世界における著名な理論家とそのスタイルとは? わかりやすく解説

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世界における著名な理論家とそのスタイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 23:54 UTC 版)

子どものための哲学」の記事における「世界における著名な理論家とそのスタイル」の解説

子どものための哲学理論家の間にある違いで最も顕著な点の一つは、何を教材とするか、つまり何をもって議論スタートするかである。ガレス・マシューズによれば、若い学生哲学的思考深める上で「最も影響力のある人物」はマシュー・リップマンであるが、1970年代子どものための哲学運動の口火を切ったのがまさにリップマンであった1960年代全米各地大学起きた学生運動目の当たりにしたリップマンは、哲学的な批判的思考がより早い段階教えられるべきだと実感した1974年、彼はモントクレア州立大学に「子どものための哲学推進研究所Institute for the Advancement of Philosophy for Children, IAPC)」を設立したリップマンの方法とは、哲学的な関心をそそるような物語教材を子どもに読み聞かせ、それに対して哲学的問いかけ返すよう促す、というものであった共同探求で扱うテーマ決め教師ファシリテーター促進者)であると同時に一緒に探求する人として振る舞う授業対話通じて進行し生徒は普通、円の形に座り順番発言していく。流れとしては、問いかけ対す回答提案する意見表明する議論展開する反論する、例を挙げる基準設ける、他の生徒考えをさらに進めるなどしていき、対話きっかけとなった最初哲学的問いかけ解決することを目指すリップマン学習理論教授法カリキュラム設計思想は、アメリカプラグマティスト哲学者ジョン・デューイ教育哲学大きな影響を受けたものである。IAPCで使われ教材多くリップマン自身書いた哲学的な小説であり、代表的な作品としては1969年出版された『ハリー・ストットルマイヤーの発見Harry Stottlemeier's Discovery)』がある。その他の理論家は、リップマン業績参考しながら、彼が元々開発した授業用の小説教授法を補うような教育資源学習アクティビティ生み出していった。よく知られた例として、フィル・カムが作った教育資源挙げられるリップマン大学以前段階における世界初体系的な哲学教育カリキュラム作り上げ子どものための哲学研究する修士課程博士課程設立したまた、学術誌の『Thinking: The Journal of Philosophy for Children』も創設した。 ガレス・マシューズは多様な学生教えてきたが、主に教えたのは初等教育後期段階生徒5年生前後)だった。マシューズ方法では、生徒積極的に哲学的な雰囲気作り、「自分自身哲学的問題作り出す」ことが促される彼の最もよく知られている技法とは、哲学的に興味をそそる物語最初に提示するというものであるその後生徒コメント筆記記録し物語の登場人物にそのセリフを語らせ、次のクラス物語議論続き行ったこうしたやりとり記録著書の『子どもは小さな哲学者(Dialogues With Children)』で読むことができる。 ウィトウォーターストランド大学南アフリカ)のカリン・ムリスとプリマス大学イギリス)のジョアンナ・ヘインズは、目的のはっきりとした教材代わりに、子ども向けの絵本哲学教育用い手法広めたマウント・ホリヨーク大学アメリカマサチューセッツ州)のトム・ウォーターバーグは、絵本使って哲学を行うための議論プラン数多く書いている。 イギリス子どものための哲学が非常に多様に実践されている国であるが、それは当地にはフリーランス教育者がたくさんおり、それぞれ異な教授法用いながら競合しときには協力するという状況にあるからである。ロジャー・サトクリフの実践ではニュース記事用いる。スティーブ・ウィリアムズは哲学的問い提起することだけでなく、議論の型がしっかりとした対話を行うことを重視している。ウィル・オードは、対立する概念対比させたショッキングな写真使用する。ジェイソン・バックリーは、より身体的ゲーム的なアプローチ取り入れており、子どもが様々な問題直面した登場人物なりきって物語演じながら哲学する「哲学ごっこ(Philosophy in Role)」を実践している。 ピーター・ウォーリーとエマ・ウォーリーが共同設立した哲学ファンデーションPhilosophy Foundation)に所属する専門哲学教師全員哲学科卒業生)は、哲学的な内容濃厚な教材用いており、思考実験提起するほか、哲学古典由来する伝統的な問題につながる物語アクティビティ取り入れている。注意深く構造化された問いかけ方策を取ることで思考能力育成し、若いうちによい思考習慣を身につけさせることが狙いである。問いかけ工夫することでプラトンのように対話導入し哲学的な問題から焦点外さないようにしているのである興味深いことに、彼らの方法論によって、初等教育後期から中等教育段階生徒でも、哲学的な文章扱ってメタ分析ができるようになるのであるイギリス拠点を置く「シンキング・スペース(Thinking Space)」は哲学者のグレース・ロビンソンによって設立されたが、このスペースでは哲学者教育者ネットワーク提携し遊戯実験交えた協働行っている。アーティスト科学者研究者などを含む幅広い実践者力を借りることで、子どもや若者に対して生きた哲学的問題提供することが狙いである。シンキング・スペースの最も顕著な取り組みとして、リーズ大学との協働による「リーズ哲学交流Leeds Philosophy Exchange)」プログラムがある。これは学部生向けの正規授業であり、シンキング・スペースで訓練受けた教師協力してリーズ大学哲学科学生地元学校哲学的探究ファシリテーターになるというものである。 子どもとともに哲学を行う顕著な実践例としては、クリス・フィリップスがシーザー・チャベス小学校アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコミッション地区)で行っている「フィロソファーズ・クラブ(Philosophers Club)」がある。 ノートルダム・ド・ナミュール大学ウィリアム・バリー教授は、「子どもと共同体のための哲学Philosophy for Children and Community, P4c²)」と呼ばれる新たなアプローチサンフランシスコベイエリア開始した。P4Cを進化させたこの実践では、若者批判的思考力を持つ新米アクション・リサーチャーになると同時に探求共同体における重要な一員になることで、参加者全員自己実現目指している。バリーのP4c²構想におけるもう一つ重要な要素は、探求共同体参加することで、実践において質が持つ意味を質転換理論TQ Theory)を通じて理解し、それによって子どもが存在論的な重み獲得することである。近年、リビング・リーダーシップ・トゥデイ(Living Leadership Today有限会社創立者のマリア・レイチェルによってカリフォルニアシリコンバレーにP4c²研究所(The Institute of P4c²)が作られオンライン国際的学術誌International Journal of Transformative Research』が創刊された。

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