SH-AWD
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1992年にDYC(Direct Yaw moment Control)の考え方,および線形から非線形まで車両の運動性能を評価できる新しい解析方法であるβ-メソッドを発表した。1996年には, この考え方に基づき,前輪駆動車の駆動力を左右に制御配分するATTS(Active Torque Transfer System) を開発しプレリュードに搭載した。これにより、ATTSによるヨーモーメントの直接制御は,旋回加減速時における車両挙動変化の抑制および旋回限界向上に限界を含めた非線形領域まで有効であることを確認した.新型車に搭載された世界初の四輪駆動力自在制御システムはドライバの運転操作や走行状態から最適な前後左右の駆動力配分を判断し,前後配分を30対70から70対30,後輪左右配分を0対100から100対0まで 無段階制御.あらゆる走行状態において四輪それぞれのタイヤの能力を最大限に引き出し,駆動力を走行加速のためだけでなく,曲がる性能である操縦安定性にも活用すること,運動性能をこれまでにないレベルに引き上げることができる。 |
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保管場所 | : | (株)本田技術研究所 四輪開発センター |
製作(製造)年 | : | 2005 |
製作者(社) | : | 本田技研工業株式会社 |
資料の種類 | : | 設計図・文献 |
現状 | : | 保存・非公開 |
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名称 / 製作 | ![]() |
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仕様 | ![]() |
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効能 | ![]() |
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エピソード・話題性 | : | 四輪駆動車の前輪と後輪間の駆動力配分と後輪左右輪間の駆動力を同時に配分制御し車両のヨー運動を直接制御するDYC(Direct Yaw Control)System(商品名SH-AWD)を開発した |
SH-AWD
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/26 00:48 UTC 版)
SH-AWDまたはスーパーハンドリング・オールホイールドライブ[1](英語: Super Handling All-Wheel-Drive)は、本田技研工業の四輪駆動システムである。日本語表記は「四輪駆動力自在制御システム」[2]。
概要
2004年発売のホンダ・レジェンドに初搭載された、前後輪と後輪左右の駆動力を自在に制御する世界初のシステム[3]。SH-AWDは、センターデフ(差動装置)を持たず左右の駆動力を電磁クラッチ(電磁ソレノイドによる湿式多板クラッチのダイレクト駆動)により調整する。トルクはハイポイドギアより、左右に設けた遊星歯車のリングギアに伝わり、電磁クラッチはサンギアとケース部に摩擦を発生させ、プラネタリーキャリアよりドライブシャフトに出力される。遊星歯車による倍力作用を利用することで、電磁クラッチの大きさを小型に抑えている[3][4] 。
左右の駆動力を電磁クラッチで制御する点では同社のVTM-4と似ているが、異なるのは、制御が旋回性能を向上するために利用される点にある。旋回加速時の外側後輪の接地荷重の増大に対して、より多くの駆動力をそこへ配分することで旋回内側へのヨーモーメントを発生させている。
プロペラシャフトと後車軸との間に遊星歯車機構による二段増速機構を組み込み、後輪への回転数を直結状態では0.6%、旋回時に5.7%高め、旋回時には積極的に外側の後輪に駆動力を配分している(駆動力配分は、前後で30対70→70対30、後輪左右で0対100→100対0まで無段階で可変することが可能。)。後輪は旋回時に外輪が100%、内輪0%まで配分が可能で、この配分により生じる後輪左右のトルク差によって旋回時の動力性能を向上させた。ただし、効果が期待できるのは加速時および定速走行時(アクセルオン)のみであり、減速時(アクセル全閉時)には横滑り防止装置との協調制御により挙動の安定を確保している。
