制作の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/13 03:39 UTC 版)
フィクシキは国際的なアニメブランドの設立を願ったプロデューサーのゲオルギー・ワシーリエフによって2005年に提案された。同年、ワシーリエフはスタジオ「パイロット」の創設者であるアレクサンドル・タタルスキーとともにアイディアを検討し始める。タタルスキーは様々な身の回りの機械の構造について物語るアニメを提案する。そしてエドゥアルド・ウスペンスキーの「小人の修理屋」とその中に登場する機械の中に住んでそれを修理する小人の修理屋たちに目を向けるよう助言したのだ。タタルスキーはこう言った。「私が5歳の少年の頃は、機械の中に誰が住んでいるか知りたくてたまらなかった。子供の頃はずっとそのことばかり考えていたのを覚えているよ。」身の回りの機械について学ぶというテーマは多くの人々にとって身近な問題であることから、このアイディアは承認された。また、その少し前に設立された制作会社「AEROPLAN」(露: Аэроплан)は、「小人の修理屋」の映画化の権利を獲得するためにエドゥアルド・ウスペンスキーと連絡をとった。しかし、制作会社はウスペンスキーのお話の概念はやや時代遅れであると感じていた。作品が発表された時点(1974年)で機械のサイズは今よりは大きかったとはいえ、小人の修理屋はネズミ程度のサイズで、現代の電子機器には適していなかったためである。 「小人の修理屋」のタイトルは変更されることになった。短くて覚えやすく、さらにアニメに直接関連しない様々な製品にも適するようなものにするためである。もともと世界に通用するものを、と考えられていたためタイトルには英語が選ばれた。英語が話せる、あるいは英語圏出身の様々な専門家が国内から呼び寄せられ、話し合いでFix(修正する、修理する)とPixie(エルフ、妖精、小人などの小さな魔法の世界の生き物)という言葉から生まれたFixieに決定した。こうしてこの名前は機械の修理に従事する小さな魔法の生き物を意味することになった。その後、(露: Fixie「フィクシー」)という名前はその後ロシア語風にアレンジされ「フィクシキ」として知られるようになった。 また、2005年には制作会社と同名のアニメスタジオが設立された。「ティディッシ」(露: Тыдыщ)という名の三本指を広げた形のアニメの原案のロゴマークはキャラクター作成以前に登録された。 名前やロゴやコンセプトが作成された後に実際のアニメ制作が始まった。デザイナーのユーリ・プロニンはキャラクターのコンセプトアートを担当した。キャラクターのイメージはその開発中にどんどん変わっていった。フィクシキはヒトの外見になったりロボットの外見になったりしたが、プロデューサーはそのどれにも満足しなかった。 2007年にアレクサンドル・タタルスキーが56歳で亡くなったためプロジェクトは彼なしで進められた。2008年、スタジオ「AEROPLAN」は米国の「Animation Magazine」のインタビューでプロジェクトについて語った。2008年の時点で、プロジェクトは12人のフィクシキと1匹の犬を含む劇場版の長編アニメとして計画されていた(フィクシキ・シリーズ~2008年度開発資料を参照)。キャラクターは小人である。トレーラーとアニメーションのテストも作成された。筋書きは、人々が10万ドルの賞金獲得のためにフィクシキを捕えようとする。一方カソード(露: Катод)という名のフィクシキが電線を使った旅行を可能にするHat-O-Mat(露: Шляп-о-Порт)という機械をこっそり盗み出すが、その機械は使う者を徐々にモンスターに変えていく、というものである。しかし、2008年の経済危機により、劇場版の計画は頓挫し「AEROPLAN」はアニメシリーズに取り組み始めた。 後に、ユーリ・プロニンはフィクシキの最終的なイメージを決定した。それは大きな手(フィクシキは絶えず働いているから)、光る髪(フィクシキは暗い場所で作業するから)、ネジへの偽装するというものである。デザイナーは始めにネジを描き、その後、ネジからフィクシキを描き出したという。 2010年、アニメシリーズは完成し、その年の12月にロシア1のテレビ番組「おやすみなさい、子供たち!」(露: Спокойной ночи, малыши!)の一環で放送された。アニメシリーズはすぐに人気となり、制作者らはシリーズの156話の制作を計画した。しかし、2011年、エドゥアルド・ウスペンスキーは「小人の修理屋」のイメージの作り変えに不満があると述べた。スタジオ「AEROPLAN」とウスペンスキーはフィクシキの表題から「このプロジェクトはE・ウスペンスキーの作品が原案である」という言及部分を削除することで合意した。ウスペンスキーは「小人の修理屋」への権利を残した。同年、エドゥアルド・ウスペンスキーは1974年の続編「修理屋、帰る」を発表した。 2012年に始まった第2シーズンでは新たな登場人物、シムカのクラスメートたち、科学者のゲーニー・エフゲーニェヴィッチ・チュダコフとその助手リゾンカの他に新たな活動場所である実験室も登場する。 アニメシリーズをきっかけに食品、文房具、ボードゲーム、玩具など様々な製品が発売された。また雑誌、ゲーム、スマートフォンアプリも発売された。「フィクシーショー」という名で実写版の劇場ショーも公開された。また、プロダクトプレースメントが行われたシリーズもあった。 2017年10月28日、スタジオは「フィクシキ:大きな秘密」のタイトルで劇場版を公開した。この映画は世界各国で上映された。映画が公開される前にもかかわらず、続編が制作中であると発表された。これをきっかけに本や漫画が出版された。劇場版第2作目は「フィクシキVSクラボット」というタイトルで、フィクシキとクラボットというカニに似たロボットの対立をテーマにしている。映画の公開は2019年12月21日で、スタジオ「メリニッツァ」のプロジェクト「イワン王子と灰色狼 シリーズ4」と人気を争った。初のティーザー広告が放映されたのは2019年3月29日のことである。 当初は3シーズン156話を放送する予定であったが、その後にボーナスシリーズの「ゼフィル」が公開された。 スタジオ「AEROPLAN」は「リアニュース」のインタビューで、ファンにも馴染みのない新しいフィクシキの家族が登場する「新入り」という副題の付いた作品がもう1シーズン続くと発表した。新キャラクターに加えて新たな活動場所であるカーチャのアパートの一室も登場する。また、作中歌「フィクシキって誰?」の新バージョンが発表された。 新シーズンに加えて、2020年初頭にスピンオフ「クラボット」が放送される。この中では劇場版「フィクシキVSクラボット」で初めて登場したクラボットについて語られる。フィクシキの作中歌(露: фиксипе́лки、日: フィクシペルキ)は「AEROPLAN」の新たなプロジェクト「アニメぺルキ」(露: Мультипелки)に含まれている。
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