南海トラフの巨大地震モデル検討会
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「南海トラフ巨大地震」の記事における「南海トラフの巨大地震モデル検討会」の解説
2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震を受け、内閣府の中央防災会議は想定を再検討するため「南海トラフの巨大地震モデル検討会」を設置し、同年12月の検討会による中間報告では、南海トラフ連動型の最大クラスの地震・津波の想定がなされ、M9.0との暫定値が発表された(従来は最大M8.7)。座長の阿部勝征は、想定の地震が起きれば「巨大西日本地震」となると述べた。 検討には古文書・津波堆積物などの研究結果が用いられ、想定される震源域は、南西側は日向灘より南西の九州・パラオ海嶺の北側(日向灘地震の震源領域含む)まで、内陸側は四国のほとんどを含む陸域、北東側は富士川河口断層帯(静岡県)北端まで含め、長さは750km、面積は約11万平方kmとなり、従来の約6万平方kmからほぼ2倍になる。想定される波源域も南海トラフ寄りの深さ約10kmの浅い領域に大すべり域、超大すべり域を設定し、地域によっては従来の想定より2倍程高くなった。この海溝寄りに大すべり域を設定した津波断層モデルは、駿河湾から紀伊半島、紀伊半島沖、四国沖、日向灘の内、1ヶ所または複数の大すべり域を設定した11種のパターンが想定され、津波断層モデルを含むモーメントマグニチュードはMw 9.1とされた。 阿部は、東北よりも人口が多いため、東日本大震災での被害とは異なるとした。国が同年秋までに被害想定をまとめる予定。 2012年3月、同検討会は最大クラスの地震による震度分布・津波高の想定を公開した。地震動については、震度6以上の揺れの地域は従来の国の東南海・南海地震などの想定に比べて2倍近くに増えた24府県の687の市町村で想定され、さらに名古屋市、静岡市、和歌山市、徳島市、宮崎市などを含んだ10県153市町村では震度7が想定されている。津波については、東北地方太平洋沖地震以降に自治体が行った独自想定を上回る例があり、徳島県阿南市では県の想定の5.4mの3倍近い16.2m、三重県志摩市では県の想定の15mに対して24m、同尾鷲市では13mに対して24.5mとなった。独自想定を行っていた9府県では改めて想定や災害対策が検討されることになっており、その他の自治体でも対策の見直しを迫られることになる。検討会は原子力発電所の設置・建設計画がある4箇所について津波高の最大値を公表し、静岡県御前崎市の中部電力・浜岡原子力発電所では、地震による地盤の隆起2.1mを考慮しても付近の最大津波高は21m、市の最大震度は7で、中部電力の想定津波高を越えた。愛媛県伊方町の四国電力・伊方原子力発電所付近では最大津波高さは3m、町の最大震度は6強、茨城県東海村の日本原子力発電・東海第二原子力発電所付近では最大津波高が2.6m、村の最大震度は4、山口県上関町の中国電力・上関原子力発電所の建設を計画している付近では、津波の高さが2.9m、町の最大震度は6弱が想定されている。検討会では、津波高については50mメッシュモデルを10mメッシュに変更して予測の精度を上げ順次発表、被害想定や対策はさらに1年かけて公表する予定である。 その後、2012年8月に10mメッシュによる津波高及び浸水域などの推計結果による被害想定が発表され、冬季の深夜にマグニチュード9クラスの超巨大地震が発生、駿河湾から紀伊半島沖を中心に巨大津波が発生した場合、関東以西の30都府県で最悪の場合、東日本大震災の約17倍に上る32万3000人の死者が出る可能性があるとした。
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