2006年に登場したRDXおよび2代目MDXには、リア車軸前にあった二段増速機構を廃止した軽量仕様が適用された。後輪は常時1.7%増速され、直進状態での前後輪の回転差は、リアデフが吸収している。
2014年のアキュラ・TLXでは、次世代SH-AWDとなり遊星歯車による倍力装置のないVTM-4に似たシステムとなった[5]。電磁クラッチの代わりに左右2つの油圧ポンプとソレノイドバルブで湿式油圧クラッチを操作する方式を採用した。重い電磁クラッチがなくなることで、25%の軽量化を果たしている。リア増速は常時2.7%で、巡行時は前後駆動力が90:10となる[6]。
2012年には電動式の四輪駆動ハイブリッドシステムとして新開発されたSPORT HYBRID SH-AWDを搭載するNSXコンセプトが発表され[7]、2015年には同システムを搭載した5代目レジェンドが発売された[8]。
開発史
芝端康二が最初に提案した四輪駆動システムは前輪と後輪の間で駆動力を配分するものであった。しかし、それはすでに他社が開発に着手しており、ホンダとしての独自性がないとして上層部に却下された。芝端は左右の車輪間での駆動力配分の可能性を見いだし、四輪駆動のシビックを改造し、後輪の片側だけに駆動力を伝える三輪駆動の試作車で実走し後輪の左右でのトルク配分の効果を確認し、本格的な開発に至った。
その後、2代目レジェンドに後輪左右駆動力配分システムを搭載した試作車を開発し、1991年には東京モーターショーでコンセプトカーであるFS-Xを発表。3代目インテグラにこのシステムを搭載すべく開発を進めたが、市販を断念した[9]。
1996年には左右駆動力配分システムを後輪ではなく前輪に搭載したATTSをプレリュードで市販化した。
搭載車種
脚注
- ^ 本田技研工業. “テクノロジー四輪SH-AWD”. 2021年9月24日閲覧。
- ^ 『世界初の四輪駆動力自在制御システム「SH-AWD」を新開発』(プレスリリース)2004年4月1日 。2014年10月29日閲覧。
- ^ a b 『前後輪と後輪左右の駆動力を自在にコントロールする世界初のシステム』(プレスリリース)2004年10月7日 。2015年8月19日閲覧。
- ^ 國井, 力也、岩崎, 明裕、渥美, 淑弘、森, 淳「四輪駆動力自在制御システム(SH-AWD)の開発」『Honda R&D Technical Review』第16巻第2号、2004年10月1日、2014年10月29日閲覧。(要登録)
- ^ “Acura SH-AWD: A Comprehensive Analysis”. 2015年8月19日閲覧。
- ^ "2015 Acura TLX: Powertrain" (Press release). 4 August 2014. 2019年7月13日閲覧。
- ^ “2012年北米国際自動車ショーで、Acura新型3モデルを世界初披露”. 本田技研工業 (2012年1月10日). 2021年6月2日閲覧。
- ^ “「レジェンド」をフルモデルチェンジし発売”. 本田技研工業 (2014年11月10日). 2021年6月2日閲覧。
- ^ インテグラの高性能モデルは、自然吸気エンジンの前輪駆動モデルのインテグラタイプRとなった。
関連項目
外部リンク
- Honda R&D Technical Review Vol.16-No.2「四輪駆動力自在制御システム(SH-AWD)の開発」(本田技術研究所 論文検索サイト/閲覧には無料登録が必要)
- Honda R&D Technical Review Vol.19-No.1「SUV用四輪駆動力自在制御システムの開発」(本田技術研究所 論文検索サイト/閲覧には無料登録が必要)
- FACTBOOK LEGEND SH-AWD(2004年 公式発表情報より)
- Hondaのパワートレーン技術(HONDA公式サイト内)
SH-AWD
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/09 03:48 UTC 版)
SH-AWDは新型となり、従来の電磁クラッチ式から油圧式とすることでシステム重量を25%軽量化した。1つの電動モーターがペアの油圧ポンプを駆動、ECUがリニアソレノイドバルブをコントロールし、左右のクラッチパックを制御するシステムとなっている。動力性能でもリアのオーバードライブは従来の常時1.7%から2.7%に増加、よりトルクベクタリングの効果を高めた。通常クルージング時は従来は70:30の前後動力配分を90:10としている。
※この「SH-AWD」の解説は、「アキュラ・TLX」の解説の一部です。
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