎、山岡熊二 編『新編普通辞典 2版』 p.341 経済雑誌社 1905年 [3]
  6. ^ 前田勇 編『江戸語大辞典』 p.442 講談社 1974年 [4]
  7. ^ 『擬音語・擬態語4500 日本語オノマトペ辞典』 小野正弘 2007年10月27日 ISBN 978-4095041742
  8. ^ 學生書房編集部『鬪うヒューマニスト : 近代日本の革命的人間像』 p.59 學生書房 1948年 [5]
  9. ^ 『山本宣治選集 第4巻(無產者生物學)』 p.304 新興出版社 1949年 [6]
  10. ^ 女流文学者会 編『現代女流文学全集 第4巻 (佐多稲子集)』 p.288 長嶋書房 1956年 [7]
  11. ^ 岩崎呉夫『炎の女 : 伊藤野枝伝』 p.61 七曜社 1963年 [8]
  12. ^ おやじギャル イミダス
  13. ^ 菊地由利『ボスと呼ばれる女性たち : なぜみんな、社長にならないの?』 pp.234-236 ぴいぷる 1989年 ISBN 978-4893740342 [9]
  14. ^ 川原千寿子『男の敵は女味方も女 : 女性の時代の管理職』 pp.120-121 ブレーン・ダイナミックス 1990年 ISBN 978-4938340308 [10]
  15. ^ 吉住渉『ミントな僕ら 1』 集英社 1998年 ISBN 978-4088560588
  16. ^ 吉住渉『ミントな僕ら 6』 集英社 2000年 ISBN 978-4088561998
  17. ^ 『だめんず・うぉ〜か〜 (11)』内「file.254 ホラーな女②」「file.255 ホラーな女・完結編」 倉田真由美 2006年 ISBN 978-4594052201
  18. ^ こんなにちがう!腐女子とライトオタク層との守備範囲 PR TIMES 2021年7月2日
  19. ^ a b 壇蜜主演の『アラサーちゃん 無修正』、放送コードギリギリは必至!? エキサイト 2014年5月13日
  20. ^ 「自称サバサバ系女」の泥沼不倫にエリート彼氏の二股疑惑…迷惑人間をぶった斬る共感度抜群の「ブラックガールズトーク」 ダ・ヴィンチニュース 2019年10月18日
  21. ^ Twitterで22万いいね、漫画「彼氏の周りに湧くウザい女たち」に共感の嵐 日刊SPA 2021年1月24日
  22. ^ 【漫画】自称“サバサバ女子”、でも本当はただ口と性格が悪いだけ… 「彼氏の周りに湧くウザい女たち」(2) ザテレビジョン 2021年6月15日
  23. ^ 自称サバサバ女のヤバすぎる行動 『ワタシってサバサバしてるから』 J-CAST 2021年6月18日
  24. ^ 【本日配信】大人気コミック『ワタシってサバサバしてるから』の小学生編がとくべつ公開!! 小学館 2025年3月31日
  25. ^ 徳永直『太陽のない街 (日本プロレタリア作家叢書 ; 第4編)』内「III 婦人部會」 pp.50-63 戦旗社 1929年 [11]
  26. ^ 園田てる子『女性欲望論』 p.21 小壷天書房 1959年 [12]
  27. ^ 西川のりお『西川のりおの銭ゲバの美学 : こう貯めるんや、こう使うんや』 p.192 ベストセラーズ 1990年9月5日 ISBN 978-4584007327 [13]

さばさば

出典:『Wiktionary』 (2021/08/21 14:39 UTC 版)

発音

副詞

さばさば

  1. 厄介物事無くなり気分すっきりするさま。
  2. 物事拘らあっさりしているさま。

動詞


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