南海トラフの地震の特徴と「地震像」とは? わかりやすく解説

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南海トラフの地震の特徴と「地震像」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 09:59 UTC 版)

南海トラフ巨大地震」の記事における「南海トラフの地震の特徴と「地震像」」の解説

この南海トラフ巨大地震による被害については、超広域にわたる巨大な津波強い揺れに伴い西日本中心に東日本大震災超える甚大な人的物的被害発生し我が国全体国民生活経済活動極めて深刻な影響生じる、 まさに国難とも言える巨大災害になるものと想定される中央防災会議2012年 南海トラフ地震は、約90 - 150年中世以前発生記録では200年以上)の間隔発生し東海地震東南海地震南海地震震源域毎回数時間から数年の期間をおいてあるいは時間置かず同時に3つの地震連動していること(連動型地震)が定説だった。一方で1605年慶長地震南海トラフ震源とすることに異論出されており、南海トラフ地震200年程度間隔発生する考えるのが自然な姿であるという見解存在する。最も新し昭和地震地震計による観測記録それより古い地震地質調査文献資料からそれぞれ推定されており、今後同じよう間隔発生する推測されている。いずれもマグニチュードが8以上になるような巨大地震で、揺れ津波により大きな被害出してきた。 なお、その後の研究により、地震が起こるたびに震源域少しずつ異なることがわかった例えば、同じ南海道沖の地震でも1854年安政南海地震南海道全域震源域となったに対して1946年昭和南海地震西側4分の1震源域ではなかったと推定されている。また一方で東京大学地震研究所瀬野徹三は、東海東南海・南海といった3地震分類変える必要を挙げ南海トラフ東端震源域東南海の一部および東海)と連動して静岡付近まで断層破壊が進む「安政型」、その震源域連動せず静岡までは断層破壊起きない宝永型」の二種類分類することができるという説を唱えている。 1498年明応地震以降文献資料が豊富で発生間隔100年前後で一定していると考えられてきた(下の南海トラフ地震の発生領域従来説)の図表)。しかし、それ以前東海道沖地震の発生記録がほぼないほか、1361年正平地震以前間隔記録欠損があり、例え13世紀前半と見られる津波液状化痕跡複数箇所から発見されており、記録を補うものと考えられている一方で1096年永長地震以前確かな証拠無く津波堆積物の研究から100年200年周期交互に繰り返されているとする説もある。液状化跡は内陸局地地震可能性推定年代幅の問題もあるため、なおの検討が必要である。他方地震連動発生様子プレート相対運動プレート境界摩擦特性からシミュレーションする試みもあり、連動性再現されたが地震発生間隔などが歴史記録一致しない点もある。 南海トラフ全域をほぼ同時に断層破壊した地震規模大きく1707年宝永地震日本最大級地震とされている。1854年安政地震昭和地震より大きかったが、宝永地震安政地震よりさらに大規模であった例え須崎現・高知県須崎市)では安政津波は5 - 6mの地点とどまっているが、宝永津波標高11m程度地点、場所によっては18mの地点まで達した土佐藩による被害報告では安政地震で潰家3,082軒、流失家3,202軒、焼失2,481軒に対し宝永地震では潰家5,608軒、流失11,167軒と格段に多くなっている。安政津波壊滅し亡所となった集落土佐国で4か所であるが、『谷陵記』に記され宝永津波亡所81か所にも及んだ21世紀に入ってからの研究により、高知県土佐市ヶ池に宝永地震による特大津波堆積物見出されたが、この宝永地震同様に津波堆積物を残す規模地震痕跡300 - 600年間隔見出されることがわかった。さらに、宝永地震よりも層厚の約2,000年前推定される津波堆積物見出され宝永津波より大きな津波起きた可能性指摘された。 また、昭和南海地震でも確認されたように単純なプレート間地震ではなくスプレー断層主な断層から分かれて存在する細かな分岐断層)からの滑りをも伴う可能性指摘され南海トラフ沿いには過去生じた考えられるスプレー断層数多く確認される一方震源域が広いと顕著になる長周期地震動発生予想され震源域に近い平野部大都市大阪名古屋などをはじめとして高層ビルオイルタンクなどに被害が及ぶ危険性指摘されている。これらに関連して古文書はしばし半時はんとき、約1時間)に亘る長時間強い振動継続した解釈できるような地震の記録みられるが、これは大地震対す恐怖感誇張的な表現生んだとする見方もある一方連動型地震のように震源域長大になれば破壊が伝わる時間長くなり、そこからまた別の断層生ずるなど長い破壊時間をもつ多重地震となって本震後の活発な余震なども相まって実際揺れ表現したものとする見方もある。 以上のように南海トラフにおける海溝型地震は、繰り返し起こる「再帰性」と複数固有地震震源域同時に起こる「連動性」が大きな特徴となっている。さらに、南海トラフは約2000万年前の比較的若いプレート沈み込んでおり、薄くかつ温度も高いため低角で沈み込みプレート境界固着起こりやすく、震源域陸地に近いので被害大きくなりやすい。南海トラフにおける、フィリピン海プレートユーラシアプレートアムールプレート)とのプレートカップリング100%近くほぼ完全に固着し1年に約6.5cmずつ日本列島を押すプレート運動エネルギーはほとんどが地震エネルギーとして開放される考えられている。しかし紀伊半島先端部の潮岬付近に固着弱く滑りやすい領域があり、1944年昭和東南海地震1946年昭和南海地震はいずれもこの付近震源として断層破壊それぞれ東西方向進行したことと関連が深いと見られている。 またこの地震により発生するとされる災害を「東日本大震災」に倣い西日本大震災」と呼称する場合がある。また、京都大学大学院人間環境学研究科教授鎌田浩毅は、南海トラフ巨大地震相模トラフ巨大地震引き起こす想定し、この2つ連動型地震を“スーパー南海地震”と呼称している。2011年3月東北地方太平洋沖地震東日本大震災発生後南海トラフ巨大地震への懸念浮上したことを受けて日本政府中央防災会議に「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」を設けて対策検討進めた。同ワーキンググループ2012年7月にまとめた中間報告において、南海トラフ想定される最大クラス巨大地震を「東日本大震災超え国難ともいえる巨大災害」と位置づけている。 土木学会2018年6月7日発生後20年間の被害総額最大1410兆円に達す可能性があるとの推計発表した

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