初代 TB1型(2006年 - 2012年)
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「アキュラ・RDX」の記事における「初代 TB1型(2006年 - 2012年)」の解説
2005年1月の北米国際自動車ショーでコンセプトカーとして「RD-X」を世界初公開し、2006年1月の北米国際自動車ショーではプロトタイプが、同年4月のニューヨーク国際オートショーでは市販モデルが発表。同年の10月8日に販売が始まった。 都会に住む将来性豊かな「ヤングプロフェッショナル」を主なターゲットとした、エントリープレミアムクロスオーバーSUVとしている。主なライバルはBMW・X3。コンセプトデザインはHonda R&D Americasで行ったが、その後の開発はアメリカ人エンジニア主導により日本で行なわれた。 プラットフォームは新開発の「グローバル・ライトトラックプラットフォーム」で3代目CR-V(2006年 - 2011年)も使用する。デザインテーマは「アスレチックアーマー」で、アメリカンフットボールのランニングバックの力強さをイメージし、都会にマッチするデザインとサイズに仕上げた。アイポイントを高く、ボンネットを低くし視認性も高いものとなっている。大きなホイールアーチや短いリアオーバーハング、テールゲートとバンパーがフラットなリアエンドも特徴の一つである。タイヤはアキュラ初の18インチサイズを標準装備し、ミシュランのオールシーズンタイヤを使用する。 ボディには高張力鋼が重量で39%に使用されており、フロアのボックスセクションなどには780 MPaグレードが使用されている。ステアリングフィールやスタビリティ、ロードノイズ低減のためサスペンション周りの剛性に特に注意が払われた。コンパティビリティ (ACE) 対応ボディとしては、多角形断面のフロントフレームメンバーに高張力鋼を使用し、上方と後方に衝撃を分散させる構造になっている。リアフレームも多角形断面で、波形のデザインにより強度を高め、衝突時の変形を制御する。 エンジンはK23A型にバリアブルフロー・ターボを組み合わせたものが設定され、240 hpを発生。ターボチャージャーへの最適化も含め、ボアサイズ、ピストン、コンロッドなど大きな変更がされたほか、ベッドプレート型のベアリングキャップやバランサーシャフトなどを始め、NVH対策も念入りに行っている。最大トルクは260 lbs·ft(約35.9 kgf·m)と、発売当初はアキュラ車最大のトルクを誇った。 バリアブルフロー・ターボは三菱とアイシンとの共同開発で、エンジン後方の排気直後に設置される。ホンダ・レジェンドに搭載されていたウィングターボのような可動ベーンは用いず、マツダ・RX-7(FC3S 前期型)などに採用されたツインスクロールターボと似たシンプルな構造になっている。ソレノイドで駆動するダイヤフラムアクチュエーターによって、フラップのようなフローコントロールバルブを制御し、低速時にはタービンインレットを狭め内側のスクロールへのみ排ガスを流入させることで、タービンを高回転に保つ。コントロールバルブのポジションは直接排気ガスの流速から計算され、全開加速時では約2,000 rpmからバルブが開きだし約2,500 rpmで全開となり外側のスクロールへも排ガスが供給される。この方式にはバルブのピボットを高温の排ガスから遠ざけることができるというメリットがあり、耐久性や信頼性の向上に繋がっている。 エンジン上部に設置されたインタークーラーには、フロントからダクトを通って空気が直接導かれており、ラム効果により流速を高めている。ブースト圧は最大13.5 psi(約0.95 kg/cm2)である。エンジンオイルは国内メーカーとしては珍しくメーカーにより規格化されたものが指定されている(HTO-06規格)。これはホンダ独自の清浄性試験を追加して規格化されたもので、タービン軸で生じるデポジットの抑制を重視したものとなっている(実質的にRDX専用規格)。 トランスミッションは5速ATで、パドルシフトが付く。Dレンジでのパドル操作ではATモードへの自動復帰機能が付き、Sレンジでは常時マニュアルとなるが、シフトダウン時のオーバーレブ回避機能は働く。 駆動方式は、アキュラ・RLなどに採用されているSH-AWDであるが、2代目アキュラ・MDX同様、後輪の2段増速機構が廃止された軽量仕様で、常時1.7%増速され、直進状態での前後輪の回転差は、多板クラッチが吸収している。高速走行時には前後駆動力分配は最大90対10となる。 インテリアのテーマは「ダウンタウンロフト」。前席優先のデザインで計器類やスイッチ類はドライバー志向の設計になっている。10WAYレザートリムパワーシートや、多機能皮巻きステアリング、ブーストメーター付きのLEDバックライト計器盤、6.5インチのセンターインストルメントパネル、7スピーカー360Wオーディオなどが標準装備。リアシートは60対40の分割折りたたみ式、カーゴスペースにはプライバシーカバーを装備する。 グレードは1つのみで、オプションの「テクノロジーパッケージ」にはリアビューカメラ付きナビゲーション、リアルタイム交通情報付きアキュラリンク、カスタムマルチインフォメーションディスプレイ、XMラジオ付き10スピーカーアキュラ/ELSサラウンド、GPSリンク照度センサーエアコンなどが揃う。 2008年モデルではブルートゥースハンズフリーリンク、2メモリーパワーシート、自動調光バックミラーが標準装備となり、「ポリッシュメタルメタリック」ボディカラーが追加された。ナビゲーションがハワイ州に対応し、アキュラリンクの交通情報もアップグレードされた。 2009年モデルでは助手席が4WAYパワーシートが標準となり、「バスクレッドパール」、「クリスタルブラックパール」、「グリージョメタリック」、「パラジウムメタリック」の4色のボディーカラーが追加。 2010年モデルではマイナーチェンジが行われた。新しくFWDモデルがラインナップされ、標準仕様ではSH-AWDモデルから約85 kgの軽量化を果たし、燃費が17/22 mpgから19/23 mpg(EPA 市街地/高速)に向上している。エクステリアデザインはアキュラの共通コンセプトに沿いフロントグリルを一新。ヘッドライト、テールライト、前後バンパー、テールパイプ、標準ホイールなども変更された。 インテリアではフットライト、電子コンパス、リアビューカメラ、USBポートなどが標準装備となり、センターコンソールの収納が強化された。オートヘッドライトも標準となる。「テクノロジーパッケージ」ではナビゲーションシステムなどがアップグレードされた。レザーシートの品質向上や、インテリアカラーが2色追加された。 エンジンはターボチャージャーのインレットパイプを厚くし、高圧ブースト時のノイズを低減させた。ラジエターファンノイズも低減されている。ブレーキブースターを変更し、ブレーキフィールの改善とブレーキパッドの寿命を向上させている。 製造は、オハイオ州・メアリーズヴィル工場 (en:Marysville Auto Plant) で行われた。
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