世界における歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 04:36 UTC 版)
インドにおいては紀元前3000年頃から既に黒胡椒やクローブ等の多くの香辛料が使われていた。紀元前1200年頃の古代エジプトにスリランカ産のシナモンが献上された記録が残っている。紀元前5世紀に著されたというヘロドトスの『歴史』にはオリエントの産品としてKinnamomonという植物産品が記されている。研究者の間では、インドもしくはマレー半島からもたらされた香辛料だと言われている。やがて、ヨーロッパに知られる香辛料の種類も増え、紀元1世紀頃には海、陸のシルクロードを経てヨーロッパに香辛料が流入し始めた。 ローマ帝国の滅亡、イスラム勢力の勃興、十字軍など東西交流を難しくさせる要素が重なり、中世ヨーロッパでは香辛料は大変珍貴なものとなった。貴重な香辛料をふんだんに使えることがステータスを誇示することとなり、王侯貴族の会食料理は過剰なまでに香辛料を使った料理へと発展し、香辛料が貴金属のように献上品としてやり取りされた。 ヨーロッパの人々の多くは、古くから肉や魚を多く食べていたが、内陸まで食材を運んだり冬期に備えたりするために肉や魚を長期保存する必要があった。中世においては、その食味から、クローブや胡椒などには高い防腐作用があると信じられていたため、食材の保存において欠かせない防腐剤として扱われた(実際には胡椒の防腐効果は小さい)。また、その香りが病魔を退治すると信じられており、香として焚く用途も多かった。さらに、水がそれほど豊富でない地域では、体の洗浄不足と肉食が相まって体臭が問題になり、香辛料に関する大きな需要が発生した。 中世にはムスリム商人がインド洋における香辛料貿易を独占し、ルネサンス期にはヴェネツィア共和国がエジプトのマムルーク朝やオスマン帝国からの輸入を独占した。ポルトガルはヴェネツィアの香辛料貿易独占を打破するために喜望峰経由のインド航路を開拓した(「ポルトガル海上帝国」参照)。 クローブ、ナツメグなど一部の香辛料はインドネシアのモルッカ諸島でのみ産出した。また胡椒はインド東海岸やスマトラ島で多く生産された。このため、これらの地域と交易を行なって香辛料を手に入れることが、国を保つために重大な関心事となった。すなわち、香辛料がヨーロッパの人々を世界進出に駆り立てた。造船技術や天文学などの科学技術の発達によって長期の航海が可能となったとき、大航海時代の幕が開けた。ヨーロッパ人は大挙して新大陸やアジアに進出し、植民地化や、現地住民に対する略奪、虐殺、強制を伴ったキリスト教への改宗を実行していった。 このように、当初は東側に向けて香辛料を求める進出が続いたが、貿易の主導権の争いは熾烈なものとなっていったため、一部の人たちは西側にも目を向けるようになった。クリストファー・コロンブスもその一人で、1492年にスペインから西に出帆した。結局のところ、彼は香辛料の主産地であるインドやインドネシアには到達できなかったが、アメリカ大陸に到達し、その存在をヨーロッパ人に知らしめた。彼の目的地がインドであったことは、当初アメリカ大陸をインドと勘違いし、そこに住む先住民を「インディオ」と呼んだことに色濃く残っている。この呼称は現在に至るまで残っている。新大陸には期待された香辛料は無かったが、新しいタイプのトウガラシやバニラはすぐにヨーロッパに受け入れられた。 17世紀に入ると、オランダがアジアに進出してポルトガルと争い、モルッカ諸島やスマトラ島を直接支配下に置いた。近代になると香辛料は各地で栽培されるようになり、貿易における重要性は薄れる。香辛料の使われ方も近代になるにつれて洗練されていき、ヨーロッパでの需要は減少に向かっていった。しかし、20世紀に入るとアジアやラテンアメリカ各地の料理が世界的に普及し、香辛料の需要は急速に拡大している。
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世界における歴史
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似顔絵(カリカチュア)を専門にするアーティストが現れ始めたのは16世紀頃、アンニーバレ・カラッチやジャン・ロレンツォ・ベルニーニらがカリカチュアを芸術として描き始めた。19世紀には印刷技術の発展により多くの新聞や雑誌が刊行され、それに伴いカリカチュアも一気に人気の大衆娯楽となる。これをカリカチュア革命と呼ぶ。このカリカチュア革命を機にカリカチュアアーティストは増え、それと共に誇張して面白おかしく描くカリカチュアが主流となった。
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